認知症の中核症状・周辺症状!?そんな疑問を解決!

認知症症状

突然、お医者さんから次のようなことを言われたとしたら・・・

医師  「認知症には中核症状と周辺症状がありますので、気を付けて介護してください」

あなた 「中核症状?・・周辺症状??・・・・」

という具合に、チンプンカンプンになる方も多いのではないでしょうか?この記事では、そんな皆様の中核症状や周辺症状についての疑問に対し、分かりやすくお答えしておりますので是非とも参考にしていただければと思います。

1.認知症の症状は2つ

中核症状と周辺症状

まず始めに、「認知症の症状とはどういったものか」ということを確認していく上で次の4点を押さえておいて下さい。

  • 認知症の症状は、「中核症状」と「周辺症状」の2重構造になっている
  • 中核症状は、病変そのものが原因で現れる認知障害なので強弱の違いはあれど、どのタイプの認知症でも必ず確認できる症状
  • 周辺症状は、中核症状から派生して起こる症状。その人の生い立ちや性格や心理状態が大きく関係して現れる。よって、認知症の人全員に同じ症状が現れるものではなく、実際に現れる症状も多種多様
  • 「中核症状」「周辺症状」ともに、さらにいくつかの症状に分かれる

それでは早速、「中核症状・周辺症状とはどういったものか」確認していきましょう!!

2.中核症状

中核症状

中核症状とは、脳の変化に伴って現れてくる脳の機能の障害で、数ある認知症の症状のうち必ず起こる症状のことをいいます。

中核症状を分かりやすく表現すると「主な症状」にあたるもので、認知機能の障害のことです。認知機能とは、見聞きした事を理解したり、状況を判断したり、目的に合わせて行動したり、記憶したりと脳に入る情報を分析処理することです。

具体的な中核症状の症状としては、次のようなものがあります。

記憶障害 物忘れに代表されるように物事を記憶することが苦手になります。今さっきしたことを覚えていなかったり、何度も同じことをききかえしたりします。特に、アルツハイマー病では、記憶障害から始まることが多い
見当識障害 「いつ・どこ・だれ」といった、月日・時間・今いる場所といったことや自分と周囲との関係性がわからなくなる
例:「いつ」の場合、冬場に半袖を着る
   「どこ」の場合、よく通る道を間違える
判断力障害 善悪の判断や季節に合う服の判断ができなくなるなど、一連の判断行動が出来なくなる
実行機能障害 計画を立てる・組織化する・抽象化することができなくなる
失語 言葉が出ない・物の名前を間違える。「聞く・話す・読む・書く」といった音声・文字などの言語情報に関わる処理機能が失われた言語の障害
失行 思った通りの絵が描けない・服をきちんと着ることが出来ない等、運動機能は問題なく体は動くのに、行動を順序立てて物事を実行できなくなる動作の遂行能力障害
失認 見えているものや知っているはずのものを判断できない・使い慣れた道具が使えなくなる等、目・耳・鼻・舌・皮膚といった感覚機能に問題がないのに「五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)」による認知力を正常に働かせ、状況を正しく把握することが難しい(認識・同定できない障害)

中核症状は、病気の進行具合や認知症の種類(アルツハイマー型レビー小体型脳血管性認知症)などにより程度の差はありますが、誰にでも見られる症状です。

中核症状によって、様々な生活上の問題が出てきます。したがって、まずは周りの人は「中核症状とはどんなものなのか」ということをよく理解して、本人がどのような状態であるのかをしっかりと把握した上で、介護をすることが大切です。

3.周辺症状(BPSD)

周辺症状,徘徊

1.周辺症状にはどのようなものがあるの?

周辺症状(随伴症状)とは、中核症状から派生して生じる様々な症状のことをです。

周辺症状は、必ず誰でも発生するわけではありませんが、現れると中核症状と同様、生活に大きな支障をきたします。

周辺症状は、心理症状と行動症状に分かれ、そこからさらに具体的な症状に分かれます。

  • 心理症状には、抑うつ、不安・焦燥、幻覚、妄想、せん妄、依存などがあります。
  • 行動症状には、徘徊、暴力・暴言、睡眠障害、過食・異食などの食行動の異常、失禁・不潔更衣、無反応、介護への抵抗などがあります。
抑うつ なんとなく無気力になり、以前興味のあったものにも関心を示さなくなり、表情も乏しくなる。認知症の初期の段階では、物忘れしている自分自身に対し落ち込むこともある。
徘徊 介護者が目を離した隙に家を出たり、道に迷ったり、目的地を忘れてしまう
暴力・暴言 感情の起伏が激しくなり、認知機能の障害により言葉では上手く説明できない代わりに暴力や暴言で表現してしまう
せん妄 意識障害により頭の中が整理できず、興奮・パニック状態に陥る
妄想 誰かに自分の物が盗られるといった妄想(もの盗られ妄想)や自分の悪口を言われていると勘違いする(被害妄想)などがある
睡眠障害 昼夜の判別が出来なくなり、睡眠不足が起こる。レム睡眠行動障害といって寝ている時に暴れだす。

2.周辺症状はどのようにして現れるの?

周辺症状現れ方

先ほども確認した通り、認知症の症状は、中核症状と周辺症状の2重構造になっています。

中核症状は、記憶障害・見当識障害・判断力障害などですが、脳の機能そのものの障害が原因で現れる症状ですので、強さの違いはあっても誰にでも確認できる症状です。

周辺症状は、その人の行動・心理状態が大きく関係します。したがって、実際に現れる症状も多種多様です。認知症の人全員に同じ症状が現れるものではありません。人によっては、非常に暴力的に振舞ったり、失禁・不潔行為を繰り返したりすることもあります。

しかし、他の人ではこういった症状が全くなく、むしろ抑うつや不安症状が強く現れることもあります。つまり、どのような周辺症状が現れるのかは、本人の中核症状の状態、性格、身体状況、生活環境、介護をする家族や周囲との関係性など実に多くの原因が複雑に絡み合って現れるのです。

したがって、認知症の方に誤った接し方をしてしまうと周辺症状が悪化してしまう可能性がありますので、介護者の方はくれぐれもご注意ください。

4.中核症状・周辺症状との付き合い方

周辺症状の厄介なところは、日常の出来事やライフイベント(生活環境の大きな変化)によって悪化してしまう可能性があることです。具体例を挙げて確認していきたいと思います。

具体例

認知症との付き合い方

認知症の父は、父の死後、長男である私の家で同居することになりました。仕事の関係上、日中はデイサービスに通ってもらうことにしました。しかし、友達がなかなか出来ずに1人でいることが多く、前よりもずっとふさぎ込んでしまっているようです。

また、「元の家に帰る」といって、夜中に家中を徘徊したり、暴れたり暴力をふるったりすることもあります。

見解&アドバイス

このケースでは、おそらく「旦那さんとの死別」や「デイサービスや転居」などのライフイベントをきっかけとして、心理状態が安定せず「抑うつ」や「不安」「徘徊」「暴力」「暴言」などの周辺症状が現れている又は悪化していると考えていいでしょう。

しかし、だからといって「そのまま元の家で1人で暮らしてもらう」という選択肢が最善とは限りません。なぜなら、デイサービスや転居などの新たな出会いや刺激は、脳の機能を活性化させるからです。そして、この脳の活性化は認知症の予防・治療にとって大変重要なものだからです。

したがって、デイサービスや転居などは、本人の性格・心理状態や病気の進行度合い、環境、介護者の都合など様々な面をしっかりと考慮・検討した上で最善の選択をすることが大切です。

まとめ

特に周辺症状は、日常の出来事やライフイベント(生活環境の大きな変化)によって症状が改善したり、逆に悪化するケースが多々あります。つまり、介護者の接し方次第で周辺症状を抑えることも、進行させることもあり得ます。

したがって、介護者の方はどのように認知症の方に接したら中核症状や周辺症状が悪化・進行しにくいのかを知っておく必要があります。次の関連記事も合わせて読んでいただくとより理解が深まります。

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