健康は歯から!歯周病・虫歯予防が認知症やアルツハイマーに効果的
みなさんの歯は何本残っていますか?今日歯磨きしましたか?歯周病や虫歯はありませんか?
歯を健康に保つことは、様々な病気の予防に役立つことを知っていますか?「心筋梗塞」「狭心症」「糖尿病」「骨粗しょう症」「誤嚥性肺炎」と、どの疾患も歯の健康状態が悪いと発症リスクが高ってしまう病気です。他にも、歯が不健康な状態だと発症リスクが高まる病気は多数あり、その影響は全身に及びます。もちろん、認知症や若年性アルツハイマー病もその例外ではありません。
歯周病や虫歯で、歯の残存数が少ない人は認知症や若年性アルツハイマー病を発症するリスクが何倍にも高まってしまうのです。しかし、そうはいっても、本当に歯の健康と認知症の関係性に半信半疑の方も多いと思います。
そういった方の為に、これから歯の健康と認知症や若年性アルツハイマー病との関係性について解説していきたいと思いますので、ご一読いただければと思います。
歯の不健康を招く病気
そもそも歯が健康な状態とはどういった状態なのでしょうか?それは「歯が丈夫」「歯数が多い」「歯茎が強い」状態です。逆に、歯が不健康な状態とは「歯がもろい」「抜けている」「歯茎が弱い」といった状態です。
しかし、なぜ歯は不健康になってしまうのでしょうか?その原因のほとんどは病気によってもたらされることが多く、その代表的なものは虫歯と歯周病です。
歯周病が認知症や若年性アルツハイマー病の原因
特に、高齢者が注意したい歯の不健康を招く病気は歯周病です。この歯周病が認知症や若年性アルツハイマー病に大きな悪影響を与えます。いくつかの実験をもとにその影響をチェックしていきましょう。
歯周病とアルツハイマー病
国立長寿医療研究センターの松下健二氏らの研究グループは、アルツハイマー型認知症を発症させたモデルマウスに、歯周病を発症させて、その進行について調査を行いました。その結果、歯周病を発症させていないマウスと比較して、認知機能の低下や、アルツハイマー型認知症に特徴的なアミロイドβの沈着が、海馬や皮質に多く見られたのです。つまり、歯周病は、アルツハイマー型認知症や若年性アルツハイマー病を悪化させる可能性が高いことが研究により明らかにされたのです。
でも一体、なぜ歯周病がアルツハイマー型認知症を悪化がさせたのでしょうか。
- 口の中で増殖した歯周病原性細菌
- 歯周病への免疫の役割を担う炎症物質(サイトカイン)
これら細菌や炎症物質が血液にのって脳へ運ばれ、脳へ何らかの影響を与えアルツハイマー型認知症を悪化させたのではないかと考えられています。
歯周病と脳血管性認知症
また、韓国の調査では無症候性脳梗塞(症状がでない小さな脳梗塞)と大脳白質虚血病変(進行すると脳血管性認知症の原因となる)と残存歯数の関係性が調べられました。結果、抜けた歯数が5本以下の人と比べ10本以上ある人は無症候性脳梗塞や大脳白質虚血病変のリスクが3.9倍にも跳ね上がりました。
なぜ、歯が抜けると脳血管性の病気のリスクが上昇したのでしょうか?この調査では、歯が抜けるということは、脳の動脈硬化を進め、脳血管性認知症のリスクが高まったのではないかと想定されます。歯周病を発症すると体の中では、歯周病菌を攻撃するサイトカインという炎症性物質が放出されます。しかし、本来歯周病をやっつける役割のサイトカインが血液中に入ってしまうことで動脈硬化を促進させてしまうのです。
歯数が少ないことは噛む力を奪い、記憶力の低下を招く
歯周病による認知症や若年性アルツハイマー病への影響は、歯周病原性細菌や炎症物質によるものだけではありません。歯周病により、歯が抜け歯の残存数が減り、噛む力が弱まることも認知症や若年性アルツハイマー病の進行に大きな影響を与えます。
トランスジェニックマウス実験
歯が抜けることは認知症の危険因子になる可能性はあります。なぜでしょうか?そこで、噛むことの効果を示す動物実験を紹介します。マウスの奥歯を削って餌をすりつぶせなくし、記憶や学習への影響を調べる実験「トランスジェニックマウス」と呼ばれています。
その結果、奥歯を削ったマウスと削っていないマウスを比べると学習能力に差がありました。奥歯を削ったマウスは学習能力が劣っていたのです。その理由は、奥歯を削ると記憶に関係する海馬の神経細胞が減ってしまうことにありました。しかし、ただ満足に食べることが出来ず脳に十分な栄養が行かなかったのではないか?とも考えられます。そこで、咀嚼する必要が無いやわらかい餌で、実験した研究でも記憶を担当する脳の神経細胞が減ることが確認されました。また、アメリカの研究でも、歯周病で歯が無い人は、歯が残っている人より認知機能が低下することが分かっています。
良く噛むことで記憶力を保持・向上させる
奥歯を使ってしっかりと噛むことで、記憶力の向上が期待できます。また、噛むことは脳の覚醒に関係した神経細胞を刺激し、脳を目覚めさせることも分かっています。また、しっかりと噛むことは律動的でリズミカルな運動でもありストレスを解消に役立つ物質セロトニンを増やします。よく噛むことは記憶力を低下させず認知機能を保つために必要な行為なのです。
記憶障害と深く関係する認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療には、歯でしっかりとよく噛むことが大切なポイントです。この様に、硬いものを噛むことは脳の機能維持、特に記憶機能にきわめて重要です。歯があるうちはありがたみをあまり感じませんが失って気づいたときにそのありがたみに気が付きます。しかし、気づいたころには時すでに遅し、もう手遅れです。それでは一体どのようにして歯周病を予防・治療すればよいのでしょう?
歯周病予防は認知症予防になる
歯が抜ける、すなわち歯周病が進行している人は脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症の発症リスクを上昇させることが分かります。したがって、日頃から歯周病を予防する為の口内ケアは、認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療に欠かせない重要なケアと言えるでしょう。
歯磨きで歯の健康を保とう
まず、歯の健康を保ち歯周病や虫歯を予防するために、日頃からできる努力は歯磨きでしょう。歯を磨くときは、大きく口を開けて、小さな歯ブラシを小刻みに震わせながら、歯の一本一本の表・裏・側面をしっかりと丁寧に磨きましょう。くれぐれもゴシゴシ音を立て乱暴に歯を磨かないようにしましょう、歯茎を削ってしまい逆効果です。
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歯周病や虫歯があるなら治療する
歯周病や虫歯がある場合は、そのまま放っておくと悪化してしまいますので、歯科へ行き治療してもらいましょう。また、定期的に歯科に通い歯の健康状態のチェックをしてもらい歯周病や虫歯の予防に努めることが大切です。また、マヒなどで通院困難な人は、「居宅療養管理指導」というサービスを利用して訪問診察をしてもらえる場合がございます。
まとめ
- 普段から口内ケアをしっかりとする
- 日頃からよく噛んで歯を丈夫にする
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