「問診」の仕方1つで分かる|認知症の誤診を防ぐ医師選び

認知症問診

本人や家族にとって認知症の治療や介護を無理なく効果的に続けていく上で、医師との関わりは非常に重要です。しかし、次のような事実をご存知でしょうか?

2012年度現在、日本全国の認知症の患者数は約462万人(軽度認知障害(MCI)の約400万人含めると約800万人)に対し、認知症の専門医は約2000人しか存在しない(厚生労働省調査)

専門医が不足していることもあり、近所のかかりつけ医などに診断してもらっている方が多いはずです。しかし、ここには次のような大きな落とし穴があります。

  • 認知症の専門医以外の医師が、病気を見逃していた割合は約75%にも上る(1995年東京都の調査)
  • 2014年の1年間に、他の病院で認知症と診断されたが、専門医が診断したところ「認知症ではなかった」人の数3500人以上(NHKの調査)

なんと、分かっているだけでもこれだけの数の誤診や見逃しが存在するのです。 恐らく、これは氷山の一角です。誤診されたままのものも含めると、この何十倍にも及ぶでしょう

したがって、本人や家族も医師の診断全てを鵜呑みにしてはいけません。必要であれば、セカンドオピニオンを求める等して対応しなければいけません。

しかし、その為には本人や介護者自身も、認知症についての最低限の知識を頭に入れて置き、どのような医師にかかるべきかを判断する必要があります。 この記事では、診断下すうえで大変重要になってくる「問診」について解説していきます。

認知症の診断は3つの観点から総合的に判断する

誤診防ぐ

認知症に誤診や見逃しが多い理由は次の通りです。

  • 1つに認知症といっても様々なタイプ(アルツハイマー型レビー小体型前頭側頭型)がある
  • 中には、うつ病やパーキンソン病といった他の病気と非常によく似た症状が現れる
  • 画像検査だけでは確定診断することが困難

したがって、認知症診断では、「問診」「画像検査」「認知症テスト」の3つの観点から総合的に判断する必要があるのです。どれか1つでも欠ける、おざなりにされることで誤診や見逃しに繋がってしまうのです。

認知症は早期に発見し適切な治療を行うことで進行を食い止めることができます。また、その為には医師との信頼関係が非常に大切です。しかし、そもそも信頼できない医師ではどうしようもありません。

もし、「問診」「画像検査」「認知症テスト」どれかが欠けていたり、「問診」の仕方が雑だったりする医師は、信頼性が少ないと言えるでしょう。

認知症の診断における「問診」とは

認知症診断における「問診の重要性」

問診重要性

認知症かどうか診断する上で、「問診」は非常に重要です。「問診」を行うことで、本人の日頃の様子や困っている症状といった画像検査からは解らない情報を知ることが出来るからです。

病気を早期発見する為には、本人への「問診」と「テスト」は非常に重要です。画像検査だけに時間をかけたり、それだけで判断すると誤診や見逃しを招く元です。認知症の診断において画像検査は、あくまでも認知症のタイプを鑑別する為のものであり100%ではありません。

例え、画像検査で脳に委縮が見られた場合でも、認知機能に問題がなく日常生活に支障をきたしていない場合は「認知症では無い」と診断されるべきです。その為、実際の症状と画像検査に食い違いが出た場合、症状の方を優先させて判断すべきものです。

問診で受けるべき質問

問診質問

「問診」では、医師から次のようなことが質問されます。

いつから どの様な変化がいつ頃から見られるのか、そのきっかけは何だったのか
変化の内容 以前の様子はどのようなものか、以前と比較して、今はどの様な変化があるのか
現在の様子 日常生活に問題はないか
問題がある場合、どのようなことか
その他 生年月日や学歴、職歴、性格、家族構成、親族の病歴、現在持っている病気、過去の病歴(脳卒中、パーキンソン病、うつ病など)
現在服用している治療薬(お薬手帳)

家族への問診も重要

家族への問診

本人だけでなく、その「家族」にも「問診」をすることで、本人が気が付かない症状がより明確になり、誤診や見逃しの確率が格段に減少します。認知症の患者は質問に答えられないか、何でもできますと言いたがります。本人から正確に聞けない場合は、医師は家族への問診から行います。

家族が認知症を疑った場合、本当に認知症だったというケースがかなりの高確率で存在します。

「認知症かな?」と本人の変化に最初に気づくのは、本人ではなく周囲の人特に本人の「家族」であることが多いです。その為、医師は「家族」の声に耳を傾け診断に役立てる必要があります。

したがって、家族が近くにいるにも関わらず、家族への問診も行わずに診断を下す医師は信頼できる医師ではありません。

本人への「問診」と同じく、家族への「問診」でも先のような情報を詳しく聞かれるべきです。家族はこれらのことをメモにしておいて医師に見せると良いでしょう。

みんなで情報共有をして認知症の兆候を掴む

また、本来認知症以外の病気で、介護サービスを受けている方の場合、ヘルパーやケアマネージャーなどの情報も役立ちます。ヘルパーやケアマネージャーから「最近デイサービスの日取りを間違える」「物事を直ぐに忘れる」などの情報があった場合は、かかりつけ医は認知症かどうか確かめることが必要です。

病気を早期発見するためには、小さな気づきや日頃からの観察が非常に重要になってきます。これら生の情報を汲み取り診断に活かすことを目的にしたのが「問診」なのです。

したがって、必要とあれば本人だけでなく、その家族にも「問診」を行ってくれるとということを医師選びの1つのポイントと考えてよいでしょう。

問診により得た情報のチェックポイント

問診のチェックポイント

「問診」により得た情報と「認知症テスト」の情報を参考に見極めます。医師がチェックするポイント次のようなポイントです。

  • 今までの人生、認知機能に問題なく正常に社会生活を送ってきた人の生活にどのような問題が現れ出したのか
  • テストで基準点を上回っていても、本人や家族が異常と思う症状がある(うつ症状や幻視等)
  • せん妄などの意識障害が無い時に診察しても、明らかに認知症の症状があるかどうか

そして、「問診」の際に、心臓や肺の聴診、血圧測定、運動機能や感覚機能に問題がないか診察します。また、一緒に「テスト」も行われることがあります。

そして、「問診」と「認知症テスト」の情報と「画像検査」の結果を照らし合わせて、最終的な診断を下します。

簡単自宅で認知症テストのやり方

認知症病型の鑑別診断の参考となる症状

    A P V D
1 落ち着かない    
2 性格の変化(だらしなくなる/好きだったことに関心を失う)     うつ
3 買い物のミス(同じものばかり買う/つり銭が払えない)    
4 病識の欠如(もの覚えが悪くなったことに気づいていない)    
5 易怒(怒りっぽくなる)  
6 妄想(実在はするがいない人に会う/泥棒がいるような気がする)    
7 幻覚(存在しないものが見える/室内に妖精や小人や虫がいる)      

A=アルツハイマー型 P=ピック病 V=脳血管性 D=レビー小体型
認知症の8割はこの中の1個以上に該当する(引用:河野和彦,完全図鑑新しい認知症ケア医療編)

まとめ

加えて、家族への問診では、今後もし認知症だった場合何を希望するかをしっかりと聞かれなければいけません。例えば、次のようなことです。

  • 診断だけでいい
  • 介護を楽に行いたいかどうか(在宅介護か施設への入所を希望するかなど)
  • 病気の進行を止めたい
  • 介護をする際の注意点
  • 介護保険や障碍者手帳の申請
  • 後見鑑定をするかどうか
  • 本人に病気を申告すべきか

これらの情報を「問診」で聞き本人や家族に真摯に接してくれる医師を選ぶことが、認知症の治療や介護を進めていく上でとても重要です。

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