アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症

突然、医師から「アルツハイマー型認知症の疑いがあります」と聞かされても、一体それがどのような病気なのかイメージが湧かないという方も多いと思います。

  • 「アルツハイマー?認知症?」といったレベルで、病気についての知識が全くない方
  • 「もの忘れや徘徊する病気?」など一定の知識があるものの、病気についての理解が不十分な方

この記事では、みなさんの「アルツハイマー型認知症って何?原因や症状はどういったものが考えられるの?治療することはできるの?」といった疑問に対して、分かりやすく解説していきたいと思います。アルツハイマー型認知症を全く知らない方はもちろんのこと、既に知っている方も、今一度病気についての理解を深めるために参考にして下さい。

1.アルツハイマー型認知症は進行性の脳の病気

アルツハイマー型認知症とは、アルツハイマー病という進行性の脳の病気です。

このアルツハイマー病は、発病者の年齢により、若い人が発症する”若年性アルツハイマー病”と高齢者が発症する”アルツハイマー型認知症”に分けられます。つまり、高齢者のアルツハイマー病がアルツハイマー型認知症というわけであり、2つは同じ仲間です。

しかし、”若年性アルツハイマー病”と”アルツハイマー型認知症”では、病気の進行スピードに違いがあるので注意が必要です。詳しい違いについてはリンク先をご覧下さい。

アルツハイマー病とは

また、アルツハイマー型認知症は、認知症の原因となる病気の1つでもあります。認知症の中でも、最も患者数が多いのがこのアルツハイマー型認知症なのです。なんと、認知症患者全体の半数以上をアルツハイマー型認知症が占めているとも言われています。

認知症とは

2.アルツハイマー型認知症の症状とその特徴

経過別アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症の症状は、病気の重症度に応じて次のような症状が現れます。

アルツハイマーの重症度別の症状

初期アルツハイマー型Ⅰ期(軽度)

まず、記憶障害の1つにあたる「物忘れ」が現れはじめます。物忘れの症状が段々進行すると、暗算が出来なくなったり、新しいことが覚えにくくなっていきます。

また、言葉のやり取りが上手くできない「失語」などの症状が発生します。そして、「不安」や「うつ症状」などの心理症状も見られるようになり感情的に不安定になりやすくなります。身の回りのことはある程度自立できている状態です。(平均2~3年)

中期アルツハイマー型Ⅱ期(中等度)

新しいことだけではなく、自分の年齢や現在の場所なども分からなくなる「見当識障害(時間→場所→人や物の順番で分からなくなる)」や道具が使えなくなる「失行」が起こります。

また、「徘徊」や「興奮」、「引きこもり」といった周辺症状が多くなります。そうなると、次第に会話が難しくなり、だんだんと日常生活に支障が出てくるようになってきます。(平均4~5年)

後期アルツハイマー型Ⅲ期(重度)

アルツハイマー病がさらに進行すると、認知機能は著しく低下し、家族や親しい人が分からなくなったり、「失認」「無言」「失禁」が多くなります。

また、認知機能の低下だけではなく、運動機能の低下も目立ってくるようになり、「寝たきり」や「嚥下・摂食障害」になる人も少なくありません。自分では何もすることができず、全面的な介護が必要になってきます。(平均2~3年)

期間は平均的な年月を示し、アルツハイマー病の進行には個人差がございます。

進行が遅いのが特徴

アルツハイマー型認知症の進行はとても遅く、緩やかな坂を下るようにゆっくりと変化していきます。アルツハイマー病の進行は、若いほど速く、高齢になるほど遅く進行していくという特徴があります。

  • 軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症を発病するまで5~6年程度
  • 認知症を発症してから後期アルツハイマー型認知症になるまで8年程度

この進行が遅いという特徴が、アルツハイマー型認知症の予防や治療のキーとなってきます。参考までに、アルツハイマー病患者の寿命はおおよそ次の通りです(発病した年齢等により、個人差あり)。

  • 進行が速い人、4~5年
  • 進行が遅い人、10年以上
  • 平均的な人、約8年

記憶障害から始まる

脳,機能,部位

また、アルツハイマー型認知症は、主に脳の前頭葉から側頭葉、頭頂葉にかけて、脳の委縮や脳細胞の死滅が見られます。特に、記憶や学習を司る海馬や側頭葉から、萎縮することが多いのもアルツハイマー型認知症の特徴の1つです。

そのため、アルツハイマー型認知症では、初期症状として”記憶障害”がよく現れます。

記憶障害とは

3.アルツハイマー型認知症の原因とは?

アルツハイマー型認知症原因

アルツハイマー型認知症の原因は、脳の委縮や脳細胞の死滅によって大脳皮質(脳の表面のシワシワの部分)がダメージを受け、脳が上手く機能しなくなることです。

「なぜ、脳の委縮や脳細胞が死滅が起こるのか」というアルツハイマー病の直接的な原因は、現代医学をもってしても解明されていません。 しかし、直接的な原因とされるものにはいくつか候補があります。その中でも最も有力とされているのが「βアミロイドベータアミロイド」です。

アルツハイマー型認知症の人の脳を調べると、ある特徴があることが確認されています。

その特徴とは、アルツハイマー病患者の脳内に「βアミロイド」と呼ばれるタンパク質が蓄積し、「老人斑ろうじんはん」というシミが現れるということです。このβアミロイドこそが、健康な脳神経細胞を死滅させ、脳を萎縮させるアルツハイマー病の真犯人だと考えられています。

正常な人の場合、βアミロイドの合成や分泌は酵素によって分解されますので、脳内に蓄積することはありません。

しかし、年齢を重ねるにしたがって分解機能が衰えてしまい、分解されなかったβアミロイドが蓄積しやすくなります。それ故、アルツハイマー型認知症の患者の多くは80歳以上の高齢者です。しかし、まれに50~60歳からでも発症する若年性アルツハイマー病患者も存在します。

4.アルツハイマー型認知症の予防法&治療法

アルツハイマー病治療法

さて、冒頭の「アルツハイマー病を治療することはできるの?」という疑問に対する答えですが・・・NoでもありYesでもあると言えます。

現代医学において、アルツハイマー病を根本的に完治させる方法は存在しないという点では「No」です。現在アルツハイマー病を根本的に完治させる方法や治療薬は残念ながら開発されていません。

一方で、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせたり、脳に病変が存在していても発症させないよう予防することは可能という点では「Yes」と言えます。例えば、運動や食事、睡眠などの”生活習慣見直し”、手紙や日記を書く・読書するなどの”知的活動”、”人とのコミュニケーション”、”治療薬の服用”により、アルツハイマー型認知症を予防、治療することは十分可能ということです。

アルツハイマー型認知症の進行はとても緩やかです。なので、例えアルツハイマー型認知症になったとしても、十分その症状が悪化することを食い止めることができます。

特に、アルツハイマー型認知症の一歩手前であるMCI(軽度認知障害)の段階で、予防対策することで高い効果が期待できます。

MCI(軽度認知障害)を早期発見し、認知症を予防する方法

それでは、早速アルツハイマー型認知症の予防&治療法について見ていきたいと思います。

運動習慣

アルツハイマー運動

高齢者の方でもジョギングや早歩きなどの有酸素運動をすることで、脳内で記憶を貯めておく働きのある「海馬」の容積が大きくなることがカナダの研究で確認されています。

また、例えジョギングなどの有酸素運動を毎日行うことが難しくても掃除や料理などで日常的に良く動いている人の方が、アルツハイマー病を発症しにくいことが分かっています。つまり、適度な運動を継続的に行うことで、脳の記憶領域が拡がり、認知症の進行を遅らせる可能性があることが分かっています。

食習慣

アルツハイマー食事

脳の健康に良い食べ物の代表として、マグロやサバなどの「青魚」があげられます。青魚に含まれているDHAやEPAが脳に良いとされており認知機能が改善することが分かっています。青魚の他にも、緑茶やココアなどの抗酸化物質を多く含むものにも認知機能を高める効果があります。

また、アルツハイマー病と脳梗塞などの脳血管性障害を併発することにより認知症の症状が悪化するケースが多くみられます。したがって、野菜などの血液をサラサラにする食材をとることで、脳血管性障害を予防することができ、結果アルツハイマー型認知症の進行を食い止めることが出来ます。

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睡眠

睡眠アルツハイマー

若いうちに適度な時間睡眠をしっかりとることで、海馬が大きくなる傾向があります。アルツハイマー病は、記憶と深く関係している海馬の委縮が特徴です。

つまり、睡眠時間が極端に多い人や少ない人、不規則な睡眠時間の人は、高齢になった時に記憶障害が生じやすいことが分かっています。また、若いうちに質の良い睡眠を十分に確保し、海馬を発達させているかどうかが、アルツハイマー病になった時の記憶障害の進行スピードにも影響すると考えられています。

また、認知症の人は、睡眠や排泄などの生活リズムが乱れると、身体の不調が原因で症状が悪化することがあります。良質な睡眠がとれるように、日中は適度に身体を動かすことを心掛け生活のリズムを整えることが大切です。

知的活動や人とのコミュニケーション

アルツハイマーコミュニケーション

長い間、読書や書き物などの知的活動を続けてきた人と・そうでない人では、記憶力の衰えが15%も遅いことがアメリかの研究で分かっています。

また、高齢になってからでも、簡単な読み書き、計算、コミュニケーションを続けることで、記憶・判断、感情のコントロールを司る前頭葉が刺激され、記憶障害や見当識障害などの中核症状や徘徊や不眠などの周辺症状が改善することが分かっています。

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アルツハイマー型認知症に効く治療薬

アルツハイマー病治療薬

アルツハイマー型認知症は発症すると、ドンドン中核症状が顕著となり、それに伴って周辺症状も悪化するため、家族や周囲の人の辛さが増加します。したがって、アルツハイマー病と診断されたらすぐに治療を始める必要があります。

治療方針としては、中核症状の進行を食い止め、そこから派生する周辺症状を和らげるものになります。

アルツハイマー型認知症では脳内のアセチルコリンという物質が減少することがわかっています。このアセチルコリンの減少を防ぎ、中核症状の進行を食い止めるお薬として「アリセプト」が有効です。

アリセプトの使用法と効果

アルツハイマー型認知症の経過として、初期のころには陰性症状が出ますが、やがて陽性症状が強くなり、後期になると再び陰性症状が強くなるという特徴があります。

しかし、アリセプトは興奮系のお薬ですから、陽性症状が強く出る場合は、抑制系のお薬を併用することがあります。 また同じ陽性症状でも、怒りっぽい時には抗精神病薬のグラマリール、暴力が出るときは抗精神病薬のウインタミン、抗不安薬のセルシンなどが有効です。逆に無気力になった場合は興奮系のお薬を使うこともあります。この様に、陽性症状と陰性症状を分けて最も強く出る症状に合わせたお薬を使うことが必要です。

アリセプトの他にも、アルツハイマー型認知症の治療薬として「レミニール」や「メマリー」、「リバスタッチパッチ」などがあります。患者さんの症状や副作用などに応じて、使い分けると良いでしょう。

レミニールメマリーリバスタッチパッチ

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