失語の症状と注意すべきポイント
認知症が進行すると言葉がスムーズに出てこない「失語」という症状が現れるのを知っていますか?介護者にとっては、言葉の意味が分からず一苦労です。
また、認知症の「失語」と同じように、脳卒中(脳出血や脳梗塞)でも言葉がスムーズに出てこない「失語症」という症状が現れます。「失語」も「失語症」も両者ともに脳がダメージを受けることが原因であり、現れる症状はよく似ています。
しかし、両者には決定的な違いがあります。
この違いを押さえておかないと、失語がある認知症の高齢者に苦痛を強いることになりますので、ここでその違いと注意点について確認して頂ければと思います。
失語の症状の現れ方はさまざま
失語の症状は多彩
1つに認知症による失語といってもその現れ方はさまざまです。例えば、ものの名前が出ない人、同じ言葉を繰り返す人、言い間違いをする人など人によって違います。
換言困難 | 頭の中で考えていることを上手く言葉にできない。 |
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錯語 | 「みかん」を「かんみ」と言ったり、「くるま」を「るまく」と言い間違えてしまう。 |
常同言語 | 同じ言葉ばかりを繰り返す。前頭側頭型認知症(ピック病)の常同行動が影響していると言われている。 |
ジャーゴン(ジャルゴン) | 全く意味の通じない言葉を発す。 |
このように認知症の失語といってもその症状は様々です。しかしなぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
認知症により脳がダメージを受け失語が現れる
認知症は、脳が委縮や変性を起こすことが原因の病気です。脳が委縮や変性する場所により、記憶障害や見当識障害、言語障害などが現れます。
失語も例外ではありません。同じ、失語でもダメージを受ける脳の言語領域の場所(主に、脳のウェルニッケ中枢)の違いによりその症状が変化するのです。
『言語障害とは?構音障害と失語症の症状と原因』で失語の症状についてさらに詳しく掘り下げています。
認知症の「失語」と脳卒中の「失語症」の違いと注意すべきポイント
したがって、ある人に正しい介護対応が、別の人では本人を追い詰めてしまう場合があります。
冒頭でも説明した通り、認知症を原因とする「失語」と脳卒中を原因とする「失語症」はよく似ています。それは、「失語」も「失語症」も同じく脳の損傷が原因だからです。
しかし、「失語」と「失語症」には決定的な違いがあります。それは、失語症は再発を起こさない限りそれ以上は悪化しにくいのに対して、失語は認知症の進行とともに悪化していくことです。
したがって、両者を一緒にしてはいけません。
失語症の場合は、言語聴覚のリハビリにより改善が期待できますが、末期の認知症患者で重度の失語の方に脳卒中の方と同じ内容の言語聴覚のリハビリを強要することは、本人にとって大きな負担になります。
残酷なようですが、時には現状を受け入れることも認知症の介護では必要なことです。会話が成り立たないと介護者は寂しく感じますが、本人は感じる心が残っています。言葉以外で、暖かいやり取りを持ちましょう。
こちらの記事で『言語障害(失語症・構音障害)の方とのコミュニケーションのコツ3選』認知症の失語のような言語障害がある方との関わり方を学ぶことも大切です。
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