周辺症状(BPSD)は3タイプ|回帰型・葛藤型・遊離型の対応

周辺症状,BPSD

認知症の症状は十人十色です。

特に、認知症の方の周辺症状(BPSD)は、その方の境遇や生き方が反映されるので現れ方は様々ですので、「どのようにして認知症の方の周辺症状に対応したら良いのか」悩むところです。

確かに、認知症の人全員に当てはまる「介護の教科書」というものは存在しません。しかし、一見一人ひとり違うように感じる周辺症状には、共通点が存在し、それを基準に3タイプに分類することが出来るのです。

したがって、周辺症状の3つタイプの特徴を把握し、「BPSDのタイプに応じた対応」を学ぶことで、介護がグーンと楽になります。

<目次>

  1. 周辺症状は回帰型・葛藤型・遊離型の3タイプ
  2. 回帰型の症状と介護対応
  3. 葛藤型の症状と介護対応
  4. 遊離型の症状と介護対応

周辺症状は回帰型・葛藤型・遊離型の3タイプ

周辺症状(BPSD)は、大きく分けて「回帰型」「葛藤型」「遊離型」の3タイプに分けられます。

回帰型
過去の自分に帰ろうとします。見当識障害と徘徊が主な症状です。「子供が待っている」「仕事の時間だ」と落ち着かなかったり、出て行こうとします。
葛藤型
介護されている現実に悩み老いた自分を認めようとしません。常に情緒不安定で、突然怒り出したり、怯えたりします。「馬鹿にしているのか」といって暴言・暴力を振るいやすくなります。
遊離型
現実の自分から逃げて、自信や意欲を失います。無為・自閉に陥ることもあります。

これは、竹内孝仁氏の「介護基礎額学」という本で紹介され、竹内三分類と呼ばれています。竹内三分類は、認知症の方にどのように対応すべきかの指針となり介護現場で大変重宝されています。それでは、「回帰型」「葛藤型」「遊離型」それぞれの特徴を見ていきましょう。

回帰型の症状と介護対応

回帰型の症状|徘徊や人物誤認が現れる

回帰型のBPSD

回帰型は、年老いたリ身体が不自由になった自分を認めることができない為、過去の自分に戻ることで自分を取り戻そうとするタイプです。

したがって、回帰型になりやすいタイプは、昔に仕事や家事を頑張ってきた人や他人から頼りにされてきた人です。そして、回帰するのは往々にして「自分が輝いていた時代」になります。例えば、男性なら仕事をしていた時代、女性なら育児や家事をしていた時代に回帰するのです。回帰型では次のような症状が現れることがあります。

  • 身近な人を昔の時代の人と取り違える(人物誤認)
  • 今がいつなのか、どこにいるのか分からなる(見当識障害)
  • それに伴い徘徊が現れる

しかし、どうして過去に回帰してしまうのでしょうか?それは、「自分がいくつか、周囲の人が誰か」といったことが分からなくなる中核症状の1つである見当識障害が影響しています。

回帰型の介護対応|役を演じよう

回帰型の方は、過去と現在を取り違えてしまっています。その場合、例え人間違いをされても介護者は、その役を演じ切りましょう。逆に「認知症が悪化するのではないか」と心配される方もいると思いますが、心配はありません。

本人は、「過去に戻った自分を受け入れてもらえた」という気持ちから、もう過去に回帰する必要はなくなり周辺症状が落ち着くことがあるからです。

また、徘徊症状に対しては、無理に止めずに共感を示し付き合うことで徘徊が止むことがあります。徘徊の症状や対応については『徘徊の原因と対策法』をご覧下さい。

徘徊の原因と対策法

葛藤型の症状と介護対応

葛藤型の症状|不安や暴力が現れる

葛藤型のBPSD

葛藤型は、自分の理想と年老いたリ不自由になった自分のギャップを認められずもがき苦しんでいるタイプです。

したがって、葛藤型になりやすいタイプは、教師や官僚、医師など「社会的地位が高い人や高学歴の人」になります。例えば、教師や医師、官僚などの社会的地位が高い人が理想と現実のギャップに葛藤するのです。葛藤型では次のような症状が現れることがあります。

  • 情緒が不安定で、暴力を振るったり暴言を吐く
  • 物盗られ妄想や被害妄想が現れる
  • 異食や弄便が現れる

葛藤型の周辺症状(BPSD)は、不安や抑うつ、妄想、介護抵抗といったもの現れ、それに伴い「私を馬鹿にするな」という思いから暴力や暴言、被害妄想(物盗られ妄想や嫉妬妄想)に発展することもあります。また、葛藤型の人はプライドが満たされると機嫌がよくなる一方、プライドが傷つくと深く落ち込むのが特徴です。

葛藤型の介護対応|役割作りと感謝が大事

葛藤型の方は、現在の自分に対してのやりきれない気持ちから苛立ちを覚えているだけです。その場合、プライドをさらに傷つける言葉を言ったり、暴力を無理やり押さえつけたり、身体を拘束したりすることは絶対にNGです。逆に、葛藤がますますエスカレートしてしまいます。

したがって、葛藤型の方にはお手伝いを頼んだり、感謝の気持ちを伝えたりし「自分が社会的に必要とされる存在」と認識してもらいプライドを満たすことが効果的です。また、葛藤型の人は介護や治療を拒むことがあります。その場合は、医師などの権威がある人の言うことは素直に聞いてくれる傾向にあることも葛藤型の対応のコツとして覚えておきましょう。

暴力・暴言への対応妄想とは?被害妄想の種類と対応法抑うつ症状の対応法

遊離型の症状と介護対応

遊離型の症状|意欲の低下や独語が現れる

遊離型のBPSD

遊離型は、現実の自分から逃げるように意欲が無くなり閉じこもりがちになる「無為・自閉」が特徴的なタイプです。

したがって、遊離型になりやすいタイプは、おとなしい人や素直な人、自己主張が少ない人です。ですので、遊離型は暴力や暴言、徘徊、介護抵抗といった問題行動はあまり起こしません。しかし、何の意欲も湧かず、家に閉じこもる孤独な状態は、認知症の進行スピードを加速させてしまう原因です。遊離型では次のような症状が現れることがあります。

  • 食事を食べなかったり、口に入れても噛もうとしない
  • 独り言(独語)が現れる
  • 声を掛けても返事が無く無反応である
  • 幻覚といった症状が現れる

また、遊離型は、物静かで自己主張が弱い人がなりやすいです。

遊離型の介護対応|五感を刺激せよ

遊離型の方は、現実を遮断し、閉じこもることで我を保とうとしています。その場合、無理やり現実に引き戻そうと「しっかりしろ」などの言葉をかけてはいけません。ますます自分の殻に閉じこもってしまいます。

遊離型には、「生きていることの喜び」を実感してもらうことが一番効果的です。その為には、五感を刺激するリハビリテーションを行うことが大切です。例えば、学習療法アートセラピーアニマルセラピー園芸療法音楽療法といったことに取り組み五感にアプローチしましょう。

また、介護する時は、手を握って散歩するなどスキンシップを積極的に図ることも大切です。

まとめ

これまで、周辺症状(BPSD)の3つタイプについて説明してきました。この3つのタイプは、老化に伴い現れやすい順番、つまり移行していく順番に一定の傾向があります(必ずそうとは限りません)。

一般的に、認知症の進行に伴い、葛藤型→回帰型→遊離型の順に移行していく傾向があることも覚えておくと介護の役に立ちます。

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