徘徊の原因と対策法

徘徊

みなさんに「認知症の人はどのような行動を取りますか?」と尋ねるとどのような答えが返ってくるでしょうか?

多くの人が「徘徊」と答えるのではないでしょうか?

徘徊とは、介護者が目を離した隙に家を出たり、道に迷ったり、目的地を忘れてしまうといったことが言われる症状です。

徘徊は、認知症の代表的な症状ですが、「なぜ、認知症の方は徘徊するのか」知らない方も多いと思います。また、介護者はどのようにして徘徊を予防・対策するのか悩むところです。

そんな方の為に、ここでは認知症の徘徊症状の原因から予防・対策法に至るまで詳しくご紹介しておりますので、是非介護のお役に立てて頂ければと思います。

<目次>

  1. 徘徊とは
    1. 徘徊のタイプ
    2. 原因
  2. 徘徊への対策法
    1. 未然に防ぐ予防法
    2. 徘徊をした時の為の備え
    3. 徘徊が起きた時の対応
    4. 徘徊感知・防止グッズ

徘徊とは

徘徊のタイプは2つ

徘徊のタイプ

そもそも、徘徊とはどのような行動でその原因は何なのでしょうか?

徘徊という言葉を辞書で引くと「目的もなく、うろつき回ること」と書いてあります。

辞書にも載っている通り、徘徊と聞くと何も目的が無くさまよっているイメージを持たれていると思います。しかし、実際には何も目的がないまま彷徨っているのではありません。

実は、徘徊をする認知症患者の大半は、次のように何らかの目的があって徘徊をしているケースが多いのです。

  • 本来自分が帰るべき目的地=場所へ帰ろうとする
  • 何か目的があって家を飛び出したものの、目的地を途中で忘れる

徘徊の原因

でも、なぜ認知症の方は徘徊をしてしまうのでしょうか?

記憶障害や見当識障害が根本原因

その答えは、認知症の記憶障害や見当識障害などの中核症状が原因です。認知症の中核症状が原因で、目的地を途中で忘れる(=記憶障害)、自分がいる場所が分からなくなる(=見当識障害)のです。

不安やストレスも原因の1つ

しかし、それだけではありません。

先ほども説明した通り、徘徊には次のように何らかの目的があることが多くそのことが影響しています。分かりやすく具体例を挙げて確認していきましょう。

A子さんは、離れて暮らしていた母親が認知症を発症したのをきっかけに、母と同居し介護することにしました。母には、長年住み慣れた実家からA子さんがバリアフリーに改築した新しい家に引っ越して来てもらいました。しかし、引っ越して来てから間もなく、母は昼夜問わず頻繁に外に出て迷うようになったのです。

なぜ、お母さんは外に出歩き症状が現れるようになったのでしょうか?

それは、引っ越ししたことが一番の原因だと考えられます。

新しい家に引っ越したことで、自分の住み慣れた家では感じなかった不安やストレスがを感じ元の家に戻ろうと外に出かけるのです。

徘徊への対策法

徘徊の対策

元々、記憶障害や見当識障害といった認知症の中核症状はあったとは思いますが、それだけが徘徊の原因ではありません。不安やストレスといった精神的なものが絡み合うことで徘徊行動がエスカレートするのです。

認知症の記憶障害や見当識障害は、時間が経過するに従い悪化していきます。一方、精神的な不安やストレスは介護の仕方1つでいつでも取り除いてあげることが出来ます。

したがって、徘徊を防ぐには、精神的な不安を取り除いてあげることが大切です。

徘徊の対策は「徘徊の予防」「徘徊した時の準備」「徘徊が起きた時の対応」の3つを軸に行います。それでは、それぞれのポイントを確認していきましょう。

未然に防ぐ徘徊の予防法

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認知症の方が徘徊をする場合は何らかの理由があります。その多くは「ここは自分がいるべき場所ではない」といった不安やストレスが関係しています。したがって、次のようなポイントを押さえて、本人が心地よく過ごせるよう工夫することが大切です。

介護者との信頼関係を築く

人間関係が、徘徊に与える影響は図りしれません。

介護者との関係が上手く築けていないと、居心地が悪く自分のいるべき場所でないと感じてしまい徘徊がエスカレートしてしまいます。したがって、徘徊を予防するためには、まず介護者と本人との信頼関係をしっかり築くことから始めましょう。「介護の心得」の記事を参考にして良好な関係を築きましょう。

また、デイサービスやデイケアなどに通い、共感し合える友達を作ることも心の安定には大切なことです。

共感的で優しい言葉を投げかける

認知症の方には過去に回帰して「子供を迎えに行かなければいけない」などと言って外に出かけようとする方がいます。こうした場合、「今は、お子さんはいないでしょ」など相手の言動を全否定する言葉を投げかけてはいけません。切迫している本人にこのような言葉を投げかけると、逆に意固地になり徘徊やその他の症状が悪化する場合があります。

したがって、例え、昔と今を混合していても間違っていても否定せずに、「そうね、お子さんを迎えに行かないといけないね」といった具合に切迫した気持ちに共感して話を合わせましょう。しっかりと相手の話に耳を傾けるだけで精神的に安定し徘徊が止むことがあります。

日中は活発に体を動かす

昼と夜の徘徊では、介護者にかかる負担が大きく違います。したがって、なるべく日中に散歩やデイサービス、デイケアなどに通い身体を動かして置きましょう。日中に活発的に動くことで、適度に疲れ夜間はぐっすりと眠れ夜中の徘徊が少なくなります。

また、部屋に鍵をかけるのも得策とは言えません。もし鍵をかけ部屋に閉じ込めてしまうと、お年寄りは気分を害したり、正気が失われたりしてしまい介護がより困難になることでしょう。したがって、なるべく鍵は掛けない又は掛けたとしても夜以外は掛けない方が良いでしょう。下のようなチャイムを使うのも徘徊対策にはオススメです。

個性的で落ち着ける空間を作ろう

先の引っ越しの例のように、いきなり自分に馴染みのない知らない土地に移ることは、誰でも落ち着かず不安やストレスを感じます。自分が引っ越しをしたことも忘れてしまうこともある認知症の方なら尚更です。

この様な不安やストレスから引っ越しを契機に、徘徊だけでなく他の症状も悪化するケースは多くあります。そうは言っても、認知症が進むと1人では暮らすのが難しくなり、引っ越しをしなければいけなくなることがあります。

そういう場合は、本人が居心地よく落ち着ける空間を作ることが大切です。次のようなことに気を付けてみて下さい。

  • 殺風景な部屋にせず、本人の人生を反映した個性的な部屋にする
  • 本人が今まで使ってきた洋服やタンスなどの家具、生活用品などものをそのまま使用し環境をなるべく変えない
  • 本人の許可無く、安易に物を捨てない
  • 家族写真や若かった時の写真、仕事に使っていた道具など思い出の品を飾る
  • 玄関にも思い出の絵や写真を飾る

トイレは定期的に便秘を改善

高齢者の徘徊や不穏な行動な行動は、トイレや便秘の影響も多いと言われています。

認知症になると記憶障害や見当識障害が現れ、トイレの場所や自分がいる場所が分からなくなり彷徨う場合があります。また、便秘は、不安やストレスを招き徘徊を促してしまうことがあります。

したがって、「朝起きた後、夜寝る前はトイレ」という具合に、予めトイレの時間をしっかりと決めて置き習慣化することが大切です。こうすることで、トイレに行けない不安を解消するとともに、尿意や便意を解消しトイレによる徘徊を減らすことが出来ます。

また、便秘気味な人や何日か排便が出ていない人は、「高齢者は便秘になりやすい?便秘予防と解消のポイント」の記事を参考に便秘解消しましょう。

排泄ケアを行うことで、夜間の徘徊が改善したというケースも多くあります。

徘徊をした時の為の備え

徘徊の対応

万一、徘徊をした時の為に備えておくことも大切な介護対応です。

服装や身だしなみに気を付ける

認知症の方は、時間の見当識や判断力、体温調節機能が低下し真冬に半袖半ズボンで出ていこうとすることもあります。真冬に真夏の格好で徘徊するのですから、凍え死んでしまうかもしれません。したがって、介護者の方はタンスの洋服を衣替えしたり玄関に季節に合った服を置くなどして対応しましょう。

私物に名前や住所を書き込みGPS付きの靴やアクセサリーを取り付ける

もし、徘徊した時に備えて、洋服や帽子、カバンなど身の周りの物に名前と住所、連絡先を記入しておきましょう。最近では、GPS付きの靴やアクセサリーも売っています。GPSを使うことで、本人の居場所をいち早く探し出すことができますので、是非活用してみましょう。

予め本人が立ち寄りそうなところや近隣の人に連絡

認知症の徘徊は、介護者1人で対応しようと思うと大変です。恥ずかしがらずに、周りの人に協力してもらいましょう。

予め、本人が立ち寄りそうな場所や近隣の人に、本人を見かけたら声を掛けてもらうようお願いしておきましょう。そして、もし徘徊しているようなら、直ぐに連絡をしてもらうようにお願いしておきましょう。国が推進している「徘徊見守りSOSネットワーク」という取り組みもございますので、地方自治体に問い合わせ事前登録も済ませておくこともオススメします。

また、お年寄りの徘徊には、時計まわりに曲がるお年寄りが多いという特徴も覚えておくと良いでしょう。

車の免許の返納

同じ徘徊でも「徒歩」と「車」では、まったくその危険性が違います。認知症の方は、運転中に目的地が分からなくなったり、アクセルとブレーキを踏み間違えたりすることが多くなります。最悪、他人を傷つけ死なせてしまうこともあります。

したがって、認知症を発症した場合は、なるべく「徒歩」で移動してもらいましょう。

しかし、なかなか「車」に乗ることを止めてもらえないことがあります。そういう場合は、「高齢者や認知症の方に運転をスッキリ止めてもらう5つのコツ」を参考にして説得してみて下さい。

徘徊が起きた時の対応

徘徊が起きた時の対応

歩きたいようにあるかせる気が済むまで

「徘徊すると危ないから」と一日中部屋に鍵をしめ本人を閉じ込めてしまう介護者さんもいます。しかし、それは得策とは言えません。

鍵をかけた狭い空間では、誰でもストレスを感じてしまいます。物理的に徘徊は出来なくなっても、暴力や介護拒否などの他の症状が現れたり、誰とも接しないことで認知症が悪化したりし、より介護が困難になるからです。

落ち着かないお年寄りに振り回されるよりも、鍵を開けた空間で落ち着いたお年寄りを相手にしている方が楽です。

また、歩くことは足腰に良いことです。したがって、なるべく徘徊が始まった場合は、訴えの内容がどれだけ奇妙であっても、無理やり説得してはいけません。本人の話に共感を示し、満足するまで後をつけ見守りましょう。徘徊に付き合うときは、黙って歩かず会話しましょう。回帰が起こったことをきっかけに、一緒の時間を過ごすことが大切です。

徘徊感知防止グッズ

認知症で徘徊が心配される方の為に、未然に徘徊を感知したり、防止、追跡するためのグッズがあることをご存知でしょうか。

要介護2以上の人がレンタルできる介護用品の1つに「認知症老人徘徊感知機器」があります。厚生労働省の告示による規定では、「認知症である老人が屋外へ出ようとしたなど、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの」とされています。

具体的には、次のようなタイプがあります。

通過センサー型 赤外線センサーを廊下や玄関などに設置し、誰かが通行すると別室へ警報を発信するもの
マットセンサー型 重量センサーのついたマットを室内、廊下、玄関などのどこかへ敷き、誰かが踏んだら別室へ知らせるもの
送信機型 小型発信機のついたお守り等を認知症の高齢者に身に着け、玄関などの決められた場所を通ったら別室へ知らせるもの

これらは、介護保険の福祉用具貸与サービスを利用して、月額1~2割の自己負担でレンタルすることが出来ます。離床を知らせるセンサーもありますが、このタイプは介護保険の対象外です。

民間サービス

今まで紹介してきた認知症老人徘徊感知機器は、お年寄りがいったん家を出てしまった場合、位置情報を把握することは出来ず連れ戻すことが難しいです。また、「会社へ行かなければいけない」などと言って思い詰めた表情で家を出たお年寄りは、意外に早歩きです。

そんなときに頼りになるのが、民間の位置検知サービスです。

ここで2つの民間位置検知サービスをご紹介します。

ココセコム セコム株式会社が提供しているサービスです。GPS機能が搭載されている機器をお年寄りに持たせることで、居場所をパソコンや携帯電話で調べることが出来ます。もしも家族が迎えに行けない場合、緊急対処員が本人の元へ急行し連れ戻してくれるサービスがあります(別サービス)。また、本人が助けを求め通報することも可能です。加入料と月額使用料がかかります。
ここっぴ GPS機能のついた携帯電話をお年寄りに持たせることで、本人の居場所の地図を家族の携帯電話に表示できるサービスです。また、お年寄りが一定のゾーンを通ったことを家族に知らせる機能もあります。月額使用料は、それぞれのスマートフォンや携帯電話の料金に加算されます。

これらは民間企業が行っている有料サービスなので、それなりの費用が掛かります。しかし、徘徊をさせないように、認知症の方を、閉じ込めたり身体拘束をしたりすることは認知症の症状をさらに悪化させる原因になりますので、このような民間サービスも検討してみてはいかがでしょうか。また、行政サービスでも行っている自治体もあるので調べてみて下さい。

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