リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ|認知症の張り薬

リバスタッチ,イクセロンパッチ,リバスチグミン

リバスチグミンという認知症の薬を知っているだろうか?

リバスチグミンは一般名であり、日本国内で販売されている商品は2種類存在します。

  1. リバスタッチパッチ
  2. イクセロンパッチ

ここからは、リバスタッチ・イクセロンパッチで統一して説明していきます。

このリバスタッチ・イクセロンパッチには、他の認知症の中核症状に作用する薬とは、大きく異なる点がいくつか存在します。そして、これがリバスタッチ・イクセロンパッチの最大の特徴であり長所なのです。

このリバスタッチ・イクセロンパッチの特徴を上手く利用することで、認知症治療の選択肢が劇的に広がります。

したがって、是非、ここでリバスタッチ・イクセロンパッチについての理解を深めて治療に活かしていただければと思います。

リバスタッチ・イクセロンパッチとは

リバスタッチ・イクセロンパッチの開発の経緯を確認していくあたり、大変重要なことがあります。それは、リバスタッチ・イクセロンパッチは、認知症の治療薬の中で、唯一張り薬として登場したパッチ製剤(=張り薬)ということです。

それでは、なぜリバスタッチ・イクセロンパッチが認知症の薬の中で唯一のパッチ製剤として、開発・使用されているのかその経緯を探っていきましょう。

唯一の認知症の張り薬開発ストーリー

リバスタッチ

出典:小野薬品工業株式会社

元々、リバスタッチ・イクセロンパッチは、冒頭で登場した「リバスチグミン」という名前の経口薬(=飲み薬)として、スイスのノバルティス ファーマ社で開発された薬です。飲み薬としては、1997年にスイスで初めてアルツハイマー型認知症の治療薬として承認されました。

しかし、飲み薬としてのリバスチグミンは吐き気などの副作用が強すぎたために、広く普及しませんでした。

ですがその後、リバスチグミンが低分子であることを利用して、張り薬としての開発が進められました。そして、リバスチグミンのパッチ製剤が誕生したのです。

パッチ製剤としては、2007年にアメリカで承認されて以来世界中に広がり、2015年5月現在世界92か国以上で使用されています。そして日本でも、ノンバルディス ファーマ株式会社と小野薬品工業株式会社が国内で臨床試験を行い、アルツハイマー型認知症に対する本剤の有効性及び安全性が確認され、2011年7月から販売が開始されました。

現在リバスチグミンのパッチ製剤としては、この2社がそれぞれ別名で販売しております。

商品名 開発及び販売会社
リバスタッチパッチ 小野薬品工業株式会社
イクセロンパッチ ノバルティス ファーマ株式会社

リバスチグミンの作用機序

リバスタッチ・イクセロンパッチの作用機序と効果

リバスタッチ・イクセロンパッチは、アリセプトレミニールと同じアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の1つです。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とは、次のような2つの作用がある薬です。

1.アセチルコリンエステラーゼ阻害作用

アルツハイマー型認知症を発症すると、脳内の「アセチルコリン(ACh)」という神経伝達物質の生産量が減少し記憶障害などの認知障害が発生します。しかも、脳内に元々存在する「アセチルコリンエステラーゼ(AchE)」という分解酵素の働きによって、少なくなってしまったアセチルコリンが分解されてしまうので、極端にその量が減少してしまうのです。

アルツハイマー型認知症

ところが、アセチルコリンが減る原因は他にもあるのです。

2.ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用

アルツハイマー型認知症が進行し、神経細胞が脱落してくると、脳内では神経細胞に代わってグリア細胞が増加します。その結果グリア細胞から生産される「ブチリルコリンエステラーゼ(BchE)」という分解酵素が活性化されます。なんと、このブチリルコリンエステラーゼにもアセチルコリンを分解する作用があるのです。

こうして2つの分解酵素によって分解されたアセチルコリンの量はドンドン減少し、認知症の中核症状が進んでいくのです。

薬の作用効果

リバスタッチ・イクセロンパッチもアリセプトやレミニールといったアセチルコリンエステラーゼ阻害薬と同じく、分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼの働きを邪魔します。この作用により、脳内のアセチルコリンの減少を防ぎアセチルコリンの量を増やし、情報伝達経路を活性化させることで、記憶障害などの認知症状の改善を図ります。

それだけでなく、リバスタッチ・イクセロンパッチには、先に説明したブチリルコリンエステラーゼ(BchE)の働きも同時に阻害する作用もあります。

このことからリバスタッチ・イクセロンパッチは、既にアルツハイマー型認知症がある程度進行し、脳内の神経細胞が脱落してグリア細胞が増えてきた時期でも、アリセプトやレミニールにはない中核症状への効果が期待できます。

リバスタッチ・イクセロンパッチのメリット

リバスタッチ・イクロセロンパッチの使用メリット

リバスチタッチ・イクセロンパッチは唯一の張り薬であり、ブチリルコリンエステラーゼにも作用するという特徴があります。

そのことから、リバスタッチ・イクセロンパッチには、いくつかのメリットが存在します。

  • 他のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬よりも、周辺症状に対して興奮作用が弱い
  • 食前や食後などの制約が無く、投与タイミングを制約する必要がない
  • 強い副作用が現れたとしてもパッチを剥がすことで、即座に薬の吸収を止められ、副作用のさらなる重症化又は重篤化を回避可能
  • 張り薬なので、嚥下障害のある人・薬を飲むことが困難な人でも、投与が出来る
  • 薬の管理が視覚的に出来る。張り薬なので、パッチの表面に「何月何日」に張ったかを記入することもでき、記憶障害がある方でも管理がしやすい
  • 飲み薬とはちがって 有効成分が皮膚から徐々に吸収されるので、薬剤の血中濃度の乱高下が少なく、長時間一定に保たれる。したがって、他のコリンエステラーゼ阻害薬よりも、消化器症状(吐き気や嘔吐)の副作用が少ない

したがって、他の認知症の薬で「効果が得られなかった・副作用が強かった」などの理由で使用できなかった人が、リバスタッチ・イクセロンパッチに切り替えることで治療がスムーズにいく場合があります。

特に、レビー小体型認知症のように薬剤過敏性が特徴の認知症には、比較的副作用が弱いリバスタッチ・イクセロンパッチを処方する医師もいます(ただし、レビー小体型認知症へのリバスタッチ・イクセロンパッチ処方は適用外になります)。

ただ、アセチルコリンエステラーゼの働きを阻害するという基本的な作用機序がアリセプトやレミニールと同じなので、リバスチグミンとこの2剤を併用することは出来ません。

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リバスタッチ・イクセロンパッチの使用方法

リバスタッチ使用方法

リバスタッチ・イクセロンパッチの使用方法としては、1日1回の貼り換え投与が基本です。

  • 軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者が適用対象です(高度アルツハイマー病及びその他の認知症は保険適用外)。
  • 原則、1日4.5mgの使用から開始し、4週間ごとに4.5mgずつ増量し、1日18mgで維持する。
  • 入浴後など決まった時間に張り替える。間隔が長くなると薬の効果が弱まってしまうことを避ける。
  • 必ず前に張っていた分をはがしてから、新たな物を貼る。前の薬が残っていると
  • かぶれなどの皮膚症状を防ぐ為には、薬剤を張る部位に気を付けることが大切です。なるべく皮膚が強く、本人がうっかりはがしたりしにくい背中などを選ぶと良いでしょう。また、同じ場所に続けて張らずにその都度場所をずらし、はがした後を保湿するだけでも、皮膚症状の改善が期待できます。

【かぶれを防止する保湿方法】

  1. 使用済みのパッチを優しくゆっくりはがしましょう
  2. はがした部位の周辺に保湿剤を塗りましょう
  3. 保湿剤のついている部分ははがれやすいので、反対側に新しいパッチを張りましょう
  4. 左右ローテーションで1~3を繰り返しましょう

【かぶれにくい部位】

  1. 背中
  2. 上腕
  3. 胸部

☆特に、背中は、本人がはがしにくく、皮膚が強い部位なのでオススメです。

副作用

リバスチグミン・イクセロンパッチの国内臨床試験において、副作用の圧減率は83.9%と非常に高い割合でした。

しかし、この副作用の内容の多くは皮膚のかぶれなど軽度なもので、投与を中止しなければならない程深刻な副作用はほとんどありませんでした。

ですが、いくらリバスチグミン・イクセロンパッチは副作用が弱いと言っても、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬には変わりありません。特に、消化器症状や心疾患、ぜんそくなど気管支や肺に疾患がある人は、重篤な副作用が起こらないよう注意して下さい。

薬価

2015年時点でのリバスタッチ・イクセロンパッチの薬価は、下の表のようになります。

容量 薬価
4.5mg 346.80円
9mg 390.50円
13.5mg 418.60円
18mg 439.70円

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