薬の飲み忘れ・飲み過ぎを防止せよ『認知症や高齢者必見』
薬ってついつい飲み忘れてしまいませんか?
大して問題が無い薬なら、2~3回服用しなかったとしてもほとんど心配はないでしょう。しかし、生命を左右するような特別な薬を飲み忘れることは、最悪死に繋がりかねません。また、影響が少ない薬でも、何度も飲み忘れが続いた場合は治療に影響が出てきます。
特に、「高齢者や認知症の方」は薬の飲み忘れ、飲み過ぎ、飲み間違えが多くなる傾向があります。
例えば、高齢者は、高血圧や糖尿病などが重なり複数の薬を服用することが多くなり、また視力も低下してくるので薬の管理が煩雑になりがちです。さらに認知症を患うと記憶力が低下し、薬を飲み忘れるだけでなく、薬の存在さえ忘れてしまうことがあります。
その為、高齢者や認知症の方の服薬に関する事故が後を絶ちません。きっと多くの介護者が頭を抱えているはずです。
- 「どうしたら、薬をしっかりと服用してもらえるのか?」
- 「遠距離介護なので、母が薬を飲めているか心配。」
この記事は、介護者の大きな悩みの種である「服薬管理」について解説していきます。ぜひ「薬の飲み忘れ、飲み過ぎ、飲み間違え」による悲しい事故を防ぐためにも参考にして下さい。
<目次>
1.薬の飲み忘れ、重複、飲み違いを防ぐ服薬管理法7選
それでは、実際に「飲み忘れ、飲み過ぎ、飲み間違いを防ぐ為の服薬管理法」をご紹介していきます。ご紹介する服薬管理法は、1つだけでなく、2つ3つと組合せることで、より効果的です。
1.【お薬カレンダーや薬ケース】飲み忘れ防止グッズを活用せよ
薬剤の管理には、お薬カレンダーや薬ケースが大変便利です。
お薬カレンダーは、その名の通り「カレンダー」のように「曜日別」、「時間帯別(朝・昼・夕・就寝前)」にポケットが付いて、そこにお薬を収納します。お薬カレンダーは、「どの薬をいつ服用するのか」「薬をしっかり服用できたのか」を一目で確認できるため、飲み忘れ・飲み間違え・重複飲み防止に役立つグッズです。複数のお薬をポケット一カ所にまとめられるのもメリットです。
日付や曜日、時間帯の見当識がある人は、かなりの割合で薬の飲み忘れ、重複が減らせます。カレンダーの前に時間と日付、曜日の分かるデジタル式時計を置くとより確実性が高まります。
お薬カレンダーには沢山の種類があります。壁掛けタイプだけでなく、薬ケースにカレンダーが付いているタイプ、携帯できるタイプなど多くの商品が販売されています。
是非、お薬カレンダーを選ぶ際は、本人と一緒にお店に出かけて本人好みのものを選んでもらいましょう。そうすることで、カレンダーに愛着が湧き服薬を忘れにくくなります。また、お薬カレンダーに薬を収納する時は、一緒に収納作業を行うとより記憶が定着しやすくなり飲み忘れ防止に繋がります。
参考リンク>>正しい薬の飲み方「食前・食後・食間」について学ぼう
2.複数の薬を「一包化」して管理を簡単に
一回に飲む薬の種類が多い場合は、1回分の薬を同じ袋に入れてまとめる「一包化」する方法を取りましょう。
高齢者は薬の種類が多くなり「いつ何を飲めばよいのか」管理がややこしくなることがあります。また、認知症の方は「どの薬を飲めばよいのか」判断する能力に障害が現れます。そのため「同じ薬を重複して2錠飲んでしまったり」、「朝飲む薬を飲み忘れたり、飲み間違えたり」してしまうことが起こってしまうのです。
このような場合は、医師や薬剤師に頼んで薬を「一包化」してもらいましょう。「一包化」することで、薬の管理が簡単になり、飲み忘れ防止や飲み過ぎ防止に繋がります。さらに、薬の包に「服用時間(朝・昼・夜、食前・食後・食間)」を印字してもらうとより飲み忘れ、飲み間違いを減らせます。
3.メモや電話で確認を取ろう
家族が不在の場合に、オススメなのが「メモや電話で確認」を取る服薬管理法です。
認知症の代表症状は「記憶障害」です。記憶障害により、薬を飲むこと自体を忘れてしまうことも少なくありません。そこで、本人の目に入りやすい位置に「お薬飲んでね」などのメモを貼っておくと服薬を思い出してもらえます。
例えば、「本人がご飯を食べる席」や「食事の上」に添えておきましょう。また、お薬カレンダーの横に「今日は月曜日の薬を飲んでね」といった具合に指示を書くとより効果的です。
遠距離介護でメモを残すことが難しいなら、薬を飲む時間を見計らって電話をして確認しましょう。
4.しっかり服薬できているか確認する方法
薬をしっかり飲んだかどうかの確認は重要です。介護者は、口の中を見て薬が残っていないか出来る限り確認するのが良いでしょう。
しかし、他人に何度も確認されると誰でも腹が立つものです。それは、高齢者や認知症の方でも同じことです。
そこで、薬がしっかりと飲めているかどうか「ごみ箱の薬の空き袋で確認する方法」を使ってみて下さい。こうすることで、本人のプライドを傷付けずに服薬できているかどうか確認することが出来ます。
他にも、「飲み終えた空袋をお薬カレンダーの元のポケット位置に戻す」「飲んだらチェックシートに丸を付ける」など独自のルールを決めておくと、より家族が確認しやすいだけでなく、本人にとってもそれが習慣化され薬の飲み忘れ、重複を防ぐことが出来ます。
5.訪問介護やデイサービスに頼んで飲ませてもらう
認知症が進んでくると、どうしても上記の方法を使って工夫しても飲み忘れや重複が発生してしまうことが増えてきます。そういった場合は、認知症の方が1人の時は薬を飲まないように徐々にシフトしていきましょう。
例えば、遠距離介護や介護者が不在の場合は、ホームヘルパーや訪問看護の看護師に頼む、デイサービスやデイケアで遅れて薬を飲ませてもらう方法を取りましょう。薬を正しく飲むには「食前・食後・食間」など正しい時間に服薬することが重要です。しかし、1時間程度ならずらしても飲まないよりも、飲んだ方が問題は少ないです。
ただし、中には時間がずれると問題がある薬や人もいますので、自己判断で勝手に服薬時間をずらすのではなく、念のため医師や薬剤師に「服薬時間をずらしても大丈夫かどうか」確認をとった上で行って下さい。
6.嚥下障害や服薬を拒否する場合は、剤形を変えて対処する
認知症の方の中には、「薬の味がまずかったり」、「薬を飲む必要性が分からなかったり」、などの原因で、服薬自体を拒否してしまう人も少なくありません。中には、「被害妄想から毒が入れられているといって」薬を床に吐き出してしまう人もいます。また、嚥下障害がある方は薬の飲み込みが困難になります。
もし、そういった場合は、薬の形や大きさ、味が原因かもしれません。医師に相談し薬剤を違う形状のものに変えてもらいましょう。同じ薬でも、飲み込みやすさに合わせて様々な形状があります。錠剤やカプセルが飲み込めないなら粉薬、水薬、ゼリー剤、張り薬、軟膏にと処方を検討してもらいましょう。
認知症の薬では、リバスタッチパッチという張り薬を使うことで、嚥下障害などで服薬が困難になった人でも口に薬と入れることなく服薬することができ便利です。
他にも、甘味のあるトロミのついた水分と一緒に内服してもらうなどの方法も有効です。また、「食後」と処方されていても、お腹が一杯になり薬が飲めないような時は、「食前」に時間をずらしてもらえないか医師に相談しましょう。
7.食べ物に混ぜる
薬を飲むのを嫌がるからと、食べ物や飲み物に混ぜることは最終手段です。なぜなら、食事の味が変わるため、食べ残しが多くなり、栄養バランスが崩れるだけでなく薬の服用量を守れなくなるからです。そのまま飲めない為に何かに混ぜるとしたら、一口分のゼリーやスプーン1杯分のジュースなど、全量が確実に口に入る量にしましょう。
まとめ|合わせ技で対応しよう
ここでご紹介した方法どれか一つだけではなく、メモとお薬カレンダーを併用するなどすると、より服用の確実になります。
例えば、
- まず、お薬を一包化してもらう。
- メモを食卓テーブルの上に貼ってお薬カレンダーの存在を思い出してもらう。
- お薬カレンダーを使い曜日・時間別の服薬管理を徹底する。
- 声掛けや電話、空き袋などで薬を飲めたか確認する。
このように、1つだけでなく、2つ3つと組合せることで、より薬の飲み忘れ、飲み違い、重複が少なくできます。
2.服薬管理の心がまえ
ここまで、服薬管理法について学んできましたが、最後に服薬管理に対する介護者の心がまえについてお話します。
自分で出来ることは自分で!介護者はサポート役に徹しよう
ご家庭では、認知症の方が自ら薬を管理することに不安を感じるのではないでしょうか?なぜなら、認知症は、記憶障害や日にちの見当識障害など知的な脳の機能が低下する病気です。その為、必ずと言っていいほど薬の「飲み忘れ、飲み過ぎ、飲み間違え」が起こってきます。
しかし、服薬が困難だからといって、非難したり、介護者が全面的に管理してしまったりするのは適切ではありません。高齢者の中には「お医者さんから処方された薬を飲む日課」を大事にしている人もいますし、自分で薬を管理したいと望む人もいます。そういった方の権利を全て奪ってしまったらどうなると思いますか?
きっとプライドが傷つき、生きがい失ってしまい精神が参ってしまいます。また、本人が頭や体を動かす機会をも奪い身体機能の低下にも繋がりかねません。これでは、認知症の進行スピードが加速しまう恐れがあります。
したがって、本人が少しでも服薬管理に関われるようでしたら、本人ができることは自分でやってもらいましょう。例えば、一緒に薬を仕分け、お薬カレンダーに収納するなど些細なことでも結構です。本人の気持ちを尊重しつつ、安全に服薬出来るような関わり方が大切です。
介護者は飲み忘れや飲み過ぎ無いように工夫をしてサポート役に徹することが大切です。
残存能力に合わせて臨機応変に対応しよう
ただ、認知症が進行してくると今までの服薬管理法が使えなくなるケースも多々あります。例えば、お薬カレンダーを使って自分1人で服薬管理が出来ていた人が、段々と飲み忘れや飲み過ぎが多くなってくることがあります。そういった場合は、その方の症状に合わせて最善の介護対応を、その都度考えていく必要があります。
コメント