これで安心!レビー小体型認知症の方への介護のコツ6選

レビー小体型認知症の介護対応

レビー小体型認知症の症状は、認知症の代表的な症状である「記憶障害」だけではありません。

  • 「幻視」
  • 「妄想」
  • 「パーキンソン症状」
  • 「うつ症状」
  • 「レム睡眠行動障害」
  • 「自律神経症状」

これら全てが「レビー小体型認知症」の症状として現れます。

これらすべての「レビー小体型認知症」の症状を治療薬によりコントロールすることは難しく、また、治療薬が増える程、様々な副作用が現れてしまうことは想像に難くないはずです。

だからこそ、治療薬だけに頼るのではなく、病気の特性や本人に現れやすい症状の傾向をしっかりと捉えた上で、「レビー小体型認知症」の方を安全かつ安心して介護することが大切です。

この記事では、「レビー小体型認知症」によく現れる症状を中心に、介護対応のコツをご紹介しております。是非とも、レビー小体型認知症の方を介護するご家族さんや介護関係者の方の不安解消に役立てていただければと思います。

レビー小体型認知症の方を介護する上での心構え

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家族がレビー小体型認知症と診断され、途方に暮れている方も少なくないでしょう。

  • レビー小体型認知症とはどんな病気なのか?
  • どのように介護していけばよいのか?

家族は、レビー小体型認知症が原因で「幻視」「うつ症状」「体が不自由」「記憶障害」になっていることが分かっていたとしても、「昔はこうじゃなかった」と落ち込んだり、本人に強く当たってしまったりすることもあるでしょう。それは、仕方がないことです。

しかし、いつまでもレビー小体型認知症であることを受け入れず、ストレスを抱えたままでいると介護が上手くいくはずはありません。きっと本人を否定したり、叱責したり、無視したりすることでしょう。

介護者の言動や行動で、本人が傷ついたり怒ったりしたとしても、「認知症だからすぐ忘れるだろう」と思っていませんか?それは大きな間違いです。

介護者の不適切な言動や行動により、さらにレビー小体型認知症の症状の悪化を招いてしまうかもしれませんよ。

レビー小体型認知症の負のスパイラル|人もプライドや感情はある

スパイラル

レビー小体型認知症では、記憶障害は初期の段階では目立たないほど軽度であることが多いです。また、例え記憶障害があったとしても、プライドや感情といったものは失われることはありません。その為、もし介護者がプライドや感情を傷つける言動や行動をとってしまうと、本人は大きなストレスや孤独を感じてしまいます。

レビー小体型認知症も含め認知症は、ストレスや不安感により、その進行が加速度的に早まります。そうなると、ますます介護が困難になります。そして、また傷つく言動や行動を招き、ストレスや不安感で症状が悪化・・・・・・・

という具合に、負のスパイラルに陥ってしまいます。したがって、本人の気持ちを尊重し、優しく接するとともに、レビー小体型認知症で現れやすい症状への対応を知っておくことが、介護をスムーズかつ和やかに行うことが出来ます。

介護をスムーズに行っていくコツは、「長期の在宅介護生活で介護疲れにならない為の5つのポイント」で詳しく解説しております。

レビー小体型認知症を理解し、環境を整える

レビー小体型認知症の症状は多彩であり、現れる症状やその程度は1人1人違います。また、レビー小体型認知症の場合、認知機能の調子が良い時、悪い時が波状に繰り返しやってくる認知機能に波があります。

したがって、レビー小体型認知症の方を介護する上で、その人の現れやすい症状や認知の変動の波の周期をつかむことが大切です。

  • 「パーキンソン症状」が現れやすいけど、「うつ症状」は現れない
  • 夜中に「幻視」が現れやすい
  • 嚥下障害がある

このようにその人の現れやすい症状や認知の変動の波の周期の傾向をつかみ、ご家族やヘルパー、デイサービスの職員といった介護者全員で共有し、対応策を練ることが大切です。

幻視への介護対応

幻視

レビー小体型認知症の特徴的な症状の1つが「幻視」です。なんと、レビー小体型認知症患者の8割以上の人に現れます。

「幻視」とは、実際には存在しないものが現れる幻覚症状の1つです。レビー小体型認知症では、視覚を司る後頭葉がダメージを受けやすいのも「幻視」が現れる一因です。

幻視の特徴

  • レビー小体型認知症の方にとっては、かなりリアルに実際に存在しないものが見える「幻視」が現れます
  • 暗さや精神的孤独が誘因となり、夕方から夜間にかけて現れやすい
  • 部屋に物が多かったり、人形や壁紙の模様、絵などを見たりして見間違いや錯覚を招くことがある

レビー小体型認知症の幻視への介護対応

  • 「幻視」は本人にとってはリアルに見えているので、バカにしたり叱責・否定したりしない
  • 見えている物が「どのようなものか」「どこにあるのか」といった情報をしっかりと聞き、本人に理解を示しつつ、不安や興奮を落ち着かせる。
  • 「私には見えないけど、どこにいるの?」と否定も肯定もせず原因を聞きだす
  • 「幻視」は自分から近づいたり、触れたりすると消えることが多いので、本人と一緒に近づき触ってみる
  • レビー小体型認知症の「幻視」は、自分から近づいてきたり、襲ってきたりすることはないので、一度その場から離れてみるのも良い
  • 暗がりで「幻視」は現れやすいので、いったん明かりをつけるなどすると良い
  • 錯覚を起こす原因となった人形や絵、服などを取り除くことで、錯視の原因を失くす

妄想への介護対応

妄想

レビー小体型認知症では、幻視と一緒に妄想を起こしやすく、突飛な行動を起こすことがよくあります。

レビー小体型認知症の妄想の特徴

幻視を原因とすることが多く、本人にとってはリアルであり「泥棒が現れたから、警察を呼ぶ」など合理性のある行動をとる

レビー小体型認知症の妄想への介護対応

  • 妄想は幻視から生じることが多いので、幻視の時の介護対応と耳を傾ける
  • 否定も肯定もせず妄想の原因を確認しつつ、本人を落ち着かせる。否定は厳禁!本人にとっては合理性がある行動なので、バカにされたり、否定されたりすると、妄想がエスカレートする
  • 幻視への対応と同じように対応し、不安を取り除く

つまずきや転倒の介護対応

つまずき転倒

レビー小体型認知症では、「パーキンソン症状」「視覚障害」「薬の副作用」「認知機能障害」といった複合的な原因により、運動機能が低下し、転倒やつまずきを招くことがあります。なんと、レビー小体型認知症の方は、アルツハイマー型認知症の方と比べて10倍も転倒やつまずきが多いという報告があるくらいです。

レビー小体型認知症の転倒やつまずきへの介護対応

レビー小体型認知症では、以上のような理由から転倒やつまずきが起こしやすくなっています。しかし、転倒やつまずきの原因はそれだけではありません。住環境や外出時の不注意などが原因として、転倒やつまずきが起きやすくなります。したがって、住環境をバリアフリー化することで転倒やつまずきの原因を1つでも取り除く対応が大切です。

  • 洗濯物などの物を床におきっぱなしにしない
  • スロープを付けて段差をなくす
  • 手すりや照明をつけて明るくすることで視認性を十分確保する
  • サンダルではなく、しっかりと靴を履く
  • 外出時など介護者が転倒やつまずきを招きやすい場所を注意喚起する
  • トイレはその人の状態に最適な方法を選択する

嚥下障害・誤嚥性肺炎の介護対応

嚥下障害

パーキンソン症状や自律神経症状から嚥下障害になり、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。

レビー小体型認知症の嚥下障害・誤嚥性肺炎への介護対応

  • 本人の状態にあった食事を出す
  • とろみ剤などを使用し、嚥下しやすいよう工夫する

嚥下障害について「嚥下に問題がある人に「食べやすい」ごはんの作り方のコツ」で詳しく解説しております。

うつ症状やレム睡眠行動障害への介護対応

うつ

レビー小体型認知症ではうつ症状やレム睡眠行動障害が現れます。そして、このうつ症状は薬の飲み合わせの問題もありなかなか治療薬で改善させることが困難な症状です。したがって、より介護対応により改善を図ることが大切になってきます。

レビー小体型認知症のうつ症状やレム睡眠行動障害の特徴

  • うつ症状により、生活のリズムが乱れうつ症状や他の症状の悪化を招く
  • 不安やストレスが多いとうつ症状やレム睡眠行動障害が現れやすい

レビー小体型認知症のうつ症状やレム睡眠行動障害の介護対応

  • 食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善を図る
  • ストレスや不安を取り除くように、社会活動に積極的に参加させ孤立させない

うつ症状やレム睡眠行動障害については次の記事をご覧ください。

便秘への介護対応

便秘

レビー小体型認知症では、自律神経の乱れから「便秘」を起こすことがあります。便秘になると不安やストレスの原因となり、他の症状の悪化を招くことがあります。したがって、しっかりと排便できるよう生活習慣を整えたりストレッチをすることが大切です。

レビー小体型認知症の便秘への介護対応

便秘の解消法については「高齢者は便秘になりやすい?便秘予防と解消のポイント」で解説しております。

まとめ

レビー小体型認知症の症状は多彩かつ現れる症状やその程度は個人差があります。したがって、どのような症状が現れやすいのかしっかりと把握した上で、本人に合わせた介護対応を行っていきましょう。

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