ストレスやうつ病が認知症や若年性アルツハイマーの原因!
私たちが生活を送るうえで、ストレスは切り離せないものです。
日頃、私たちは様々な刺激を絶えず受けています。例えば、ご飯を食べる、テレビを見る、会話するといった何気ないことからも刺激を受けています。そして、大部分の刺激は自然と処理されますが、一部の刺激は心理的ストレスとして残ってしまいます。そして、徐々にストレスが溜まることでうつ病などの病気を引き起こす原因となってしまうのです。認知症や若年性アルツハイマー病もその例外ではありません。次のデータを見て下さい。
- 仕事のストレスが30年後に認知症発症に及ぼす影響は、ストレスに過敏な人では認知症のリスクが1.57倍に高まる
- 高齢期のうつが認知症のリスクを約2倍に高める
これらデータが示すように、ストレスが神経細胞にダメージを与え認知症や若年性アルツハイマー病の病変を加速させてしまうのです。
そうならない為にも、この記事では「ストレスやうつが認知症や若年性アルツハイマー病に与える影響」「うつ病の発見方法」「うつ病の予防・治療法」について解説しておりますので、是非参考にして下さい。
ストレスが認知症や若年性アルツハイマー病に与える影響
ストレスが加わると、コルチゾールというストレスホルモンが副腎皮質から放出されます。このストレスホルモンが脳内で働くと、神経細胞にダメージを与え、記憶が悪くなるのです。さらに、ストレスホルモンは、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβの沈着を加速し、認知機能を低下させることも分かっています。
つまり、ストレスは、アルツハイマー型認知症や若年性アルツハイマー病の病変形成を促進する可能性があることを示しています。
うつ症状で認知症のリスクが倍増
うつ状態が、認知症や若年性アルツハイマー病に与える影響は計り知れません。高齢期のうつが認知症のリスクを高めることが、研究により分かっています。次のデータを見て下さい。
- 認知症全体では1.85倍
- アルツハイマー型認知症は1.65倍
- 脳血管性認知症は2.52倍
アルツハイマー型認知症よりも脳血管性認知症の方が、発症初期にうつ症状が高頻度な事と合致します。また、認知症や若年性アルツハイマー病の前段階である軽度認知障害(MCI)の段階でうつ状態だと、認知症への移行率が倍増すると言われています。
まだ、他にもこんなデータがあります。
- 高齢者にうつがあると2倍も認知症を発症しやすい
- 若年性アルツハイマー病やレビー小体型認知症の初期にはうつになり易い
この様に、うつと認知症や若年性アルツハイマー病には深い関係にあります。したがって、うつ病を早期発見し、すぐに治療を始めることが、認知症や若年性アルツハイマー病の予防や治療に繋がると言っても過言ではないでしょう。
しかし、そうはいってもどのようにしてうつ状態かどうか判断するのでしょうか?では早速、見ていきましょう。
うつ病を早期発見し、認知症を防ぐ
うつ病を早期に発見するためには、その症状を知っておくことが大切です。次のような悲観的な訴えが多いと、うつ病が疑われます。
- 何をやっても楽しくない
- 何も決められない
- 迷惑ばかりかけて自分はダメな人間だ
- 心配で落ち着かない
高齢期には、配偶者の死などの喪失体験、若い人は若年性アルツハイマー病の影響で仕事が思い通りにいかないといったことがうつ病のキッカケとなります。
また、趣味を止めてしまったり、弱音を吐くようになったりすると、しばらくしてアルツハイマー型認知症を発症するケースがよくあります。したがって、そういったことを手掛かりにうつ症状を早期の段階で発見し対応することが大切です。
次のうつ病の診断基準を参考にセルフチェックしてみて下さい。
うつ病の診断基準
次の9項目の内、ほぼ毎日、2週間以上継続している項目が5つ以上ある場合は、精神科か心療内科に相談してください。(必ず1又は2を含む)
- 抑うつ気分
- 興味、喜びの著しい減退
- 体重の著しい減退
- 不眠・睡眠過多
- 精神運動性の焦燥(落ち着きがない)または制止(のろくなった)
- 無気力
- 無価値観または、過剰な罪責感
- 思考力や集中力の減退、決断困難
- 死についての反復思考、自殺念慮・企図
ストレス・うつ病予防は認知症や若年性アルツハイマー病予防になる
うつや慢性的なストレスは、記憶に関係する海馬が縮小させ、記憶力を低下させてしまい認知症や若年性アルツハイマー病の発症原因や進行を早める原因となります。それでは、一体どうしたらストレスを感じにくくなりうつ病を予防できるのでしょうか?早速その予防法に迫っていきたいと思います。
ストレスの感じ方は千差万別|ポジティブが一番
認知症や若年性アルツハイマー病のリスクとなるのは、加わるストレスの大きさそのものではなく、どれだけ大きく反応するか、つまり感受性が影響します。したがって、ストレスに鈍感になることが一番です。しかし、この心理的ストレスの感じ方は敏感な人もいれば鈍感な人もいるといった具合に千差万別です。
「認知症や若年性アルツハイマー病になるのが心配だ、嫌だ」と思っていると、余計にストレスがかかり本当に認知症や若年性アルツハイマー病になりやすくなります。逆に、「いつ認知症になっても大丈夫」と思っている人の方がうつ病になりにくいのです。まさに、「病は気から」過度な心配は病気を引き起こす原因となります。
とはいっても、性格は急に変えることは難しいものです。しかし、ストレスがかかりそうな時に「前向きな言葉」を唱えると自然とポジティブになり、ストレスを感じにくくなります。
ツラい時ほど「ポジティブ、ポジティブ」と呟いてみましょう。不思議と脳は口に出した通りに働く性質があります。
姿勢を正してうつ病予防
姿勢を正すことも有効です。猫背で体が丸まっていたり、肩が落ちていたり、顔がうつむいた姿勢では、抑うつになりやすく気分が沈みがちです。逆に、背筋を伸ばし、肩を張り首筋を伸ばし、やや顎を上げた姿勢でいると、高揚感が増してきて明るくなります。
くよくよせずに毎日胸を張って生きていきましょう。姿勢を正すと、人生が楽しくなるとともに、認知症や若年性アルツハイマー病になりにくくなります。
運動でうつ病予防
うつ状態では、脳の中でセロトニンという神経伝達物質が不足します。セロトニンを増やす最も良い方法は、運動を継続して行うことです。みなさん体を動かすと嫌な事を忘れたなんて経験はありませんか?
そうなんです!運動でセロトニンが増え、ストレスが解消され気分が晴れるのです。運動をすることで、うつ状態に陥るのを防ぐことが出来ます。特に、リズミカルな律動的な運動が効果的です。
ウォーキング、ジョギング、水泳の様なリズミカルな運動を毎日30分くらい続けると、3ヶ月で脳内のセロトニン放出量が増加します。ラジオ体操をしながら、ゆっくりと深い腹式呼吸繰り返すと心が落ち着くだけでなく、律動的な運動でセロトニンを増やしますのでオススメです。
その他のうつ病予防
ガムをかみ続ける運動や歌を歌うことでも効果があります。このほか、太陽の光に当たったり、前向きにポジティブに考えたりすることが、脳内のセロトニンを増やすと言われています。
認知症や若年性アルツハイマー病を発症している方も外出することで、気分が晴れて症状が軽くなることがあります。介護者の方は家に閉じ込めるのではなく積極的に家の外に連れ出してみて下さい。
うつ状態になりやすい環境
うつやストレスを予防するには、うつやストレスを感じやすい環境を知っておき、そういった環境から離れることも大切です。
室内で一日中パソコンに向かっているような環境は、うつになり易いだけでなく、脳にも良くありません。こういった環境では、セロトニンが不足しうつになるだけでなく、心が不安定になって直ぐに切れやすくなります。一方、外で光を浴びながら体を動かしているとセロトニンが増え健康的になります。
したがって、うつになり易い環境から脱却し、積極的に運動したり、日光を浴びたりするように、心がけることが認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療だけでなく、精神の安定にも必要不可欠です。
うつ病の治療薬|抗うつ薬
うつ病で悲観的な気分になってしまう要因の1つとして考えられるのは、セロトニンという脳内の神経伝達物質の減少です。セロトニンを増やす為には、運動が一番です。しかし、うつ状態だと、運動する意欲さえ湧いてこないと思います。そこで、医療ではSSRIという抗うつ薬が使用されます。抗うつ薬はシナプスでセロトニンの再吸収を妨げてセロトニンの濃度を高める薬です。
SSRIはセロトニンに対して選択的に働くので、他の抗うつ薬と比較して副作用が少ないという特徴があります。
まとめ
うつ病で閉じこもると、認知機能がみるみる低下していきます。したがって、抗うつ薬によりうつ病を改善することで、認知症や若年性アルツハイマー病の予防・治療に繋がります。ただし、抗うつ薬も医療品の1つですから、健康な方の予防法としてはお勧めできません。なるべく運動やコミュニケーションを通してうつ状態から脱却するのがよいでしょう。
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