高齢者は便秘になりやすい?便秘予防と解消のポイント
介護者のみなさん「ウチの親は便秘気味かな大丈夫かな」と悩んでいらっしゃらないでしょうか?
はたまた、「便秘くらい大丈夫!!」とそのまま気にせず放置していないでしょうか? 実は、便秘は、そのまま放置しておくと様々な病気を引き起こしてしまう危険な症状です。 ですので、便秘をそのままにしておかない為にも、この記事では、高齢者や寝たきりの人が便秘になりやすい原因や便秘の予防・解消法、排便介助時の方法についてご紹介していますので、是非参考にしていただければと思います。 また、高齢者だけではなく、お若い方でも便秘に関するお悩みをお持ちの方は是非ともご一読いただければと思います。
1.便秘のサインを見逃さない
みなさん!!実は、高齢者や寝たきりの人は便秘になりやすいことをご存知でしょうか?
高齢者は年を重ねるにしたがい、腸の働きが鈍くなったり、腹筋が弱くなったりする等、機能や筋肉量の低下が原因で便秘になりやすい体質なっております。また高齢者だけでなく寝たきりの人も、運動量や食事量の減少から便秘になる人が増えています。
それでは、便秘になってしまうと一体どんな危険性が出てくるのか見てまいりましょう。
1-1.便秘の危険性
便秘は、放っておくと※腸閉塞になるなど直接的な危険性だけではありません。間接的にも、うんちを力んで出そうとして急激に血圧が上昇することで脳出血が起こったり、食欲がなくなったりするなど様々な危険性が出てきます。
ですので、介護者は本人がトイレに行っていることだけで安心せず、次のような様子が見られたら便秘を疑いましょう。
※腸閉塞…便が腸につまり腸をふさいでしまう症状。発熱や吐き気、激しい腹痛を伴い、入院や手術が必要となるケースもあります。
1-2.便秘を見破る10のサイン
次の10項目に当てはまる数が多い人は、便秘の重症度が高いので気を付けてください。
- 普段と違って前かがみで歩いている
- お腹が膨らんでいる
- イライラして気持ちが落ち着いていない
- 食欲がない・食事量が減っており1日1~2食である
- 吐き気がある
- 便がいつも硬い
- 自然排便が起こらず、下剤をよく使う
- 週に2回ほどしか排便しない
- おなら(ガス)が以前に比べて臭いと感じる
- ピーク時に比べ体重が10kg以上減少している
2.便秘を防ぐ方法
便秘を防ぐには、次の3点を見直していただくことから始まります。
- 食生活を見直す
- 排便習慣をつける
- 運動を心掛ける
では、それぞれ「どこを」「どのように」見直していけばよいか見ていきましょう!!
2-1.食生活の見直し
1日3食、特に朝食は必ずとり規則ただしい食生活を心掛けましょう。
食事を1日3食規則正しくとることは、食べる量が増え、便量を増やすだけでなく、生活リズムを整え、※蠕動運動がしっかりと行われ、腸の動きを促します。また、スムーズな排便を促すには、特に朝食が重要です。朝食は、寝起き後の空っぽの胃や腸を刺激し、排便の習慣を身につけやすくします。
※蠕動運動…胃や腸などの消化器官の内容物を移動させる収縮運動を指し、主に食道から直腸までの運動を言う。蠕動運動は自律神経の働きによって行われるので、意識的に調整することはできないが、食物や水分の摂取・運動などの刺激を与えることで活発になる。加齢などが原因で蠕動運動が低下してくる。
水分を十分に取りましょう。
便秘の原因で多いのは、体内の水分量が少なく、便が固くなり排便しづらい体内環境になっていることです。また、高齢者は、若者に比べて体内の水分量が約10%すくなくなっています。なので、便を柔らかく保ち、排便をスムーズにするためには、水分をこまめに十分な量を取ること大切です。また、朝食前にコップ一杯の冷たい水を飲むと腸が刺激されて排便が促進されます。
野菜や海藻、キノコなどの食物繊維が多い食品をバランスよく取りましょう。
食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の二種類があり、両方をバランスよく食べることで便秘が解消されます。
食物繊維の種類 | |
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水溶性食物繊維 |
水溶性食物繊維は、水に溶け保水性が高い食物繊維です。腸内で水分を吸着し、便の水分量を増やし柔らかくします。 主に、海藻(コンブ、ワカメ、ヒジキ)やコンニャクなどに多く含まれています。また、「水溶性食物繊維」には腸内の善玉菌を増やし、腸の調子を整える働きがあります。 |
不溶性食物繊維 |
不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維です。腸内で水分を含んで膨らみ、腸を刺激することで蠕動運動を促したり、有害物質を吸着して排泄で一緒に外に出す効果があります。 主に、穀物・豆類・野菜類(ごぼう、千切り大根、大根)などに多く含まれています。 |
「不溶性食物繊維」だけ取り過ぎると、逆に腸内の水分を吸収し過ぎて便が固くなってしまうことがございますので、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」をバランスよく取るよう心がけましょう。
腸を刺激する牛乳やヨーグルトを取りましょう。
腸内の善玉菌を増やすために、ヨーグルト、チーズ、納豆、味噌、酢、漬け物を取りましょう。これらの食べ物は、ビフィズス菌や乳糖などが取れ、善玉菌を増殖させます。
2-2.排便習慣をつける
便意がなくても決まった時間(朝食後など)にトイレに行く習慣をつけましょう。
便意があるときは我慢しないようにしましょう。
2-3.適度な運動
散歩やマッサージをして腸の動きを活性化しましょう。
寝たきりの人は定期的に寝返りなどで体位変換をこまめに行いましょう。
2-4.ストレスを溜めないようにしましょう
身体の中で最もストレスの影響を受けやすいのが「腸」です。ストレスが溜まってしまうと「腸」の筋肉が硬直してしまい、便をスムーズに押し出しにくくなってしまいます。なるべくストレスを溜めないようにしましょう。
また、あまり「便秘・便秘」と気にしすぎると逆にストレスの原因となってしまいますので、あまり気にし過ぎずに便秘解消に取り組むことが大切です。
このように生活全般を見直しても便秘が治らないようなら、早めに医師の診断を受け、下剤、座薬、浣腸液などを処方してもらいましょう。便秘を放置したままでいると、先ほどご説明したように、腸閉塞などの病気を引き起こしてしまいます。
3.便が出そうで出ない時の排便介助の仕方
3-1.便を出やすくする便秘解消マッサージ
便秘で便が出にくい時は、便秘解消マッサージを行いましょう!!
便秘解消マッサージを行うことで腸が刺激されお通じの改善が期待できます。
左下の直腸に向けてマッサージします。こうすることで、腸に溜まった便を肛門の方に誘導することが出来ます。
また、便が出そう出ない場合や、腹圧がかかりにくい場合は、左下腹部を肛門方向に少し強く押してあげると便が出やすくなります。
便秘解消マッサージのポイントとしては、本人のいきみと一緒に「ググー」と押すと出やすくなります。
3-2.蒸しタオルでお腹を温める
「温罨法(おんあんぽう)」という方法で、蒸したタオルでお腹や腰を温めます。温熱刺激によって血液循環が良くなり、排便を促進します。
3-3.便が出そうで出ない時
肛門を広げてあげると、便が出やすくなります。
3-4.便がどうしても出ない場合は摘便で対処しよう
- ・便が半分顔をのぞかせているが出てこない・浣腸をしても自力で排便できないなどの場合は、最終手段として摘便で対処しましょう。
- ・使い捨て手袋をつけて、人差し指と肛門に潤滑剤(オリーブ油やワセリン)を塗り滑りを良くして下さい。
- ・要介護者さんにはリラックスしてもらい、声掛けをしながらゆっくりと肛門に指を入れていき、便を掻き出して下さい。
※無理やり指を入れたり、動かしたりすると激しい痛みや苦痛を伴いますので、最小限でとどめておきましょう。介護者が行うのが不安な場合は、看護師などの医療行為が出来る人に摘便をしてもらって下さい。
まとめ
便秘はその人を不安にさせたりしてもの凄いストレスになります。また、高齢者や寝たきりの人はどうしても運動不足などが原因で便秘になりやすくなっております。
なので、介護者さんはこの記事を参考に、要介護者さんの便秘の原因を正しく把握し、便秘を少しでも改善できるよう手助けしてあげ、ストレスないアットホームな在宅介護生活を送っていただければと思います。
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