脳卒中の病後に現れる後遺症(障害や症状)
脳卒中(脳梗塞や脳出血)の病後は、様々な後遺症(障害や症状)が現れることをご存知でしょうか?
いざ、その障害や症状が発生した時、脳卒中の病後どのような後遺症が現れるのか知っておけば、慌てずに対応できるはずです。
この記事では、脳卒中の病後起こりやすい後遺症について解説しております。是非、脳卒中からの回復や介護のお役に立てていただければと思います。
神経症状
脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症では、脳の中枢神経がダメージを受けることで、さまざまな神経症状が現れることがあります。脳卒中の病後によく現れる神経症状は次の様なものです。
脳卒中の発症直後で意識障害が強く現れている時は、どのような後遺症が残るのか予測しにくいですが、意識が回復するにつれさまざまな後遺症が表面化してきます。また、脳卒中の後遺症は1つだけでなく、複数の障害が現れることもあります。
一般的に、脳卒中の影響により脳が受けたダメージが重ければ重いほど、後遺症の種類も増え、症状も重くなる傾向があります。
感情障害
脳卒中(脳梗塞や脳出血)の後遺症には、感情面の障害もあります。イライラしやすくなったり、怒りっぽくなるなど、感情が不安定になります。
- 意欲の低下
- 感情失禁(少しのことで、喜怒哀楽が激しく現れる)
- 幻覚や妄想
精神的症状・心理的変化
脳卒中(脳梗塞や脳出血)を起こすと後遺症が残ってしまうことも少なく、精神的に追い詰められることも多くあります。
- 手足の自由が利かない
- 仕事を止めざる負えなくなった
- 介護を必要とする身体になってしまった
脳卒中を発症した方は、それまでとは一変した環境に、戸惑ってしまうことは当然のことです。また、リハビリを経て身体機能がある程度回復した後も、精神的に不安定になることはよくあります。特に、退院後は脳卒中の発症前とギャップを実感し、酷く落ち込んでしまいがちです。入院中は障害を受け入れることが出来ていたのに、退院後は周囲が健常者ばかりになるので、そのような心理的変化が現れやすくなります。
したがって、ご家族や周囲の人は、本人の心理的変化に気を使って見守ってあげて下さい。抑うつなどの精神的症状が強く見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
社会参加を積極的にする
- 障害が重いと外出が困難になる。
- 精神的に外に出るのがおっくうになる。
上記のことは、本人だけでなく介護者にも共通して言えることだと思います。しかし、家に引きこもってしまうと、ますます精神的にしんどくなり、鬱状態になってしまいます。したがって、出来る限り外界とのかかわりを持つことが望まれます。家族ばかりではなく、色々な人と接することが精神の安定には必要不可欠です。
ボランティアやレクレーションなどの社会活動
ボランティアやレクレーションといった社会活動を行うことも良いでしょう。社会の一員として活動することで、自分自身の存在価値を認識することは、生きる意欲の向上に繋がります。
デイサービスやデイケアで他人との交流
また、デイサービスに通うことも良いでしょう。同じ境遇の人と交流を持つことで、今の自分を見つめ直し、病状を受け入れる機会になります。自信の病状を受け止めることは、とても勇気がいることですが、現状を受け止めてこそ見えてくることがあるのも確かです。
けいれん発作とてんかん発作
手術後は、けいれんが起こることがよくあります。また、意識がなくなったり、手足が異様に動くことがあります。発作が起きても短時間で治ることが多い一過性の発作です。したがって、周囲の人は慌てずに、安全な場所で休めるよう対処しましょう。転倒すると打撲や骨折を起こす恐れがあるので注意が必要です。けいれん発作は、医師に相談のもと、抗けいれん薬で症状を抑えます。
なお、脳卒中を発症した人の中には、慢性的な発作が続くてんかんが後遺症として現れることがあります。
骨折・打撲
リハビリや日常生活動作(ADL)の中、脳卒中の後遺症の麻痺の為、思い通りに身体が動かないことがあります。身体が思い通り動かせないと、ちょっとした段差や階段でつまずく、転倒することが多くなります。特に、高齢者で骨粗鬆症が進んでいると尚更です。したがって、室内環境をバリアフリー化するなどして安全に過ごせるよう整備しましょう。
疼痛
疼痛とは、ズキズキとする痛みのことで、その原因もさまざまです。麻痺の部位を動かした時に感じる痛み、リハビリで過度な運動を行った時の痛み、”視床痛”などがあります。こういった痛みを抑制するのに、消炎鎮痛薬や麻酔薬による神経ブロック治療、各種の物理療法、抗けいれん薬や抗不安薬が用いられることもあります。
失禁・便秘
失禁が酷い場合は、介護用おむつの使用も検討されます。しかし、出来る限り排泄の自立を目指しましょう。また、夜間の失禁が多い場合は、排尿時間をコントロールする薬物治療が行われることもあります。
便秘がある場合は、緩下剤や浣腸が使用されます。
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異所性骨化
異所性骨化とは、関節周囲の軟部組織の中に骨ができてしまう病気で、麻痺の患者や、関節手術後によく見られます。
過度のリハビリによって肩や肘、膝の関節や股関節などが硬くなり、骨化することがあります。更に運動を継続すると周辺の組織が傷つき、骨化が進行することもあります。
症状が治まるまでは、患部に過度の刺激を与えないようにし、腫れや痛みがある場合は、直ぐに医師の診察を受けましょう。
廃用症候群
脳卒中そのものが原因ではなく、ベッド上での生活が長時間続いた場合に起こる二次的な弊害をまとめて”廃用症候群”といいます。ここでは、その中のいくつかをピックアップして確認していきたいと思います。
認知症
廃用症候群の1つに「認知症」があります。
脳卒中により、片麻痺などの運動障害のせいで、家に閉じこもりがちまたは、寝たきりの状態になると認知症を招く原因となることがあります。それまで、認知症の気配がなかったのに、脳卒中を患いベッド上での生活が長くなったことで、物忘れといった認知症の症状が急に現れることがあります。
ほとんどの高齢者は、実際に認知症の症状が現れていなくても、大なり小なりその危険因子を保持しています。ですが、普段から他人とのコミュニケーションや身体を動かすなど刺激が多い生活を送ることで、脳が活性化し認知症の症状が現れずにいるケースが多くあります。
しかし、脳卒中の後遺症により、寝たきりや家に閉じこもりがちになってしまうと、外部からの刺激が少なくなり脳が活性化せず、認知症の症状が現れることがあります。したがって、たとえ寝たきりでも積極的に外部からの刺激を受ける機会を持つことが認知症の予防には必要です。
床ずれ(褥瘡)
廃用症候群の1つに「床ずれ(褥瘡)」というものがあります。床ずれは、脳卒中の後遺症の麻痺の為に、同じ姿勢でいる時間が長い場合に、寝具や車椅子等と身体が密着する部分が血行不良になることで発症します。床ずれが悪化すると最悪そこから細菌が入り死に至るケースもあります。したがって、床ずれの予防が大切になります。
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まとめ
脳卒中の術後は、再発予防とリハビリ中の事故(転倒による骨折など)に注意しましょう。外科手術を受けた場合は、術後の影響について医師から詳しく話を聞き服薬などの指導を従います。
脳卒中の病後によく見られる後遺症は、主に次のようなものです。異常を感じた時は、速やかに医師の診察を受けて下さい。
この記事を参考に、脳卒中の病後に現れやすい後遺症とその対応方法を確認していただき、少しでも今後の人生のお役に立てていただければと思います。
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