脳卒中の予防は、発症しやすい人の特徴を知ることから

脳梗塞予防,脳出血予防

現在、脳卒中(脳梗塞や脳出血)はわが国の死因の第4位、介護が必要となった原因の第1位となっています。脳卒中による死亡率は年々減少してきていますが、後遺症により寝たきりになるケースは増加傾向です。

この脳卒中を発症しやすい人には、いくつかの共通点が存在することをご存知でしょうか?この脳卒中を発症しやすい人の共通点を知り、自分自身に当てはまったものを改善することで脳卒中(脳梗塞や脳出血)の発症を予防することができるのです。

この記事では、脳卒中になりやすい人の共通点について解説していきます。ぜひ、脳卒中の予防に役立てていただければと思います。

1.脳卒中はその危険因子が多いほど発症しやすい

脳梗塞や脳出血を発症する人には、次のような共通点があります。

脳卒中の後天的な危険因子

  • 高血圧
  • 高血糖値や糖尿病
  • 肥満で太っている
  • コレステロール値が高い、脂質異常症
  • たばこを吸う
  • お酒を大量に飲む

脳卒中の先天的な危険因子

  • 年齢、高齢者
  • 遺伝、家族の過去の病歴
  • 性別

脳卒中の危険因子の危険度

このように、「高血圧で、血糖値やコレステロール値が高く、肥満で、不整脈があり、たばこを吸い、お酒を大量に飲む人」で、さらに「年齢を重ねるほど、病気によっては性別も関係し、家族に脳卒中の人がいればいるほど」脳卒中の危険性が高まります。

こうした「発症しやすい要因」を危険因子(リスクファクター)と言います。年齢や性別、遺伝子といった脳卒中の先天的な危険因子を失くすことは容易ではありません。しかし、高血圧や高血糖、お酒、タバコといった後天的な危険因子なら努力すれば無くすことあるいは減らすことは可能です。

また、脳梗塞や脳出血を発症する人の多くは、遺伝などの生まれながら持っている先天的な原因よりも、高血圧や肥満などの後天的な原因で発症する人が大半です。よって、努力さえすれば脳梗塞や脳出血を発症するリスクを減らすことが可能です。

そして、脳梗塞や脳出血の危険因子は、1つであれば危険性は低く抑えられますが、2つ、3つと増加していくにつれて、脳卒中を発症する確率が高くなっていきます。こうした危険因子を1つでも減らすことが、脳卒中予防のキーとなります。

また、脳卒中(特に脳梗塞)は再発しやすい病気です。一度脳卒中になった人はそれまでの生活を見直さない限り、「脳卒中を再発する可能性高い」という警告として真摯に受け取って下さい。

2.脳卒中の大きな危険因子メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドローム

内臓脂肪型肥満に加え、高血圧、高血糖、脂質異常などを併せ持っていることをメタボリックシンドローム(代謝症候群)と言います。これらの状態が重なると動脈硬化が急速に促進され、脳梗塞や心筋梗塞などの虚血性の病気を引き起こしやすくなります。

ガイドラインによれば、内臓脂肪蓄積の目安として、男性85センチ以上、女性90センチ以上のウエストの人がメタボリックシンドロームの危険性が高いとされています。 これに加えて、次の3項目のうち2つ以上当てはまる場合にメタボリックシンドロームと診断されます。

  • ①血清脂質異常(中世脂肪値150㎎/㎗以上、かつ/またはHDLコレステロール40㎎/㎗未満)
  • ②血圧高値(最高血圧=収縮期血圧130㎜Hg以上、かつ/または最低血圧=拡張期血圧85㎜Hg以上)
  • ③高血糖(空腹時血糖値110㎎/㎗以上)

3.脳出血・脳梗塞の危険因子を1つでも減らすことが重要

メタボリックシンドロームの診断基準に当てはまらないからと言って、安心はできません。 現在、男性の2人に1人、女性の5人に1人はメタボリックシンドロームかその予備群と考えられています。

脳卒中が最も発症しやすい年代は、60歳代以降ですが、近年、50歳代の発症も多くなっています。これは、メタボリックシンドロームになりやすい年代と脳卒中になりやすい年代とが重なっていることを示しています。

内臓脂肪型肥満+前記の①~③の危険因子のうち1個でも当てはまる場合は、メタボリックシンドローム予備群=脳卒中予備軍と考えられます。つまり「近い将来、メタボリックシンドロームの該当者になる可能性が極めて高く、脳卒中の発症する確率も極めて高い」ということです。

したがって、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常などの脳卒中の危険因子を抱えている場合は、1つでも減らす努力をすることが重要です。

4.脳卒中(特に脳梗塞)は再発の危険性が高い病気

脳卒中危険因子

病気の予防には、一次予防と二次予防があります。

  • 一次予防とは、生活習慣を見直して病気の発症そのものを予防することです。脳卒中の場合は、危険因子を1つでも少なくすることが一次予防になります。
  • 二次予防とは、早期発見・早期治療を行い、病気が進行しないようにすることです。脳卒中の場合は、再発を防ぐことです。

脳卒中の中でも、脳梗塞は再発しやすい病気です。特に発症後1ヶ月以内の再発が多く、一般的には1年以内の再発が多く、1年以内では約10%の人が、5年以内では約30%の人が再発しているとされています。つまり、脳梗塞を起こした人の、3人に1人が5年以内に再発している計算になります。

脳卒中では、初診の発作と同じ部位で再発を起こすこともありますが、ほとんどの場合は別の部位です。再発を繰り返すたびに脳細胞は死滅してしまいますので、新たな後遺症が残ることになりかねません。後遺症の数が多くなるほど、片麻痺や認知症が酷くなり、日常生活や社会生活に大きな支障が生じてきます。

認知症や寝たきりにならない為にも、日頃から脳卒中の再発予防に努めることが大切です。

5.退院後は、近所のかかりつけ医と連携し再発予防

退院後は、急性期や回復期に入院していた病院ではなく、かかりつけ医での診察を受けることがほとんどです。かかりつけ医とは、何でも相談でき、必要な時には専門医を紹介できる身近な医師のことです。脳卒中の再発予防の為にも、継続的に観察や生活改善指導が必要となりますので、信頼のおけるかかりつけ医を見つけることが大切です。

あわせて読みたい関連記事

コメント

コメントを投稿する

計算の答えを半角数字で入力してください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください