グループホームを学ぼう

グループホーム

みなさん「グループホーム」や「認知症対応型共同生活介護」っていう言葉を聞いたことありますか?

  • 本やネットでグループホームについて調べてみても、難解な業界用語のオンパレードで分からない・・・
  • グループホームは、認知症と関係しているようだけど“認知症対応共同生活介護”っていう言葉と関係あるの?

上記のような理由から、いまひとつその実態が掴めないという方も少なくないでしょう。

この記事では、グループホームの基礎知識はもちろんのこと、「費用の計算方法」「経営者や人員基準」などについても分かりやすく解説していきます。「グループホームとはどのような施設なのか」「認知症対応共同生活介護とはどういう意味なのか」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ一緒にグループホームについて学んでいきましょう。

<目次>

  1. グループホームとは
    1. グループホーム=認知症対応共同生活介護
    2. 対象
    3. 人員基準
    4. グループホームの認知症予防改善効果
  2. グループホームの費用
    1. 費用計算シミュレーション
  3. グループホーム選びのポイント

1.グループホームとは

1.グループホーム=認知症対応型共同介護

認知症対応型生活介護

グループホームとは、認知症と診断された人達が少人数でグループを組み、介護職員などのサポートを受けながら共同生活を送る施設のことです。グループという言葉が示す通り「何人かでグループを組み、互いに協力しながら生活する介護サービス付きの家」と思ってい頂ければいいでしょう。

別名、「認知症対応型共同生活介護」や「認知症グループホーム」などと呼ばれています。

つまり「グループホーム=認知症対応型共同生活介護」という関係であり、両者は同じ意味なのです。両者の関係性が整理出来ましたので、徐々にその実態に迫っていきたいと思います。

主なサービスとしては、介護スタッフから身体介護(入浴介助、排泄介助、食事介助)や生活援助(買い物や調理、洗濯などの援助)、レクリエーション(音楽療法、回想法などの認知症プログラム)といったサービスが用意されています。

2.対象

グループホームの対象

一般的にグループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、認知症の人ばかりを集めた生活の場というとかなり重度のイメージがありますが、実際には要介護1~3と軽度・中度の認知症の方が多く住んでいて、全体の70%以上を占めています(厚生労働省:介護給付費実態調査 2010)。

グループホームの対象は、認知症と診断された要介護1~5と要支援2以上の人です。したがって、要支援1の人は入所することは出来ません。また、比較的容態が安定した人が対象ですので、急性期の状態の人が入所することは難しいです。

なお要支援2の人は「介護予防認知症対応共同生活介護」の対象となります。受けられるサービスは普通のグループホームとほとんど同じですが、後で説明する「利用料金」が変わってきます。

ですので、一度グループホームに入所していても、認知症の症状が悪化したり、病気などで長期入院が必要になったりすると、退去を求められることもあります。退去条件としては、「認知症が進み問題行動が増え、他の入居者に迷惑が掛かる」「医療的なケアが必要になってくる」など、施設ごとに様々ですので、事前に退去条件を確認しておきましょう。

施設によっては、訪問看護ステーションなどに定期的に健康診断を行ってもらっているところもあります。

また、2006年の介護保険制度改正からグループホームは「地域密着型サービス」に分類され、その地域の住民しか利用できなくなりました。

3.人員基準

人員基準

グループホームの特徴は、少人数制や利用者に対するスタッフの数が多く、認知症の方が家庭的な雰囲気の中で生活を送れるよう配慮されている点です。

グループホームでは、少人数でグループを組みます。このグループのことを「ユニット」と呼びます。

1ユニットは、定員5人以上9人以下と人員基準が法律により定められており、経営者は1施設で最大3ユニット=27人までのグループホームを運営できます。

また、グループホームでのスタッフの見守りは24時間体制サポートです。

よって、スタッフの配置基準は入居者3人に対して1人以上の介護職員を置くことになっており、夜間・深夜の時間帯には必ず1ユニット1人以上の夜勤介護職員を配置するように法律で定められています(夜間に人員基準よりスタッフを手厚く配置すると夜間ケア加算が付きます)

更に、グループホームに入居しているお年寄りの高年齢化が進んでいることから、看取りを始めとした医療的なケアとの連携も進められています。

また、グループホームの設立後3年以上が経過した施設では、居室に空きがある場合に1ユニットにつき1人、30日以内ならショートステイなどの短期利用も可能です。

なお、グループホームは地域密着型サービスですので、利用できるのは施設がある市区町村に限られています(市区町村により実施をしている所・していない所があります)。

4.グループホームの認知症予防改善効果

グループホームの認知症予防効果

しかし、「なぜグループホームは認知症対応型共同介護」という名前が付いているのでしょうか?その理由は、グループホームが認知症の予防や改善効果が期待できる施設だからです。

  • グループホームは少人数ですので、特別養護老人ホームなどとは違い、家庭的な雰囲気の中でゆったりときめ細やかな生活援助や身体介護などの介護サービスを受けることが出来る。
  • また、グループホームの利用者は出来る範囲でそれぞれ食事作りや買い物、洗濯、配膳、洗濯、掃除など自分に出来ることを担当し、1人1人の能力を活かしながら、お互い協力し助け合って生活する。

こうした家事や仕事をこなしながら、自分のペースで暮らすことが出来る環境は、認知症のお年寄りにとってとても良い環境とされています。

認知症の方の徘徊や暴力、弄便などの困った行動症状は孤独や寂しさ、ストレスといったことから起こってくると考えられています。また、それらの要因が認知症の悪化スピードを速めてしまう原因にもなります。

そこで、グループホームのような家庭的な雰囲気の施設で、利用者の能力を発揮し他者と交流を持ちコミュニケーションを図りながら共同生活を送ることで、自然と「口数が増える」、「役割を持つことによる生きがいが生まれる」といった機会が増え、落ち着いて生活できるとともに認知症の予防・改善効果が期待できるのです。

また、最近では認知症に予防に効果的な音楽療法や園芸療法、アートセラピーといったプログラムを豊富に取り揃えているグループホームも現れてきました。

参考リンク>>最新の認知症予防・改善法

施設環境

したがって、グループホームの施設構造は認知症の人が過ごしやすいように設定されています。

居室は一人ひとり個室(夫婦なら2人部屋でも可能)ですが、基本的に居間(リビングルーム)や台所、食堂、トイレ、浴室、洗面所などは共同での使用となります(施設によっては洗面所やトイレが個室に設置されているところもあります)。

日中は、リビングなどの共同スペースで過ごし、夜になると自分の部屋に戻って寝るという感じです。

認知症高齢者の増加に伴い、グループホーム(認知症対応型共同介護)が急増しその利用者も増えています。全国にはおよそ1万2000カ所以上のグループホームが存在しています。その形態は様々で、特別養護老人ホームなどに併設されていたり、古民家を再利用しまるで自分の家にいるような感覚で落ち着いて過ごせるグループホームもあります。

グループホームの設立にあたっては、職員の人員配置基準などを満たし、市区町村より指定認知症対応型共同介護施設に指定される必要があります。

経営主体としては、営利法人が一番多く全体の50%以上を占めています。その次に社会福祉法人、医療法人と続きます。

2.グループホームの費用

グループホームの利用料金

グループホーム(認知症対応型共同介護)の介護保険サービス費用は1日単位で計算されます。費用は、次の3つの項目をもとに計算します。

  • 利用者の要介護度
  • 利用期間(通常期間orショートステイなどの短期利用)
  • 施設のユニット数(ユニット数が2つ以上になると、利用料金は下がります)

また、それとは別に必要に応じて次のような加算費用が発生します。

グループホームの加算費用
医療連携体制加算 事業所が病院や訪問看護ステーションと契約して看護師を1人常駐させている場合
看取り介護加算 医師や看護師、介護職員等が共同して看取り介護を行った場合
若年性認知症利用者受入加算 65歳未満の若年性認知症の方を受け入れた場合
夜間支援加算 夜間・深夜勤務の通常の配置に加えて、夜勤を行う介護従業者または宿直勤務を行う者を1名以上配置している場合

グループホームは、介護サービスがついた下宿に入るようなものです。したがって、グループホームの利用者は上の「介護保険サービス(自己負担1~2割)」以外にも、「居住費(食費、高熱費)」や「食費」、「日常生活費」などのいわゆるホテルコストは、全額自己負担しなければなりません。

グループホームの利用で1ヶ月にかかる費用の目安は、介護保険のサービス費やホテルコストを足して、およそ15万円前後になります。

介護保険サービス費用以外は、各グループホームによって異なってきますので、予めパンフレットなどをみて一度1ヶ月にかかる費用を概算してみて確かめてから契約しましょう。(自分で難しい場合はケアマネージャーに相談しましょう)。

なお、施設によっては、保証金や一時金も必要となるグループホームもあるので注意しましょう。

費用計算シミュレーション

下の「平成27年度 グループホーム(認知症対応共同生活介護)の介護報酬&料金費用表」をご覧ください。実際にどれくらいの費用が掛かるのかご自身で計算してみて下さい。分かりづらい人は、下の費用計算シミュレーションで単位数などを交えて分かりやすく解説しています(2016年4月時点)。

グループホーム介護報酬費用単位表

<画像をクリックするとPDFファイルをダウンロードできます。>

それでは実際に、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の月額料金をシミュレーション計算してみましょう。

  • 利用者は要介護3
  • 利用時間は通常
  • 施設ユニットは2つ

以上のサービスを利用した場合、次のように料金計算できます。(1単位=10円、個人負担=1割負担の場合)

【計算式】

  • 806単位×30日(利用回数)=24,180単位
  • 24,180単位×10円×10%==24,1800円

グループホームの自己負担費用(1ヶ月分)=24,180円+食費やおむつ代、滞在費(部屋代、光熱費)、日常生活費(娯楽費、理美容費)などの自費費用

それでは「どのようにしてグループホームの1ヶ月にかかる利用費用の求めたのか」詳細を確認していきましょう。

まず、上の表をもとに「要介護度」、「利用期間(通常か短期)」、「施設のユニット数」を割り出します。そして、グループホームの利用回数(ここでは30日)を掛けます。その後、1単位あたり約10円を掛け、さらに介護保険の自己負担分10%を掛けて計算完了です。

およそ、あなたの自己負担分は月額24,180円になります。

加えて、食費やおむつ代、滞在費、生活費などが全額自己負担でかかってきます(食費やおむつ代などは全額自己負担)。

最終的にグループホームの1か月間の利用に掛かる費用は、総額15万円前後掛かると考えておくと良いでしょう。

3.グループホーム選びのポイント

施設選びのポイント

グループホーム施設選びは慎重に行ってください。

本人に合わないグループホームを選ぶとストレスが溜まってしまい、かえって認知症の症状が悪化する恐れがあるからです。また、いきなり環境が一変することもストレスの引きがねになってしまいます。また、グループホームは、少人数なので家庭的な和やかさが期待できる反面、閉鎖性が前面に出ると閉じ込めや虐待が起こることもあります。かつては、職員による暴行事件や家事で利用者が死亡したグループホームもありました。

したがって、下のリストを参考に利用者に合った施設を選びましょう。

  • ケアマネージャーや医師などに相談し情報を集め下調べをする
  • グループホームのパンフレットなどで施設のサービス内容や費用、入所条件、退去条件をチェックする
  • 経営者の理念に共感が持てるか
  • 出来る限り見学をする(グループホームの環境や実際のスタッフ・利用者の表情をチェック)
  • 日帰りのデイサービスやショートステイ(短期入所)でお試ししてみて、グループホームのスタッフとの相性や本人の意見を確認する
  • 家族やボランティアがにぎやかに出入りし、散歩や快音ので 外出の機会が多くお祭りに参加する等地域に開かれた運営をしているかどうか
  • 医療との連携が取れているか。グループホームには医師や看護師がいないので、職員スタッフの付き添いがなければ通院出来ない利用者が出てきます。通院の度に家族が呼び出されるグループホームもあるので注意が必要
  • グループホームを選ぶ際には、防災関連の設備や対応についても、どのような対策が講じられているのか事前に確認しておきましょう。

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