わかる!訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーション

リハビリテーションは継続的に行うことが重要です。特に、高齢者で認知症やパーキンソン病、脳卒中の後遺症がある方は、衰えてくる身体機能を維持するためにも、日々のリハビリは欠かせません。

しかし、近年の医療保険制度の改革により、病院の入院期間が短縮されるとともに、医療保険を利用したリハビリが打ち切られるケースが増えています。ですが、折角やる気になっていた矢先にリハビリを打ち切られたら溜まったものではありません。

そこで、自宅へ帰ってもリハビリを継続していくための方法として、介護保険を利用した「訪問リハビリテーション」が注目されており、年々ニーズが高まっています。

ここでは「訪問リハビリテーションとは何か」といった基本から「利用料金の計算方法」などに至るまで懇切丁寧に解説しておりますので、是非ご覧下さい。

<目次>

  1. 訪問リハビリテーションとは
    1. 実生活に直結したリハビリが魅力的
    2. 対象者
    3. お住まいの地域で訪問リハビリが受けられない時の対処法
  2. 訪問リハビリの介護報酬と利用料金
    1. 基本料金は1回20分単位
    2. 自己負担費用をシミュレーション計算しみよう

1.訪問リハビリテーションとは

訪問リハビリテーションとは、移動が困難な利用者に対し、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーションの専門家が自宅を訪問して機能回復訓練を行うサービスです。略して訪問リハビリと呼ばれることもあります。訪問リハビリテーションは、理学療法士と主治医との連携のもと作成した訪問リハビリテーション計画に沿って行われます。

2006年から自宅だけではなく特別養護老人ホームなどの居住施設の入所者への訪問も可能になりました。

1.実生活に直結したリハビリが魅力的

実生活に沿ったリハビリ

訪問リハビリテーション最大の特徴は、自宅や老人ホームなど高齢者が実際に生活している場で、日常生活を営む為に必要なリハビリを受けられる点です。

  • 自宅にある階段を使った昇り降り訓練
  • 普段寝ているベッドから車いすへの移乗訓練

といった具合に、それぞれの住まい環境に合わせた実生活に密接に繋がりのあるリハビリテーションが行われます。ですので、可能な限り自宅での自立した日常生活を継続する為に、とても意義のあるサービスです。

実際に訪問リハビリテーションで行われる機能訓練は大きく3つに分かれます。利用者の心身機能の維持回復を図り、ADL(日常生活動作能力)の訓練を実施します。

理学療法 立つ、座る、歩く、寝返りを打つなど日常生活を行う上で必要な基本動作を訓練する。理学療法士によって行われる。
作業療法 絵を描く、簡単な工作、着替え、家事などの応用的な作業動作動や社会適応能力を訓練する。作業療法士によって行われる。
言語聴覚療法 発声や発語などの言葉の訓練や食べ物の飲み込む嚥下訓練、コミュニケーションの訓練などを行う。言語聴覚士によって行われる。

また、本人だけではなくその家族も一緒に、リハビリテーションの観点から療養上必要とされることについて指導やアドイスを受けられることも訪問リハビリの大きなメリットです。

  • 家族でも出来る拘縮予防の為のリハビリ(関節可動域訓練)を習う
  • 車いすの移乗や床ずれ予防のコツなどを習う
  • バリアフリー化の為の住宅改修や福祉用具の選び方、活用方法についてもアドバイスが受ける

しかしその反面、訪問リハビリでは、病院やデイケア(通所リハビリテーション)のように充実したリハビリ機器が揃っていないので、リハビリの内容は「生活の場で出来ること」に限定されます。

2.対象者

訪問リハビリテーションの対象は、要介護1~5で、医師が本人の状態が比較的安定していて、自宅でのリハビリテーションが必要であると判断した方です。

なお、要支援1・2の場合には「介護予防訪問リハビリテーション」の対象となります。提供されるサービスの内容は、訪問リハビリテーションとほぼ同じです。

基本的にはデイケアなどのリハビリ施設に通うのが困難な人の為のサービスですが、集団的な訓練が嫌いで1対1の訓練を好む人が希望するケースもあります。また、拘縮予防の為の関節可動域訓練(ROM)だけの為に、利用する人など訪問リハビリの利用目的は人それぞれです。

  • 通院が困難で自宅でリハビリを受けたい方
  • 退院・退所後で自宅での生活に不安のある方
  • デイケアなどを利用しているが、さらなる機能回復を目指す方
  • 家族を含めた、車椅子への移乗訓練など日常の介助で必要な動作を練習したい方
  • 住宅改修のアドバイスが必要な方

訪問リハビリテーションを利用するにあたり、利用料金や訪問リハビリの目的や希望などを担当の理学療法士等と予め共有することが大切です。どのようなリハビリテーションメニューになるかは、主治医の指示、病状、病歴、心身状況、希望及び置かれている環境を勘案し訪問リハビリテーション計画が立案され決定されます。

利用を希望しても、疾病や病状によって訪問リハビリが受けられない場合もあります。またリハビリテーションの内容に制限が掛かる場合もあるので、事前に必ず主治医に相談して下さい。計画作成の前に打ち合わせがありますので、分からない事などは理学療法士やケアマネージャーに直接お伺い下さい。

3.お住まいの地域で訪問リハビリが受けられない時の対処法

訪問リハビリはさらなる身体機能の維持向上を図るために大変魅力的な介護保険サービスです。しかし、訪問リハビリテーションを提供する事業者は、病院、診療所、介護老人保健施設といった医療機関に限られているので、受けたくても受けられない問題が生じています。

したがって、訪問リハビリテーションは重要視されてきているはいるものの、必ずしも希望通りに活用できるとは限らないのが実情です。その場合の対応策として2つ方法がありますので、検討してみてください方法です。

  1. デイサービスやデイケアなどの通所サービスに通う。
  2. 訪問看護でリハビリも対応している事業所に機能回復訓練を実施してもらう。

特に、2番の訪問看護によるリハビリテーションは「対応している事業所としていない事業所」が存在しますので、担当のケアマネージャーにお住まいの地域にリハビリを行っている訪問看護ステーションがあるか尋ねてみて下さい。詳しくは⇒『訪問看護-サービス内容

また、今まで入院していた病院が訪問リハビリテーションを実施している場合には、退院後も訪問リハビリが受けられるかどうか問い合わせてみましょう。入院中から相談しておくとスムーズに対応してもらえることが多く安心です。

2.訪問リハビリの介護報酬と利用料金

1.基本料金は1回20分単位

訪問リハビリ介護報酬

訪問リハビリテーションの利用料金は、1回20分間という単位で算出されます。しかし、現実には訪問リハビリテーションに要する時間は20分を超える場合が多く、一度の利用で2回分の利用料金が必要となるケースが多くなっています。

訪問リハビリテーション費は、要介護度の違いに関係なく一律料金です。1回(およそ20分)につき302単位となります。ですので、40分利用の場合は604単位となります。

さらに、基本料金に加えて諸条件により加算があります。

リハビリテーションは病気の発症からなるべく早く行うことが重要であり、時間の経過とともに効果が薄れていくとされています。したがって、退院直後の集中的な訪問リハビリは重点的に行われた場合「短期集中リハビリテーション実施加算」という加算が発生します。

その他にもいくつか加算があります。

【最新版】平成27年度 訪問リハビリテーション介護報酬兼料金表
1回につき 302単位
訪問リハビリテーションの加算項目
短期集中リハビリテーション実施加算 退院直後の集中的な訪問リハビリ(退院日から1ヶ月以内) 340単位/日
退院直後の集中的な訪問リハビリ(退院日から1ヶ月超3ヶ月以内) 200単位/日
サービス提供体制強化加算 訪問リハビリを利用者に直接提供する理学療法士等の内、勤続年数3年以上の者がいる場合 6単位/回
訪問介護計画作成上の指導助言 訪問リハビリテーション実施時に、訪問介護事業所のサービス提供責任者と共に訪問し、身体状況の評価を共同して行い、訪問介護計画を作成するための指導、助言が行われた場合(3ヵ月に1回程度)  300単位/回
リハビリテーションマネジメント加算 効果的なリハビリを提供する為、リハビリ計画の充実や専門職によるサービス提供を評価する場合 60単位/月 

なお、訪問リハビリテーションの事業所と同一又は 隣接する敷地内の建物に利用者が住んでいる場合、利用料金は所定単位の90%で算定されます。

基本的には、交通費を利用者が負担する必要はありません。しかし、遠方からの訪問リハビリなど「通常の事業の実施地域」以外に居住する方がサービスを利用した場合は交通費を負担しなければいけないことがあります。

2.自己負担費用をシミュレーション計算してみよう

それでは実際に、訪問リハビリテーションに掛かる月額の介護サービス費用を、下の条件でシミュレーション計算してみましょう。

  • 利用者は要介護3
  • 病院から退院後すぐ
  • 短期集中的なリハビリテーションが目的(退院後1月超3ヶ月以内)
  • 週3回1回40分(計12回/月)

以上のサービスを利用した場合、次のように料金計算できます。(1単位=10円、個人負担=1割負担の場合)

【計算式】

  • 【1日分の単位数】 302単位(基本料金)×2(40分ぶん)+200単位(短期集中リハビリテーション実施加算/日)=804単位
  • 804単位×12回=9,648単位
  • 【1ヶ月にかかる介護サービス費(保険適用前)】 9,648単位×10円=96,480円
  • 【1ヶ月にかかる介護サービス費(自己負担1割)】 96,480円×10%=9,648円

訪問リハビリテーションの自己負担費用(1ヶ月分)=9,648円

コメント

コメントを投稿する

計算の答えを半角数字で入力してください * Time limit is exhausted. Please reload CAPTCHA.

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください