要介護度(要支援1・2、要介護1~5)について学ぼう!

あなたは「要介護1」「要支援2」といったレベルがどのような状態なのかその基準を知っていますか?

また、要介護度の違いによって「利用できるサービス」や「介護保険で給付される支給限度額」に違いがあることを知っていますか?

以上の知識は、デイサービスやショートステイといったサービスを上手く活用していく上で必要不可欠です。

ところが、「要介護度とは何なのか」その本当の意味を理解せず、ケアマネージャー任せになっている方は少なくありません。

しかしそれではダメです!もしかすると、あなたが知らない間に「損」をしているかもしれませんよ。

そこでこの記事では、介護保険を上手く利用するために「要介護度(要支援1・2、要介護1~5)」について、その認定基準や支給限度額の違い、サービス利用のポイントなど分りやすく解説していきます。是非ご活用下さい。

1.要介護度とは

「要介護」「要支援」「自立」の3つを基準に分けられる

介護保険を利用するには、必ず「要介護認定」を受けなければいけません。そして、「要介護認定」によって、利用者の心身状態や生活環境を確認し、その人が“どの要介護度に当たるのか決定”します。

要介護度とは、“どの程度の介護を必要としているか“という度合いを重い順に「要介護」「要支援」「非該当」の3段階(レベル)に分け、更にそれら3つを「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当」の8段階の区分で表したものです。

要介護度の状態区分
大区分 小区分 適合する人
要介護 1~5 日常的に介助が必要な人
要支援 1と2 介助が必要だが、比較的自立した生活が出来る人
非該当(自立)   介助の必要がない人 

つまり、要介護度とは、介護保険の利用者が“どのくらい介護を必要としているのかを判断する為の基準”として用いられるのです。

したがって、介護保険サービスを利用するためには予め「要介護認定」を受ける必要があります。まだ申請をしていない人は下のリンクを参考に手続きを進めて下さい。

要介護認定の申請方法と手続きの流れ

要介護度に応じてサービス数や支給限度額に違いがある

介護保険の申請を済ませ審査が終わると、要介護認定の結果通知が送られてきます。その通知書にはあなたの「要介護度」が明記されており、それをもとに「あなたがどの程度介護を必要とする状態なのか」が分かるのです。

また、それに応じて「利用できるサービスの数や内容」、「介護保険の支給限度額」が変わってくるのです。

一般的に要介護度が重くなるほど多くのサービスが利用でき、支給限度額も高くなります。ですので、もし認定結果と実際の状態に乖離がある場合は、要介護認定の再審査を求めましょう。心身の具合が悪化するなど状況が大きく変わった時は、いつでも変更の申請が出来ます。

ADLとIADLを基準に要介護度が区分されている

それでは、要介護度は何を基準として定められているのでしょうか?それを知るうえで「ADL」と「IADL」という2つの言葉が大変重要になってきます。

ADL
日常で行う動作能力
IADL
ADLよりも高度な動作能力

このADLとIADLを基準にして要介護度は区分されているのです。

それでは、実際にADLとIADLを基準にしてどのように「要介護」「要支援」「自立」が区分けされているのか見ていきましょう。

ここではADLとIADLについて詳しくは解説しませんので、興味がある方は下のリンクを参考にして下さい。

参考リンク>>ADL(日常生活動作能力)とIADL(手段的日常生活動作能力)

2.要介護とは

まず、「要介護」について見ていきましょう。

先ほども確認した通り、要介護は、日常的に介助が必要な状態です。そして、要介護は1~5の5段階に更に分かれます。その基準は以下の通りです。

区分 基準 状態の目安
要介護1 要支援2の状態から、IADL(手段的日常生活動作)を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態 日常生活はおおむね自立しているが、排泄や入浴などに一部介助が必要。立ち上がりや歩行がやや不安定で支えが必要な状態
要介護2 要介護1の状態に加え、ADL(日常生活動作)についても部分的な介護が必要となる状態 食事や排泄、入浴、衣類の脱ぎ着などに一部または多くの介助が必要。立ち上がりや歩行に支えが必要な状態
要介護3 要介護2の状態と比較して、ADL及びIADLの両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態 食事や排泄、入浴、衣類の脱ぎ着などに多くのまたは全面的な介助が必要。立ち上がりや歩行が自力では困難な状態
要介護4 要介護3の状態に加え、更にADLが低下し、介護なしには日常生活を営むことが困難となる状態 日常生活全般で能力の低下が見られる。食事や排泄、入浴、衣類の脱ぎ着などに全面的な介助が必要。立ち上がりや歩行は困難で寝たきりに近い状態。認識力、理解力などに衰えが見られ問題行動をとることもある
要介護5 要介護4の状態より更にADLが低下しており、介護なしに日常生活を営むことがほぼ不可能な状態 日常生活全般に渡り、全面的な介助が必要な状態。立ち上がりや歩行はできない寝たきり状態。認識力、理解力などに衰えが見られ問題行動をとることもある。意思の伝達が困難なこともある

3.要支援とは

次に、「要支援」について見ていきましょう。

要支援とは、部分的に介助が必要ですが比較的自立した生活が営める状態であり、予防的な対策が必要とされます。そして、要支援は1と2の2段階に更に分かれます。その基準は以下の通りです。

区分 基準 状態の目安
要支援1 日常生活上の基本動作については、ほぼ自分で行えるが、今後要介護状態になることを予防するため、少し支援が必要な状態。IADLについて何らかの支援を要する状態 食事や排泄など身の周りのことは、ほとんど自分でできる状態
要支援2 要支援1の状態から、IADLがわずかに低下し、何らかの支援が必要となる状態 身の周りのことや日常生活に一部支援が必要だが、介護予防サービスなどの支援があれば状態の維持・改善が見込まれる状態

4.非該当(自立)とは

最後は、「非該当(自立)」について説明します。

非該当は、社会的支援を必要とせず、日常生活は自立できており何ら問題はないと判断された状態です。

したがって、「非該当」と判定されると介護保険の対象にはなりません。介護保険サービスを利用する場合は、全額自己負担となります。

ただし、生活機能が低下していて要支援、要介護になる恐れがあれば、市区町村が行う「介護予防事業」や「地域支援事業」を利用できる場合があります。

5.要介護は「介護サービス」、要支援は「介護予防サービス」

要介護度の違いによって、利用できるサービスと利用できないサービスがあります。予め介護保険サービスの利用者は知っておくと安心です。

  • 要介護の人が利用できるのは、自立した生活の支援が目的とした「介護サービス」。居宅介護支援事業所に属するケアマネージャーなどにケアプランを作成してもらい、介護サービスを利用します。
  • 要支援の人が利用できるのは、心身機能の維持や改善を目的とした「介護予防サービス」。なお、介護予防サービスは、介護が必要な状態とならないよう予防を目的としたサービスです。介護予防ケアプランは、地域包括支援センターに所属する保健師などに作成してもらい、介護予防サービスを利用します。

この「介護サービス」と「介護予防サービス」にはいくつかの違いがあります。ここでは大きな違いを2つ確認しましょう。

まず1つ目は、施設系サービスや居住系サービスといったサービスに制限があることです。

要支援の認定者は、特別養護老人ホームなどの「施設系サービス」を利用することができません。また、「居住系サービス」では認知症対応型生活介護(グループホーム)を利用できるのは要支援2以上人で、要支援1の人は入居することはできません。

特別養護老人ホームグループホーム

2つ目は、介護用品のレンタルに制限があることです。

「福祉用具貸与」というサービスを使うことで、要支援1から福祉用具をレンタルすることができますが、これも要介護度に応じてレンタルできる用具とレンタルできない用具が分かれています。例えば、「車椅子」や「介護用ベッド(特殊寝台)」は要介護2以上でないとレンタルできません。

福祉用具貸与制度でレンタルできるもの

なお、訪問サービス、通所サービスなどではほぼ同様のサービスが受けられます。

介護保険サービス種類別まとめ

6.介護保険サービス費と要介護度との関係性

要支援・要介護の認定を受けると、ショートステイやデイサービスなどの介護保険サービスを1~2割の自己負担で利用できます。

要介護度によって支給限度額が異なる

しかし、いくらでも1割で利用できるわけではありません。要介護度によって介護保険からの支給限度額つまり利用者からみた利用限度額が決められています。そして、要介護度が重くなるほど支給限度額は高くなり、多くのサービスを1~2割負担の自己負担で利用することができます。

要支援1から要介護5までの7区分になっていますが、約5万円からスタートし、およそ5万円ずつ上がっていくと考えるとわかりやすいでしょう。

区分 支給限度額 自己負担額(1割負担の場合)
要支援1 5万30円 5,003円
要支援2 10万4,734円 1万473円
要介護1 16万6,920円 1万6,692円
要介護2 19万6,160円 1万9,616円
要介護3 26万9,310円 2万6,931円
要介護4 30万8,060円 3万806円
要介護5 36万650円 3万65円

要介護度が上がると負担が増えるケースがある

要介護度は高くなるのに従い、給付額が高くなるので「絶対お得!目一杯サービスを利用しよう」と考えてはいませんか?

実は、かならずしもそうとは限りません。

介護保険サービスには、訪問介護・訪問リハビリ・訪問看護といった訪問系のサービスのように、要介護度に関係なく料金が設定されているものと、通所系・短期入所・施設介護のように要介護度によって料金が違うサービスがあります。

後者の場合、要介護度が1つ上がったために同じサービスを利用しているのに、1回では100円、1ヶ月では数千円も負担が大きくなることもあります。要介護度が上がると利用限度額だけではなく、個々の利用料も上がることがあることを承知しておきましょう。不明な点があったらケアマネージャーなどに尋ねて下さい。

要介護度とは関係なく利用料が設定される主なサービス

要介護度によって利用料が違う主なサービス

介護保険サービス費用は「基本部分」に初回利用・特別地域・特定事業者・認知症対応といった「加算」があります。基本部分だけを頭に入れて介護保険を利用すると、各種の加算が付いて支給限度額を超えて、超過した分が全額自己負担となるので注意が必要です。ただし、「居宅療養管理指導」などのように、限度額の対象とならないサービスもあります。