アルツハイマー病とは

アルツハイマーが分かる教科書

アルツハイマー病という病気を知っていますか?

アルツハイマー病について、本で調べたり、インターネットで検索したりすると「アルツハイマー」「アルツハイマー型認知症」「若年性アルツハイマー」等など様々な用語が飛び交っていると思います。

しかし結局、何の病気を指しているのか分からずそのままにしている方も多いのではないでしょうか?

ここでは”アルツハイマー病とはどんな病気なのか”、”何が原因で、どのような症状が現れるのか”、”病気を予防・治療することはできるのか”といった皆さまが抱いている疑問について分かりやすく解説していきます。アルツハイマー病をご存知ない方だけでなく、既に知っているという方にとっても、新たな発見がきっとあるはずです。

アルツハイマー病とはどんな病気なのか

進行性の病気

アルツハイマー病(英語:Alzheimer’s disease)とは、徐々に病気が悪化していく進行性の神経変性疾患、つまり”進行性の脳の病気”です。アルツハイマー病の症状としては、記憶障害などの認知障害が現れるのが特徴です。

みんなが「認知症」と言っているのは、主にこのアルツハイマー病が原因であり、認知症全体の約50%以上を占めます。

いかがですか、なんとなくアルツハイマー病について分かりましたか?ここで一旦、”認知症”という言葉も出てきたので、冒頭で出てきた”アルツハイマー病関連の用語”について整理しておきましょう。

  • アルツハイマーとは、アルツハイマー病のことを指す。
  • アルツハイマー病は発病者の年齢により、”若年性アルツハイマー病”と”アルツハイマー型認知症”の2つに分けられる。
若年性アルツハイマー
65歳未満の若年者が発症するもの
アルツハイマー型認知症
65歳以上の高齢者が発病するもの

したがって、発症年齢により区別されているだけで、若年性アルツハイマーもアルツハイマー型認知症も、同じ仲間なのです。しかし、両者には治療やケアをしていく上で、若干の違いがあるので、各リンク先にてその特徴や違いを確認しましょう。

若年性アルツハイマー病アルツハイマー型認知症

アルツハイマー病の歴史と原因

病気が発見されたのは1900年代

原因アルツハイマーの歴史

アルツハイマー病は、約100年も前に発見された病気です。現在までの研究成果を交えて、その歴史と原因を解明していきましょう。

アルツハイマー病は、1901年にドイツの精神科医で、脳神経病理学を研究していたアルツハイマー博士によって発見された脳の病気です。

当時、博士はもの忘れが激しく、暴力行為が見られ50歳の女性の担当医をしていました。その後、その女性が肺炎を患い亡くなった際に、博士がその方を病理解剖し、脳に2つの特殊な病変と委縮が存在することを発見しました。

そして、1906年に学会でその症例を報告したことで、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)と名付けられ病気の存在が世の人々に知られることになったのです。

アルツハイマー病の原因

アルツハイマー病の原因,老人斑,アミロイドβ、神経原線維変化

老人斑と神経原線維変化

しかし、アルツハイマー博士が発見した2つの特殊な病変とは、何だったのでしょうか?

その2つの特殊な病変とは「老人斑」と「神経原線維変化」というものでした。当時は、「老人斑」と「神経原線維変化」について詳しいことまでは分かっていませんでした。しかし、今日にまで及ぶ長年の研究で、徐々にその正体が解明されてきました。次の表が老人斑と神経原線維変化を形成する原因物質です。

老人斑
特殊なタンパク質から形成された「アミロイドβ」からなるシミ状の斑点
神経原線維変化
神経細胞内で、「タウ」というタンパク質にリン酸が異常なまでにくっつき形成された糸くずのような塊

アルツハイマーの発生と脳萎縮が進むメカニズム

さらに、老人斑と神経原線維変化には毒性があり、脳の神経細胞にダメージを与え破壊し、脳を委縮させている原因であることが判明しました。

しかし、まだまだアルツハイマー病の原因の全容解明とまでは至っていないのが現状です。なぜなら、アミロイドβやタウタンパク質は、なにもアルツハイマー病の患者さんに限って現れるものではありません。これらは誰の脳でも作られている物質なのです(通常は分解酵素によって分解されるので大した影響はありません)。また、なぜアルツハイマー病になるとアミロイドβやタウタンパク質が増え、病気の進行とともに脳全体に広がっていくのかといことまでは解明されていないのが現状です。

現在有力な説は、「アミロイドカスケード仮説」です。上流にある1つの原因が滝の流れのように別の原因を取り込みながら変化していき、結果アミロイドβが蓄積し神経細胞を破壊するという説です。

アルツハイマー病の主症状は記憶障害

アルツハイマーの進行と症状

アルツハイマー病の主な症状は、もの忘れに代表される記憶障害です。この記憶障害は、アルツハイマー病の初期段階から高い確率で現れる症状です。もの忘れとは、「食事をしたことを忘れる」「人が訪ねてきたことを忘れる」といった、今さっき経験したことを忘れてしまう症状です。

記憶障害とは

しかし、「なぜ、アルツハイマー病では記憶障害が現れやすいのか」と疑問を持たれる方も多いと思いのではないでしょうか。

その答えは、アルツハイマー病の原因である脳の萎縮は、一時的な記憶を保存する「海馬」という部分から始まることが多い為です。海馬は新しい記憶をいったん保持し、整理するいわば記憶をコントロールするところです。その海馬がダメージを受けることで、もの忘れなどの記憶障害が目立つようになってくるというわけです。

また、病気が進行するにつれて脳の萎縮が進み、見当識や判断力、感情をコントロールする部位もダメージを受けることで、徘徊や暴力といった様々な症状が現れるようになるのです。

アルツハイマー病は予防できる病気?

近年の世界規模の研究により、アルツハイマー病は予防できる可能性があると考えられるようになってきました。国内外を問わず、アルツハイマー病を発症する人には、いくつか共通点が存在するという報告がされるようになったためです。

病気のリスクを高める”アルツハイマー病のリスク因子”として考えられているものをいくつかご紹介しましょう。

  • 肥満や運動不足、肉類などの動物性脂肪の摂り過ぎ等生活習慣病を招くようなライフスタイル
  • 糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病を患っている人

つまり、不規則な生活や偏った食習慣によってアルツハイマー病を発症するリスクが高まるのです。裏を返せば、これらを改めることでアルツハイマー病を予防することも可能と言えるでしょう。

Ⅱ型糖尿病がリスクを高める

Ⅱ型糖尿病

先ほどの”アルツハイマー病のリスク因子”の中でも、特に病気の発症に深く関係しているとされるのが「糖尿病」です。なぜ、糖尿病がアルツハイマー病の引き金となると考えられるのでしょうか?

糖尿病とは

それは、糖尿病を発症することにより、膵臓から分泌される「インスリン」という血糖調整ホルモンの効き目が悪くなり、血糖値が高い状態が続いてしまうことが脳に悪影響を与えアルツハイマー病を引き起こすという説が今のところ有力とされています。

糖尿病には、いくつかの種類がありますがその中でも、特にアルツハイマー病と関連性が高いとされているのがⅡ型糖尿病です。Ⅱ型糖尿病は、過食や運動不足など不健康なライフスタイルを送っていると発症しやすい病気で、日本人の糖尿病患者の多くはこのⅡ型糖尿病です。

したがって、アルツハイマー病を予防するには、不健康なライフスタイルを改めることが大切だと考えられています。

喫煙や受動喫煙でも、認知機能が低下する

たばこ,喫煙

以前までは、「タバコに含まれるニコチンにはアルツハイマー病予防に効果がある」との説がありました。しかし、むしろ「喫煙はアルツハイマー病のリスクを高める原因になる」ということが報告されています。また、喫煙者だけでなく受動喫煙者もアルツハイマー病の発症率が高くなるという研究報告もあります。

さらに、タバコはアルツハイマー病だけでなく、動脈硬化や高血圧の原因にもなり脳血管性認知症のリスクも高めてしまいます。アルツハイマー病と脳血管障害の2つを合併すると、病状が悪化することが分かっています。したがって、タバコは治療の足かせになるので、本人だけでなく周りの介護者も健康の為に禁煙する方が望ましいでしょう。

頭部のケガや歯の損失などの身体的な原因も関係する

歯周病

アルツハイマー病の原因となるのは、何も生活習慣だけではありません。

頭部のケガや歯の損失など身体的原因によりアルツハイマー病の発症リスクが高まってしまうのです。

老化 アルツハイマー病は年齢別に発症数を比べると、老化に伴い段々とその数が増加します。これは、老化に従い、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβを分解する酵素が上手く働かない為だと考えられています。
頭部のケガ 意識を失うなどの意識障害を伴うような頭部外傷を負った経験がある人は、そのような経験が無い人と比較して、アルツハイマー病を発症する確率が高いと言われています。
歯の損失 歯を損失している人は、アルツハイマー病を発症しやすいとされています。それは、歯周病や虫歯の菌が影響したり、それら細菌の免疫物質であるサイトカインが悪さしていると考えられています。(⇒『歯周病とアルツハイマー病』で解説しています。
寝たきり 寝たきりがアルツハイマー病に直接関係しるわけではありませんが、何も刺激がない寝たきり生活が認知機能の低下を招きアルツハイマー病発症の引き金になることがあります。
女性 理由は定かではありませんが、女性の方が男性よりもアルツハイマー病の発症率が高いと言われています。女性の方が長生きすることが多いのも影響しているのではないかと考えられています。

これら身体的な原因を持つ人が、必ずしもアルツハイマー病になるわけではありませんが、病気の発症と関係していると考えられる以上、できる限り可能性を低くすることが病気の予防には大切です。

最新のアルツハイマー病の予防法について知りたい方は、次の2つの記事をご覧下さい。

【最新のアルツハイマー予防・改善法】病変があるのに発症しない?MCI(軽度認知障害)を早期発見し、アルツハイマーを予防する方法

薬による治療

始めに断っておきたいことがあります。それは、アルツハイマー病を根本的に治す治療薬は現在存在しないという事実です。

しかし、今までにアルツハイマー病の症状を軽くする、進行を遅くする薬は開発され、世に広く出回っています。ここでは、それらアルツハイマー病の治療薬として、どのような薬があるのかをご紹介していきます。

アリセプト(ドネペジル)は、アルツハイマー病の治療薬

アルツハイマーのアリセプト服用

引用:エーザイ株式会社

まず、アルツハイマー病の治療薬として一番に名前が上がるのが「アリセプト」という薬です。

アルツハイマー病の人の脳には、その原因となる「老人斑」や「神経原線維変化」が見られます。それに加えて、「アセチルコリン」という記憶や学習などの認知機能と深く関係している神経伝達物質の減少が見られます。また、アセチルコリンの減少だけでなく、神経細胞に元々ある酵素の分解作用により、ますますアセチルコリンが減少してしまうのです。

アリセプトは、このアセチルコリンを分解する酵素をおさえる作用がある為、脳内のアセチルコリンが一定量に保たれます。このことから、記憶障害や見当識障害、判断力障害などの認知症の中核症状の悪化を遅らせることが可能です。

しかし、「薬は使い続けている間に効果が弱くなるから、ある程度病気が進行してから薬による治療を始めよう」と考える人がいますが少し考え直してください。確かに、アリセプトは、アルツハイマー病の進行スピードを緩めてはくれるものの病気は進行し、薬効もだんだんと薄れてくることが多いです。

しかし、薬を服用している人と、していない人とでは、病気の進行には違いが出てきます。したがって、アルツハイマー病と分かった時点で、1日1回決められた処方量をキチンと飲む方が病気の治療には良いとされています。

アリセプト(ドネペジル)のアルツハイマー病への効果や使用法、副作用

アルツハイマー病の新薬|レミニールとメマリー

レミニール,メマリー

また、2000年代に入ってからアリセプト以外にも、レミニール(ガランタミン)やメマリー(メマンチン)といったアルツハイマー病の治療薬が続々と開発されています。ここ日本でもレミニールやメマリーがアルツハイマー病の治療薬として認可されました。

この2つの薬は、アリセプトとは作用機序が異なるので、アリセプトで芳しい効果が得られない場合にはいずれかの薬に切り替えて使用することもでき、アルツハイマー病治療の選択肢が以前より格段に広がりました。

レミニールの効果や使用法、副作用メマリーの効果や使用法、副作用

アルツハイマー病のケアのポイント

病気の進行とともに、もの忘れだけでなく「徘徊」や「暴力」、「もの盗られ妄想」、「失語」などの症状が現れます。こういった周辺症状は、「介護されている自分への不甲斐なさ」や「介護者との関係」など、過去の出来事や現在への不満やストレスが原因で引き起こされることが多いです。

その為、誤った対応を取ると症状がますます強く現れてしまうという悪循環に陥ります。したがって、アルツハイマー病の方のケアをする時は、最低限のケアのコツを心得ておくことが大切です。

記憶障害(もの忘れ)のケア徘徊へのケアもの盗られ妄想へのケア

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