知らなきゃ損!看護小規模多機能型居宅介護を学ぼう

看護小規模多機能型居宅介護

みなさん「看護小規模多機能型居宅介護」って知っていますが?このサービスは、最近登場した新しい介護保険サービスの1つです。

「看護?小規模?名前が長すぎて何が何だか意味が分からない?知らないままでいいや(笑)」という人も少なくないでしょう。

ですが、看護小規模多機能型居宅介護について知らないままでいると、知らず知らずの内に損をしているかもしれませんよ。

ここでは、そういった方の為に「看護小規模多機能型居宅介護とは何なのか?」「サービスを利用するメリットは何なのか」「料金や費用がどれくらいかかるのか?」というお悩みを徹底的に分かりやすく解説していきますので、一緒に学んでいきましょう。

<目次>

  1. 看護小規模多機能型居宅介護とは
    1. 複合型サービス
    2. 訪問看護と小規模多機能型居宅介護を合体させたサービス
    3. 最大のメリットは医療と介護の両面からのケア
    4. 対象と人員基準
  2. 看護小規模多機能型居宅介護に掛かる費用
    1. 便利な定額制料金だが注意も必要
    2. その他にも加算と減算がある
    3. 実際に自分で料金を計算してみよう

1.看護小規模多機能型居宅介護とは

常に医療と介護が必要な重度の人でも、看護小規模多機能型居宅介護を利用することで、今よりも在宅介護が安全かつ楽に出来るようになるのではと期待されています。このサービスを学ぶ上で、

  1. 複合型サービス
  2. 訪問看護
  3. 小規模多機能型居宅介護

の3つのキーワードが重要になってきます。それら3つのキーワードをもとに看護小規模多機能型居宅介護がどのようなサービスなのか紐解いていきます。

1.複合型サービス

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2012年の介護保険制度改正で、高齢者に住み慣れた地域での生活を継続してもらうことを目的とした「複合型サービス」が誕生しました。

複合サービスとは、1つの事業所から「デイサービス」や「訪問介護」、「ショートステイ」といった13個のサービス(下の表)を2種類以上組み合わせて提供するサービスです。この複合型サービスとして、唯一国が「設置基準」と「介護報酬」を明確に示したのが、これからご紹介する「看護小規模多機能型居宅介護」です。

地域密着型サービス

居宅サービス

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

訪問介護(ホームへルパー)

訪問入浴介護

夜間対応型訪問介護

訪問看護

訪問リハビリテーション

認知症対応型通所介護

居宅療養管理指導

デイサービス(通所介護)

小規模多機能型居宅介護

デイケア(通所リハビリテーション)

短期入所生活介護(ショートステイ)

  短期入所療養介護  

2.訪問看護と小規模多機能型居宅介護を合体させたサービス

看護小規模多機能型居宅介護の全体像

出典;厚生労働省

看護小規模多機能型居宅介護とは、1つの事業所で「訪問看護」「小規模多機能型居宅介護」の2つのサービスを提供する複合型サービスの1つです。つまり、訪問看護+小規模多機能型居宅介護=看護小規模多機能型居宅介護という感じです。

この2つのサービスをご存知ない方もいらっしゃると思いますので、ここで軽くおさらいしておきましょう。

  • 訪問看護とは、看護師が定期的に要介護者のもとを訪ねて健康管理やたんの吸引や経管栄養などの療養上の世話をするサービス。
  • 小規模多機能型居宅介護とは、「通い」「泊り」「訪問」のサービスを1事業所にまとめたサービス⇒詳しくは「小規模多機能型居宅介護を学ぼう」

それぞれのサービスについて更に詳しく知りたい方は、下のリンクをご覧下さい。

参考リンク⇒訪問看護 小規模多機能型居宅介護

この2つのサービスを組み合わせることで、「通い」「訪問(介護・看護)」「泊り」を一体的に提供することができるのです。

しかし、なぜこの2つのサービスが合体することとなったのでしょうか?その理由は、小規模多機能型居宅介護において「常勤や専任の看護師が配置されていない」など、医療面への対応力に弱点があったためです。ですので、たんの吸引や経管栄養(=胃ろう)といった医療ケアが常に必要な重度の人は、小規模多機能型居宅介護サービスを利用しようと思っても利用できない事態が発生しました。

3.最大のメリットは医療と介護の両面からのケア

訪問看護医療ケア

そこで、小規模多機能型居宅介護の弱点である「医療」を、訪問看護と連携することでカバーする「看護小規模多機能型居宅介護」が誕生したのです。

やはり何といっても看護小規模多機能型居宅介護の魅力は、医療体制が強化されていることです。小規模多機能型居宅介護のサービスに加え、必要に応じて訪問看護を提供でき、要介護度が高く、医療ニーズの高い高齢者にも対応しやすくなりました。また、1つの事業所が「医療・看護」と「介護」の両方をまとめて提供することで、より安全で利用者のニーズにあったサービスが提供できるというメリットもあります。

主なメリット

看護小規模多機能型居宅介護の具体的なメリットとして次のようなものがあります。

  • 医療の充実看護士が利用者を定期訪問し「痰の吸引や経管栄養など」「健康管理」などの実施
  • スタッフ間で情報共有がスムーズに行われ、トラブルが発生しにくくなる 「新たに増えた薬の服薬の仕方」「利用者の体調の変化に柔軟に対応した介護ケア(床ずれ予防や食事)」など
  • ケアプランは看護小規模多機能型居宅介護に所属しているケアマネージャーが一元管理するので、利用者の状態や希望に合わせたサービスを提供しやすくなる。
  • 「訪問」「通所」「短期入所」の介護・看護を顔なじみの職員に対応してもらえることや、看取り体制が強化されたことにより、自宅で最期を迎えたいというニーズに対応できる。
  • 個別にサービスを提供するよりも、手続きにかかる負担が軽く、1人1人の状態に応じた柔軟なサービスが受けられる。

今までは、デイサービスやショートステイ、訪問看護といったサービスは、別々の事業所が提供することが一般的です。しかし、このような状況だと「なかなか情報が事業所間で上手く伝わらず、トラブルが発生する」ことがありました。しかし、医療と介護を一体化した看護小規模多機能型居宅介護の登場により、そのようなトラブルが少なくなり、より利用者のニーズに合ったサービスの提供が期待できるのです。

したがって、重度の認知症や片麻痺、パーキンソン病の方など常に医療ケアが必要な人や介護度が高い人も、「看護小規模多機能型居宅介護」を利用することで、住み慣れた自宅で療養生活を送りやすくなるのです。同時に、介護者である家族の負担も軽くなるはずです。

主なデメリット

ただし、看護小規模多機能型居宅介護にも、次のようなデメリットが存在します。

  • 複数のサービスを一つの事業所との契約で受けられるので、サービスごとに事業者を選ぶことが出来なくなる。
  • 馴染みのケアマネージャーや他の事業所のスタッフと離れなければいけない。
  • いつも同じ施設に通うことになり、バリエーションが減ることで刺激がなくなる。

したがって、看護小規模多機能型居宅介護を利用する場合と、各サービスを個別で利用する場合のメリットとデメリット、利用料金、サービス内容といったことを含めて総合的に判断しましょう。

4.対象と人員配置基準

看護小規模多機能型居宅介護を利用できるのは、要介護度1~5の人のみです。基本的なシステムは「小規模多機能型居宅介護」と同じく、登録できるのは一つの事業所のみです。

また、市区町村によっては実施していないところもあるので注意が必要です。

日中の訪問では2人以上の職員のうち1人以上は看護職といった人員基準が定められています。また、訪問看護は主治医の指示に基づいて行われ「医療的な問題のある利用者」への柔軟に対応出来るようになりました。

2.看護小規模多機能型居宅介護に掛かる費用

1.便利な定額制料金だが注意も必要

費用,お金

看護小規模多機能型居宅介護にかかる料金体系は、スマートフォンや携帯電話でいうところの「使い放題プラン」みたいなものです。「訪問介護」「訪問看護」「デイサービス」「デイケア」「ショートステイ」などの利用に掛かる介護サービス費は、1ヶ月の定額制で介護保険の対象となりますので、自己負担1~2割の支払いで済みます。

したがって、どのサービスをいくら使ったとしても、予め定められた一定額の範囲を超すことはありません。

ただし、ここで注意が必要なのが「食費やショートステイの滞在費、オムツ代、日常生活費」といった費用です。皆さんも馴染みがあると思いますが、スマホや携帯の「使い放題プラン」はあくまでも、インターネットやメールに適用されるのもので、電話かけ放題では無いプランが多いです。

それと同じように看護小規模多機能型居宅介護でも「食費、滞在費、オムツ代」といった費用は介護サービス費に含まれておらず、また保険対象外なので全額自己負担になります。特に、気を付けなければいけないのがショートステイの「滞在費」です。滞在費の料金に基準はありませんが、1日2000~3000円程度の施設が多いようです。

ですので、いくら利用しても同じだからといってサービスを詰め込み過ぎると思わぬ出費が発生するので注意が必要です。したがって、予め「どれくらいの費用が掛かるのか」事業所に問い合わせて確認しておきましょう。もし分からない場合は、ケアマネージャーに相談しましょう。

2.その他にも加算と減算がある

その他にも、看護小規模多機能型居宅介護では、介護サービス費が各々の状態に応じてプラスされたりマイナスされたりします。

主な加算としては、

初期加算
登録日から30日以内について加算される
認知症加算
認知症に対応した介護を要する場合(認知症の症状と要介護度により料金が異なるので、医師の判定の結果もしくは、訪問調査員の認定が必要となります。)
緊急時訪問看護加算
24時間の訪問看護対応体制を整えている場合
サービス提供体制強化加算
介護福祉士や常勤職員等を一定 割合以上配置している場合

などの加算項目も設けられています。

一方で、1ヶ月の訪問回数などサービスの利用回数が少ない場合などは減産されます。ですので「利用回数は少ないのに沢山サービスを使っている人と利用料金が変わらない」といった不公平がなるべく生じないような仕組みになっています。

それでは実際の介護報酬(単位)はいくらくらいなのか確認していきましょう。

看護小規模多機能型居宅介護の利用料金は、サービスを提供する事業所が、利用者の住んでいる建物と同じか、違うかで料金が異なっています。事業所と利用者が同じ建物の場合の方が、料金が安くなります。

【最新版】平成27年度 看護小規模多機能型居宅介護費
要介護度 通常利用
同一建物居住者以外 同一建物居住者
1 12,341単位 11,119単位
2 17,268単位 15,558単位
3 24,274単位 21,871単位
4 27,531単位 24,805単位
5 31,141単位 28,058単位
加算 初期加算 30単位/日
認知症加算Ⅰ類(認知症日常生活自立度3以上) 800単位/月
認知症加算Ⅱ類(認知症日常生活自立度2以下) 500単位/月
退院時共同指導加算 600単位/回
緊急時訪問看護加算(24時間体制の訪問看護) 540単位/月
ターミナルケア加算(看取りを行った場合) 2000単位/月
減算 登録定員を超過している場合  所定単位の70%
従業員数が基準を満たして無い場合  所定単位の70%
サービス提供が過小の場合  所定単位の70%
末期ガンなどで医療保険の訪問看護が実施された場合  925単位~2,914単位/月
特別の指示により頻繁に一料保険の訪問看護が行われる場合  30単位~95単位/日

3.実際に自分で料金を計算してみよう

料金計算の方法

それでは実際に、小規模多機能型居室介護に掛かる介護サービス費用を月額料金をシミュレーション計算してみましょう。

  • 利用者は要介護3
  • 利用者の居住する建物と事業所の施設は別もの
  • 週2回の訪問介護
  • 週3回のデイサービス
  • 1泊2日の月2回のショートステイ

以上のサービスを利用した場合、次のように料金計算できます。(1単位=10円、個人負担=1割負担の場合)

【計算式】

  • 【1ヶ月分の単位数】 24,274単位
  • 【1ヶ月にかかる介護サービス費(保険適用前)】 24,274単位×10円=242,740円
  • 【1ヶ月にかかる介護サービス費(自己負担1割)】 242,740円×10%=24,274円

看護小規模多機能型居宅介護の自己負担費用(1ヶ月分)=24,274円+食費やショートステイ滞在費(部屋代、光熱費)、おむつ代、日常生活費(娯楽費、理美容費)など

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