簡単自宅で認知症テスト|長谷川式認知症スケール
「私の親は認知症かもしれない・・・」そんなことを思っていても、素人目ではなかなか判断が難しいものです。
「認知症・若年性アルツハイマー病なのか?」「認知症の場合どのレベルなのか」知りたい方の為の1つの判断材料として「認知症テスト」があります。
その中でも、代表的な認知症テストは「長谷川式認知症スケール(長谷川式簡易知能評価スケール)」です。
長谷川式認知症スケールの特徴は次の通りです。
- 誰でもできる早期発見に適した簡易なテスト
- 病院などの医療機関でもよく使用される信頼度の高いテスト
その為、「長谷川式認知症スケール」によって、医師だけでなくご家族さんでも簡単に病気かどうかをテストすることが可能です。
認知症や若年性アルツハイマー病は、早期に発見し適切な治療を行うとその進行を抑えることが出来ます。逆に、気付かずに放置しておくとドンドンと進行していき、気付いた頃には取り返しのつかない状態になっていることもしばしばです。
したがって、病気の疑いがある場合は、「長谷川式簡易知能評価スケール」によるテストを行ってみることを推奨します。
長谷川式認知症スケール(改訂版)
長谷川式簡易知能評価スケールは、正常なお年寄りなら簡単に答えられ、認知症の高齢者には答えるのが難しい質問を問題にしたものです。各質問に答えられるかどうかで点数をつけ、「合計点数で認知症や若年性アルツハイマー病かどうか、認知症の場合どのレベルなのか」を判断します。
長谷川式簡易知能評価スケールは、30点満点で評価します。20点以下の場合は、認知症や若年性アルツハイマー病の疑いが有りとされます。
問題 | 注意点 | 点数 | |
---|---|---|---|
① | お年はいくつですか | 満年齢が正確に言えれば1点。2年までの誤差は正解とみなす。 |
1点 |
② | 今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか? | まず「今日は何月何日ですか?」と聞き「何曜日ですか?」とゆっくり別々に聞くのも可能 | 1点×5 |
年・月・日・曜日それぞれ各1点。年については西暦も正解 | |||
③ | 私たちが今いるところはどこですか? | 病院名、施設名、住所などは言えなくていい、現在いる場所がどういう場所なのかが本質的に捉えられていればよい。 |
自発的:2点 ヒント:1点 |
自発的に答えられれば2点。正解が出なかった場合、約5秒してから「ここは、病院ですか?家ですか?それとも施設ですか?」と問い、正しく選択できれば1点。 | |||
④ | これから言う3つの言葉を言ってください。後で、再び聞き直すのでよく覚えておいて下さい下の系列のいずれか1つを使い、使った系列をチェックしておく
【Ⅰ】系列:1.桜 2.猫 3.電車 【Ⅱ】系列:1.梅 2.犬 3.自動車 |
問題7に保留 | |
⑤ |
引き算をして下さい。 【Ⅰ】100―7は? 【Ⅱ】そこから7を引くと? |
「93から7を引くと?」のように検査者が最初の引き算の答えを繰り返し言ってはいけない。 |
1点×2 |
各正解に対して1点を与えるが、最初の引き算の答えを誤った場合、そこで中止し、6の問題に進む。 | |||
⑥ |
これからいう数字を逆から言ってください。 【Ⅰ】6-8-2 【Ⅱ】3-5-2-9 |
数字は続けていうのではなく、ゆっくりと約1秒間隔で提示し、言い終わったところで逆から言ってもらう。 | 1点×2 |
正解に対して、各1点を与えるが、最初の逆唱に失敗した場合は、そこで中止し問題7に進む。 | |||
⑦ | 先ほどの問題 ④ で、覚えてもらった言葉をもう一度いってもらう。 | 自発的に回答があれば2点。もし回答が無い場合、ヒントを与え正解があれば1点 |
自発的:各2点 ヒント:各1点 |
ヒントの出し方は、「一つは植物でしたね」という風に与える。その後も「もう一つは乗り物がでしたね」という風にヒントを与える。「植物と乗り物がありましたね」という様に続けてヒントを出してはダメ | |||
⑧ | これから5つの品物を見せます。それを隠しますので、何があったか言ってみてください。 | 時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係の物を使うこと。予め用意した5つの物を1つずつ名前を言いながら並べて見せ、よく覚えるよう教示する。次に、それらを隠して「思い出す順番はどうでもよいので、今ここに何がありましたか?」と尋ねる。 | 1点×5 |
⑨ | 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。 | 重複した野菜の名前を言った場合は点数に加えない。この問題は言語の流暢性を見る質問であるため、途中で言葉につまり約10秒程度待っても次の野菜の名前が出てこない場合にはそこで打ち切る。 |
5個以下:0点 それ以降:各1点 |
テストの質問の意図 |
---|
1:年齢 2:日時の見当識 3:場所の見当識 4:言葉の即時記銘 5:計算 6:数字の逆唱 7:言葉の遅延再生 8:物品記銘 9:言語の流暢性 |
点数 | 認知症の疑いの程度 | 読んでおきたい関連記事 |
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25点以上 | 認知症や若年性アルツハイマー病の疑いは低い | 認知症の基本を学ぼう!3つのタイプに分けて種類別に分かりやすく解説 |
24~21点 | 認知症や若年性アルツハイマー病の前段階軽度認知障害MCIの疑いがあり | |
20点以下 | 認知症や若年性アルツハイマー病の疑いがあり | |
20~16点 | 軽度認知症の疑いあり | |
15~11点 | 中等度認知症の疑いあり | |
10~5点 | やや高度認知症の疑いあり | |
4点以下 | 高度認知症の疑いあり |
採点した点数と上の表の点数を照らし合わせて、横の「読んでおきたい関連記事」を読んでいただければと思います。
長谷川式簡易知能評価スケールの点数だけでの判断はダメ
しかし、長谷川式簡易知能評価スケールだけで病気かどうかを判断することは間違っています。
アルツハイマー型認知症や若年性アルツハイマー病の方は、記憶障害といった認知機能の低下が目立ちテストの点数が低くなることがありますが、レビー小体型認知症の方は、記憶障害が目立ちくく高得点を取る方もいるためです。
認知症の診断は、「問診」「画像検査」「テスト」の3つの検査結果を総合的に判断する必要があります。