要介護5の母と共に|真夜中の悲劇Part9

tobira

車は順調に進んでいき、いつもの長いトンネルに入った。このトンネルを抜けるとおばあちゃんの家も目と鼻の先である。

私は昔からこの長ったらしいトンネルがどうも好きになれなかった。5分以上も続くこのトンネルは、何の変哲もないコンクリートの壁でできておりそれが5分という時間を何時間にも感じさせるからだ。

しかし、今日は一瞬のようにこの長いトンネルが過ぎていった。そして、車は高速道路を降りた。

高速道路を降り、10分ほど走ったところにおばあちゃんの家がある。只今、午前2時10分。予定よりも早くおばあちゃんの家に到着しそうだ。

本道からいくつかの道を通り、住宅街に入ったところにおばあちゃんの家がある。

もう、おばあちゃんの家はすぐそこだ。あそこの曲がり角を曲がるとおばあちゃんの家が見える。

私たち3人は曲がり角の手前で、深呼吸し固唾を飲みながらその曲がり角を曲がった。

家の前に、車が2台止まっているのが見えた。2台の車はともに、夜中の暗い住宅街には不釣り合いの眩しく赤いランプを灯していた。

直ぐに、その車の正体がパトカーと救急車であることが理解できた。

救急車が止まっている、おばあちゃんは生きているかもしれない。

そんな希望を胸に、私たち3人は車を駆け下り、おばあちゃんの家のインターホンを鳴らした。

「ピーンポーン」「ピーンポーン」

「・・・・・・・・・・ガチャ、ガチャッッ・・・」

インターホンが繋がる前に、玄関の扉が開いた。

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