要介護5の母と共に|真夜中の悲劇Part3

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「お母さんがお母さんが・・・・」

母はそう叫ぶと受話器を片手にその場で泣き崩れてしまった。

真夜中の静かなリビングに、何か悪い異物を吐き出そうとするかのような母の呻き泣く声が響いた。

母の泣き声は、数分ほどつづいたのだろうか?いや、正確にはほんの数十秒だろう。
しかし、母のそれは時をも止めてしまったかのように感じさせるものであり、その場にいた私と父は何も母に声をかけることができなかった。

だが、数十秒すると母は無理やりにでも冷静さを取り戻すように、必死に龍也の話に耳を傾け電話で話した。そして、最後に「今からすぐに準備して向かうから、もう少し待ってってね」と優しく語りかけてから電話を切った。

母は受話器を電話機に戻すと同時に、再びその場に崩れてしまった。

私はすぐに、母に詳しい内容を尋ねようと近づこうとしたが、父に「もう少しそっとしておいてあげよう。」と制止された。そして、数分が経過し、冷静さを少しとり戻りした母に、父が「もう大丈夫か?少し落ち着いたら詳しい内容を教えてくれ」と語りかけた。

すると、母は少し顔を上げ、まだ震えている唇を必死に動かしながら、私たち二人に龍也との電話の内容について話してくれた・・・

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