2人目の訪問者
「ガチャ、はい・・・」
「お久しぶりです、須賀です」インターホンの声は威厳のある年配の男の声であった。私の聞き覚えのある声であり、それは間違いなく母のいとこのものであった。
“これで母の病院に行ける。”私は意気揚々と玄関扉の鍵を外し、いとこ夫妻を迎えた。
「お久しぶりです」
「おお、明君久しぶりやな、お母さん大変みたいやな、どないなったんや?君のお母さんが、お祖母ちゃんが亡くなったこと電話で知らせてくれたんやけど、話の途中で急にお母さんの様子がおかしなったんや。そんで次に君のお父さんが出て、お母さんが倒れたって話しやから、慌てて駆けつけてきたんや」母のいとこは心配そうな顔で語った。
母のいとことは、5年前の祖父のお葬式であったきりだったが、その頃と何ら変わっておらず“頼もしい親戚のおじさん”のままであった。
私は“母が救急車で病院に運ばれたこと”、“貴重品が見当たらず家に1人残ったこと”、“病院まで向かう足がないこと”など今までの経緯をざっくりと伝えた。母のいとこは私の頼みを待たずして、“私を病院へと連れて行こう“と申し出てくれた。
そして、母のいとこは、私が父に母の運ばれた病院を尋ねている間に、素早くかつ礼儀よくお祖母ちゃんに挨拶し、叔父とも軽くこれから先の段取りを済ませていた。
「明君、お母さんがどこの病院に運ばれたか分かったか?」
「速水台病院に運ばれたみたいです」
「わかった、ここから30分ほどやな。早よ車に乗って病院に向かおう」母のいとこはそういうと、直ぐに私を車へと案内しアクセルを踏み込んだ。
私は母のいとこに感謝の言葉を述べ、お祖母ちゃんの家を後にしたのだった。
“やっと病院へと迎える、母は大丈夫だろうか・・・”
コメント