赤色ランプ
私たち3人は職員の案内のもと、担架で運ばれた母の後を追いオペ室へと向かった。
院内を照らすものは、足元の常夜灯と非常口を示す表示灯だけで、外から見るよりもずっと暗かった。そして、奥へと進めば進むほどなお一層その様に感じられた。
だが、2階の階段を上り、少し離れた場所だけは明るく蛍光灯に照らされていた。
案内人は、その明かりに照らされる場所まで進むと、そこで立ち止まりこちらを振り返った。
「オペ室はこちらです。みなさんはオペ室横にある待合室でお待ちください」
私たち3人はお互いに顔を見合わせた。父と龍也は、不安と恐怖に怯えた表情をまだ浮かべていたが、先ほどには無かった覚悟が少しばかり感じられた。
「きっと手術は上手く行くはずだ。お母さんの無事を祈ろう」父は私たち2人に語りかけた。
その時だ、オペ室の扉に掲げられたランプが赤色へと変わった。
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