いつもどおりの叔父
「叔父も久々に帰ってきたのだから、積話しが沢山あるのだろう。おばあちゃんと二人きりにしておこう」私はそのように思いながら、階段を上っていく叔父を見送ると、再びおばあちゃんの寝室に戻り通帳を探し始めた。
おばあちゃんの部屋では、依然として警察官のおじさんが一生懸命になって貴重品を探していた。プロでもなかなか見つけることが難しいのだろう。そのようなくだらない考えが頭をよぎった。
「ドタドタドタ」
2、3分も経たない内に階段を駆け降りてくる叔父の足跡が響いた。
「そうや明、お母さんとお父さんはどこや?」
叔父は私のことが心配で早めにおばあちゃんと再会を切り上げてきてくれたのだろうか、涙など一切見せないどころか顔色一つ変えずいつも通りに話しかけてきてくれた。(少し不気味に思えたが)涙を流している姿を人には見られたくないのだろう。
「お母さんは救急車で運ばれたんや。おばあちゃんの遺体を見てしばらくして、様子がおかしなって救急車で運ばれんたんや。けど、通帳と印鑑が見つかってないから警察官の人に家に1人は残っておいてくれていわれたから、僕が残ってん」
私は叔父にそれまでのいきさつを話し、お母さんのいとこ夫妻が来てくれたら、その車で病院に向かおうと思っている旨を伝えた。また、通帳と印鑑以外の貴重品(それぞれ2~3万円が入った財布が4点)は見つかったことも伝え、それら貴重品を叔父に渡した。
「それは困ったな・・・よっしゃわかった!おじちゃんも探そう!」叔父が意気揚々と、貴重品を探そうとしたその時だった。
「ピーンポン」待ちに待った2人目の来訪者を告げるインターホンが鳴った。
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