ADLとは?その意味や評価法について学ぼう

あなたは「ADLって何?」「ADLの意味は?」という疑問をお持ちでこのページに辿り着いたのではないでしょうか。

ADLって横文字なので難しいものだと思っていませんか?この記事では、”ADLとは何なのか”わかりやすく説明していきます。ぜひ、この記事でざっとADLの意味や評価方法について確認していただければと思います。

1.ADL(日常生活動作)とは?

ADLとは何なのでしょうか?ADLの定義は次のようになります。

ADL(日常生活動作 Activities of Daily Livingの略称)
食事やトイレでの動作、排便、排尿、入浴、洗顔、着替え、歩行、階段の上り下り、記憶、コミュニケーションなど日常生活を送る上で、必要とされる様々な身の回りの動作のことです。 日常での生活動作が自力で問題なく行えるほどADLが高いと評価されます。

脳卒中の発症後に片麻痺などの後遺症が残ると、それまで意識することなく行ってきた日常生活動作(ADL)が出来なくなる場合があります。 例えば、ベッドからトイレを行き来きすることです。この動作を大まかに分けただけでも次のようになります

  1. 寝返りを打つ。
  2. 手で支えながら起き上がる。
  3. ベッド上に座る。
  4. 立ち上がる。
  5. 歩いてトイレまで行く。
  6. 用をたす。
  7. 帰ってくる。

このようにトイレに行くだけでも、これだけ多くの動きを組み合わせることで初めて可能となります。 片麻痺などの後遺症がある人にとっては、このような日常生活動作(ADL)が困難になりる場合があります。なので、 ADLを向上させたり、維持させることが大切です。その為には、後にも先にもリハビリテーションが重要となってきます。

2.ADLの評価方法

1.リハビリ開始前に現在のADLの状態をチェックしよう

 

脳卒中の発症から2週間ほど経過すると、症状がある程度安定してきます。この時期は、医療者側からの働きかけに応じて、患者自身が意思をもって積極的にリハビリに参加する時期でもあります。 ベッドから起き上がる許可が出て、次いでトイレまで歩行許可が出るというように、次第にADL(日常生活動作)も拡大していきます。

しかし、それとともに、後遺症が明白になってくる時期でもあります。 機能訓練室で本格的なリハビリをスタートさせる前に、現状でのADLの評価を行い、今後のリハビリの目標を設定します。例えば、「ベッドから起き上がれるか」「歩けるか」「食事が出来るか」「トイレで用をたせるか」「着替えが出来るか」など、日常生活で必要な動作(ADL)についてチェックし、今後のリハビリの進め方を決めます。

2.誰でもできるADLの評価法FIMとは?

ADLの評価法として、FIM(機能自立度評価表)というものがございます。FIMは数あるADLの評価法の中でも最も信頼性がある評価法とされています。また、理学療法士などのリハビリテーションの専門家だけでなく、どなたでもADLの状態を手軽に把握、整理、評価できるのも、FIMが高い評価を得ている理由の1つです。 それでは早速、ADLの評価法FIMについて見てまいりましょう。

ADLの評価法|FIMのポイント

  • どの病気にも使用できる。
  • 評価者はリハビリテーションの専門家だけでなく、介護士や家族等どなたでも気軽に評価できる。
  • 実際に「している」状況を記録することで、介助量を測定できる。
  • 日常生活動作(ADL)の全てを細かく評価するためのものではなく、生活を営んでいくために必要な最小限の項目を把握するために使用します。

FIMはADLを項目に分けて評価する

ADLといっても、次のように2つの意味があります。

しているADL
普段から行っている日常生活動作
できるADL
できる能力はあるが、普段は行っていない又は介助を受けている日常生活動作

FIMは、実際の介助量を測定する「しているADL」で評価します。何人かでADLを評価する場合、最低限「しているADL」の状態を把握するために、低い方の評価を採用します。

FIMは日常生活動作(ADL)を運動項目と認知項目の二つの分類について評価します。

  • さらに、運動項目は4つの大項目、13の小項目に分かれます。
  • さらに、認知項目は2つの大項目、5の小項目に分かれます。

FIMの採点基準を学ぼう

FIMの採点基準は次のようになっています。

  • 各項目を7点満点で評価します。
  • 126点満点で、最低点は18点。
  • 介助用具を使っても自立していると見なす。
  • 動作は上半身と下半身に分けて評価する。

そして、採点基準に従って次の評価項目に点数をつけていきましょう。

分類   評価項目
運動項目 セルフケア ①食事(咀嚼、嚥下を含めた食事動作)
②整容(洗顔、髭剃り、口腔ケアなど)
③清拭(風呂、シャワーなどで首から下(背中以外)を洗える)
④更衣―上半身(上半身の更衣及び義肢装具の装着)
⑤更衣―下半身(下半身の更衣及び義肢装具の装着)
⑥トイレ動作(衣服の着脱、排泄後の清潔、生理用具の使用)
排泄管理 ⑦排尿(排尿コントロール)
⑧排便(排便コントロール)
移乗 ⑨ベッド、椅子、車椅子(それぞれの移乗、起立動作含む)
⑩トイレ(便器への移乗、便器からの移乗)
⑪浴槽、シャワー(浴槽、シャワー室への移動)
移動 ⑫歩行、車椅子(屋内での歩行、または車椅子移動)
⑬階段昇降(12~14段の昇降)
認知項目 コミュニケーション ⑭理解
⑮表出
社会的認知 ⑯社会的交流
⑰問題解決
⑱記憶
採点 採点基準 介助者
7点 完全自立 動作に問題がない 不要
6点 修正自立 時間がかかる、補助具が必要、安全の配慮 不要
5点 監視・準備  監視、指示、促し(認知項目の場合、90%以上自分で行う) 必要
4点 最小介助 75%以上自分で行う(認知項目の場合、75%以上90%未満) 必要
3点 中等度介助 50%以上、75%未満自分で行う 必要
2点 最大介助 25%以上、50%未満自分で行う 必要
1点 全介助 25%未満までしか自分で行えない 必要

3.転院はソーシャルワーカーに相談しよう

現在のADLの状態を確認したところから、本格的なリハビリがスタートします。それまでは病室のベッド上、あるいは病棟の廊下が主な訓練の場でしたが、回復期リハビリは機能訓練室で行います。 現在の評価をもとに援助計画が立てられ、訓練を行いながら、再評価を繰り返していきます。

回復期のリハビリでは、病室での生活も大切な訓練の場になります。「訓練室でできたADL」が病室でもできるようになることが、退院に向けての重要なポイントとなるからです。 ただし、急性期の患者の治療を目的としている病院では、回復期のリハビリが十分に行えないこともあります。そういった場合は、必要に応じて、リハビリの専門病院に転院することになります。 転院先については、病院の医療ソーシャルワーカーに相談すると良いでしょう。医療スタッフと協議しながら患者や家族と面談し、希望を聞きながら転院先の調整をしてくれます。

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