運動療法で高血圧・糖尿病などの生活習慣病を予防せよ!
運動不足は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症といった生活習慣病の原因となります。
運動をすることで、これら生活習慣病がグーンと改善するだけでなく、生活習慣病をきっかけとして起こる脳梗塞や脳出血、心筋梗塞といった病気にかかるリスクも低くなります。
脳卒中や心筋梗塞の予防、あるいは、再発予防のためにも、定期的に適度な運動を行う習慣を付けましょう。
- <目次>
- 1.運動はあらゆる生活習慣病の予防になる
- 2.生活習慣病予防にはどんな運動が良いの?
- 1.運動でカロリーが消費され始めるまでの時間
- 2.毎日続けられる運動
- 3.生活習慣病予防に最も効果的な運動とは?
- 3.運動療法を始める上での注意点
1.運動はあらゆる生活習慣病の予防になる
運動は、心肺機能を向上させると同時に、体脂肪を効率的に燃焼させる効果が期待でき、高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病予防につながります。
運動をすることで体中の血流がよくなりリポタンパクリパーゼという酵素が特に筋肉内で活発的に働いて、中性脂肪を運んでいるリポタンパクの悪玉コレステロールやカイロミクロンが分解されやすくなり、中性脂肪を減らしてくれます。
その結果、善玉HDLコレステロールを増えます。さらに運動を続けていくと次第に、悪玉LDLコレステロールが減少していき、総コレステロール値が低下することで、肥満や脂質異常症の改善効果があることが分かっています。また、運動により、タウリン、ドーパミンなど血圧を下げる働きを持つ物質を増やし高血圧や動脈硬化予防、インスリンの働きを良くなり糖尿病の改善効果も期待できます。
習慣的に運動を続けることにより、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、動脈硬化などの生活習慣病だけではなく心筋梗塞や脳梗塞や脳出血などの危険な病気の予防にも繋がります。
善玉・悪玉コレステロールについては『コレステロールを下げる為に知っておくべき事』で詳しく解説しております。
2.生活習慣病予防にはどんな運動が良いの?
生活習慣病の予防には運動が良いことは分かっていただけましたか?それではどのような運動が効果的なのか見ていきたいと思います。
1.運動でカロリーが消費され始めるまでの時間
ある程度時間をかけて行う運動の方が肥満や脂質異常症を解消するには効果的です。
その理由は運動をし始めると、まず筋肉のグリコーゲンという糖が分解されてエネルギーとして消費され、その後20分程運動をつづけてからやっと体脂肪が分解されエネルギーとして消費されるからです。
したがって、1回30分くらいは最低続けられる運動を選びましょう。短い時間でも積み重ねて30分以上になれば効果があります。
2.毎日続けられる運動
規則的に長期間にわたって無理なく続けられる運動が生活習慣病や健康の為の運動療法には適しています。「運動は1日にしてならず」です。毎日の積み重ねがあって初めてその効果を発揮します。1日30分の運動をできれば毎日、少なくとも週に3日は続けましょう。
3.生活習慣病予防に最も効果的な運動とは?
1と2のことを考慮にいれますと・・・
生活習慣病予防に最も相応しい運動は、ウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動です。
有酸素運動というのは、体内にたくさんの酸素を取り入れながら行う運動のことです。また、短期的に集中して運動を行うよりも、長期間つづける方が生活習慣病の予防や改善効果がございます。直ぐには効果が出なくても気長に1日でも長く運動を続けていくことが一番大切です。それにはいつでも、どこでもマイペースで出来る運動を選びましょう。
3.運動療法を始める上での注意点
1.始めは気張らずに散歩程度の気軽な気持ちから始めよう
ウォーキングというと「一日に1万歩」と意気込む人もいますが、そういう人ほどいわゆる3日坊主になって挫折しやすい傾向にあります。
まずは「散歩をしよう」というぐらいの軽い気持ちから始めましょう。1日20分程度、いつもよりやや速足で歩きましょう。時間が取れない場合は、10分歩きを1日に2・3回行うことで同じ効果が得られます。歩くことに慣れてきたら、ほんのり汗ばむ程度にスピードを速くしてみましょう。歩く距離も徐々に伸ばしていきましょう。
2~3ヶ月これを続ければあなたの脚力は向上し、血圧や血糖値の改善効果も期待できます。
2.どれくらいの強度の運動がいいの?
どれくらいの強度の運動を行ったらよいかは、その人の年齢や運動能力などによって異なります。一般的な運動の強度は、心拍数を目安にするとよいでしょう。高血圧の人が早歩きをするときに安全なのは、心拍数をあまり上げずにニコニコと話しながら歩けるペースです。このペースなら苦しさを感じずに続けられしかも血圧を下げる効果も十分にあります。
ちょっと汗ばむ程度で会話をしながら行える運動強度を目安にします。ペースは年齢によって異なります。年齢に応じたウォーキングのペースの目安を示す1分間の脈拍数の計算式は次のようになります。
138-(年齢÷2)=一分間の脈拍数
50歳人の場合110回程度の脈拍数/1分間を目安に維持できるよう頑張りましょう。
3.運動療法は日常生活の中で出来るだけ身体を動かすことも入る
ここまでは、運動療法で最も効率的に効果が期待できるウォーキングなどの有酸素運動を取り上げて説明してきました。
しかし、運動療法でいう運動とは、スポーツやウォーキングといってことだけを意味しているのではありません。
脂肪やカロリーをエネルギーに変えて消費し、生活習慣病や他の病気を予防改善できる活動のことすべてを運動療法と言います。
したがって、私たちが生活を営んでいく上での仕事や家事といった身体を動かすことも運動の1つと考えます。
男性より女性の方が長生きなのは、日常的に家事などで身体を動かす機会が多いことも関係していることが分かっています。したがって、できる限り週末は家族で出かけたり、家事をお手伝いしたりすると運動になるだけでなく、奥さんに褒められるなど一石二鳥です。
4.持病がある人や運動を始めることに自信がない人は、必ず医師に相談する
1.持病を持つ人の運動療法の始め方
運動療法は誰でも行っていいわけではありません。
すでに脳卒中を起こした人、血圧が高い人、糖尿病の治療中の人などは、必ず、主治医に相談し、「どのような運動を、どの程度のレベルで行へば安全か」ということを確認した上で始めるようにしましょう。特に、重度の高血圧の人が運動をすると、血圧がさらに上昇して脳卒中や心筋梗塞、狭心症の危険性が高まります。
また、服用している降圧薬によっては、運動が進められないものもありますので医師に相談してください。
運動を行う時間帯の制限はありませんが、高血圧の人は血圧が不安定な早朝や午前中のウォーキングは避けた方が無難です。また、血糖降下薬やインスリンで治療中の糖尿病の人は、空腹の時の運動は禁物です。低血糖を招きやすく、意識を失う危険性がございます。食後1時間程たったころに行うと、効率的に血糖値を下げることができます。
これまで運動をあまりやってこなかった人やしばらくぶりの人が運動を始めるときは、医学的なチェックを必ず受けて下さい。
高血圧や糖尿病などの合併症を持っている人はもちろんのこと、そうでない人も必ず医師のメディカルチェックを受けましょう。
2.運動をする前の準備運動は念入りに!
運動をするときは、準備運動を十分に行ってから始めます。体調が悪い時は無理をしてはいけません。また、運動の途中で膝や腰などに痛みを感じた時や、息苦しくなった時には速やかに運動を中止してください。膝や腰に痛みがある人は、膝にサポーターをつけると膝にかかる負担が軽くなります。また、膝への負担が軽い水中ウォーキングがおススメです。逆に、テニスやサッカー、バレーボール、バスケットボールなど勝敗を競うスポーツはついつい頑張りすぎてしまうので避けた方がよいでしょう。
3.運動中の熱中症に注意
運動中は、水分の不足(脱水)に十分に気を付けましょう。水分が不足すると血液の粘土が増し、血栓を作りやすくなります。運動中は、こまめに水分補給を行うようにして下さい。
とくに夏場は短い時間で大量の汗が出る為、体内の水分が一気に失われてしまいます。「喉が渇いた」と感じる前に、すでに脱水状態になっている場合もありますので、「水分は10分置き」と決めておきましょう。脱水状態になると熱中症になりやすくなります。その結果、全身の機能が衰弱し、痙攣の発作が起こったりして、脳に障害が残ったり最悪死に至るケースもございますのでご注意下さい。
脱水症と熱中症の予防方法については、『脱水症・熱中症の症状や対策法を徹底解説』で詳しく解説しております。
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