要介護5の母と共に|真夜中の悲劇Part13
「今の音は何だ。誰かがものを落としたのか?」父はそう言うと、1階に続く階段へと歩を進めた。「きっとそうだよ、鑑識の人が一階を調べてたから」と答えた。
ちょうど父が、2階の階段の踊り場に差し掛かった時だった。突然、下の階から男の叫び声が聞こえてきた。
「誰か、誰か来てくれ!!」
その声を聞いた父は急いで階段を駆け降りていった。
「どうしたのかな?お兄ちゃん僕たちも見に行こう」と龍也は言った。「でも、おばあちゃんを1人にしておくことは出来ないな。僕たちが付いておいてあげないと・・・」と私は龍也を説得した。
その時だった。再び叫び声が下の階から聞こえてきた。
「お前達、直ぐに降りて来てくれ!!!」
直ぐにその声の主は、父だと分った。しかし、普段物静かで冷静な父のそれとは違い、私たちの心臓の鼓動を大きくするような狼狽した声だった。
「龍也、やっぱり見に行こう」
「うん」
「おばあちゃん少しの間ごめんね。ちょっと待っててね」
私たちはそう言い残すと、急いで部屋を離れ、階段を駆け降り1階へと降りた。
そこで、私たち2人の目の前に飛び込んできた光景は、あまりにも異様かつ悲惨なものだった。その光景は、まるで心臓をナイフでえぐり出されるかのようなものだった・・・・
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