要介護5の母と共に|真夜中の悲劇Part12

mixd-dementia

私と父は、龍也に電話をもらってからこれまでの経緯について尋ねた。

龍也の話によると、これまでの経緯はこうだ。

龍也が母に電話してからほどなくして、救急車が家にやって着た。しかし、この時点でもう既におばあちゃんは手遅れの状態であり、病院に搬送するまでもなかったそうだ。

「おばあちゃんには外傷が無く、おそらく持病の糖尿病が原因で不整脈を起こしたことが死因に繋がったのだろう」、したがって、「殺人事件ではなく老衰による自然死であり、あまり苦しむことなく最後を迎えられた」というのが、駆けつけた救急隊員の見解だそうだ。

恐らく、二階のベランダで洗濯物を干している時に、不整脈に襲われ死んだという見立てだ。

ただし、玄関の扉やベランダの窓が開けっぱなしになっており、事件性も考慮されるということから警察を呼ぶことになったようだ。

龍也はこれまでの経緯をこのように私たちに話してくれた。

龍也は、私たちに話をしてくれている間に、徐々にいつもの冷静さを取り戻していった。そして、話終えるころには作り笑顔だが笑顔も出るようになった。

父も龍也の様子を見て、もう安心したのだろう。「さあ、お母さんを手伝ってこようか。しかし、おばあちゃんを一人にするわけにはいかないな。二人ともついておいてあげてくれ」そういうと父は立ち上がった。

「うん」私と龍也は声を揃えて返答し、父は精一杯の作り笑顔で答えた。

するとその時だった・・・・

「ドタッドタッッ、バッタバッタッッ」

突然、大きく鈍い物音が下の階から聞こえてきた。

この時は誰も、この音が第2の悲劇の始まりを告げる合図なんていうこと知る由もなかった。

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