レビー小体型認知症を見逃すな|早期発見の為の6つのポイント

みなさん「レビー小体型認知症」が、どういった病気なのかご存知でしょうか?

「アルツハイマー型認知症なら聞いたことがあるけど、レビー小体型認知症は知らないな・・・」という方が多いのではないでしょうか。その為、レビー小体型認知症は見逃しが多い病気です。また、レビー小体型認知症の症状は多彩な為、医師でも誤診してしまうことがあリます。

しかし、そのまま気づかずに放置したり、誤った治療を続けていると、気がついた頃には取り返しのつかない事態に陥っていることもあります。

したがって、この記事で「レビー小体型認知症を早期発見するためのポイント」を確認していただければと思います。

レビー小体型認知症が誤診や見逃される理由

レビー小体型認知症の症状は多彩です。というのも、レビー小体型認知症の原因である”レビー小体”という特殊なタンパク質は、脳全体に広範囲に現れるためです。

したがって、この”レビー小体”が発生した場所に応じて、様々な症状が現れるのです。例えば、レビー小体型認知症では次のリストのような多彩な症状が現れます。

  • 幻視・妄想
  • うつ状態
  • パーキンソニズム
  • 認知の変動
  • 睡眠時の障害・レム睡眠障害
  • 認知障害
  • 自律神経症状

その為、レビー小体型認知症は、医師でも他の病気と誤診したり、見逃してしまったりすることがあります。

しかし、もし「誤診」や「見逃し」に気がつかないまま、他の病気として放置したり、不適切な治療を進めたりしてしまうと、症状の悪化を招いてしまう可能性があります。レビー小体型認知症が悪化すると、本人はもとより介護者であるご家族にも多大な負担の増加が避けられません。

逆に、初期の段階でレビー小体型認知症を発見し適切な治療を受けることで、進行を食い止めることが出来ます。したがって、病気を一刻も早く発見する為にも、次の「レビー小体型認知症を早期発見するための6つのポイント」をしっかりと押さえて下さい。

レビー小体型認知症とは?その原因や症状を大解剖

レビー早期発見ポイント1|幻覚・錯視

精神病や統合失調症と誤診

レビー小体型認知症では、脳の視覚を司る部位によく障害が起きます。その為、以下のような視覚に関わる症状がよく現れます。

幻視 無いものが見える症状で、幻覚症状の1種。
錯視  目の前の物や模様等で視覚を刺激されたことで、それを別の物に見間違える症状。

例えば、幻視では「知らない人や動物が部屋の中にいる」といった具合に、無いはずのものが見えます。「幻視」や「錯視」はレビー小体型認知症の患者の約8割に現れる特徴的な症状で、比較的初期の段階から現れます。「幻視」や「錯視」にともない”誤認”や”妄想”を持つこともあります。

そうした特徴を理解していないと、周囲の人は「突拍子もないことを言い出した」と否定したり、無視したりする等の対応をしてしまいがちです。しかし、周囲のそういった反応でより本人の思い込みが強くなり、さらに周囲を困惑させる言動や精神的な病気が現れることがあります。

その為、老年期精神病や統合失調症などと誤診されることがあります。ですが、レビー小体型認知症に不適切な抗精神病薬を処方されると、さらに症状が悪化してしまうケースもあります。

幻視(幻覚)や錯覚の症状と介護対応妄想とは?被害妄想の種類と対応法

レビー小体型認知症の早期発見ポイント1

  • 幻視や錯視、誤認が増えた時は認知症の専門機関に受診する
  • 妄想が多い場合も、幻視や誤認が無いか確認する

レビー早期発見ポイント2|うつ症状を見抜く

難治性うつ病と誤診する

レビー小体型認知症の初期の頃は、うつ状態が続く「抑うつ」しか目立たない事があります。そのため、典型的なうつ病の診断基準を満たすほど状態が悪く、うつ病と診断されてしまうケースも多いです。

「難治性うつ病」と診断されている人の中には、実はレビー小体型認知症だったという人も少なくないです。

しかし、レビー小体型認知症とうつ病とでは原因が異なります。そのため、レビー小体型認知症の症状としてうつ状態が現れている場合、うつ病として治療を続けているだけでは期待した効果は得られません。

レビー小体型認知症の早期発見ポイント2

  • うつ状態以外の症状にも着目する
  • 抗うつ薬を中心とした薬物治療で改善が見られない場合は、レビー小体型認知症を含めた診断の見直しを求める

レビー早期発見ポイント3|パーキンソン症状を見抜く

パーキンソン症状だけと見逃す

レビー小体型認知症は、パーキンソン病と密接に関係した病気です。ともに、レビー小体という特殊なタンパク質が蓄積することで発症する病気です。レビー小体型認知症とパーキンソン病の違いは、どこにレビー小体が発生するかで「病名」や「症状」が異なってきます。

  • レビー小体型認知症は、脳の大脳皮質にレビー小体が多くできる
  • パーキンソン病は、脳幹にレビー小体が多くできる

しかし、「病名が違うから異なる病気」とは言えません。多くできるという違いだけです。冒頭でも説明した通り、レビー小体型認知症は、レビー小体が脳全体に広範囲に広がります。したがって、パーキンソン病と同じ症状が現れることが良くあります。

例えば、「小俣歩行」「転ぶ」「動作がぎこちない」「手足の震え」などです。

以前からパーキンソン病と診断されている人が、レビー小体が大脳皮質にまで現れ、いつの間にか認知機能が低下してきてレビー小体型認知症を発症していたというケースもあります。その為、パーキンソン病の治療だけを受けている人も少なくありません。しかし、そのまま治療方針の変更をせず放っておくと、認知機能の低下や幻視が見えたりと症状が悪化する可能性があります。

パーキンソン病とはパーキンソン症候群(パーキンソニズム)とは

レビー小体型認知症の早期発見ポイント3

  • パーキンソン症状の原因を検査してもらう
  • レビー小体型認知症の特徴的な症状「幻視」「うつ症状」や認知機能の低下が無いか確認する

レビー早期発見ポイント4|認知の変動を見抜く

認知機能の変動で認知機能の低下を見逃す

アルツハイマー型認知症に代表されるように、一般的に認知症は記憶力や理解力、判断力といった認知機能が徐々に直線的に低下していきます。しかし、レビー小体型認知症の場合には、認知機能が悪い時と良い時があり、直線的というより波の様に上下しながら進行していきます。

波のように認知機能の低下が進行していく理由は、脳の”脳幹網様体”という意識レベルを一定に保つ働きを担う部位の障害が関係していると考えられています。また、認知の変動の周期は、人それぞれ日や時間によって異なります。その為、状態が良く認知機能がしっかりとしている時もあり、「今日は調子が悪いだけだ、いつものこと」と、受診を先延ばしにしてしまうケースもあります。

レビー小体型認知症の早期発見ポイント4

  • レビー小体型認知症には認知の変動があることを理解する
  • 認知機能の低下以外のレビー小体型認知症特有の「うつ」「自律神経症状」「パーキンソン症状」「幻視・誤認」が無いか確認する

レビー早期発見ポイント5|レム睡眠行動障害を見抜く

寝ぼけているだけと見逃す

レム睡眠行動障害とは、眠っている時に”うなさる”、”大声で叫ぶ”、”手足をばたつかせ暴れる”などの症状が現れる睡眠障害の1種です。周囲の人は、レム睡眠行動障害を寝言や夢を見ているだけ、ストレスが溜まってるだけと勘違いしがちです。ですが実は、レビー小体型認知症を原因とするレム睡眠行動障害が現れている可能性があります。

レム睡眠行動障害は、レビー小体型認知症の前兆や初期症状として見られることがあります。レビー小体型認知症の発病の10年も前からレム睡眠障害が現れることもあります。

したがって、レム睡眠行動障害の有無は、レビー小体型認知症かどうか診断をする上で大変貴重な情報になります。ただ、レム睡眠行動障害があれば、必ずレビー小体型認知症になるわけではありません。

レム睡眠行動障害の症状と対応を学ぼう

レビー小体型認知症の早期発見ポイント5

  • レム睡眠障害以外のレビー小体型認知症の症状があるか確認する
  • 睡眠時に異常な行動があることを伝える

レビー早期発見ポイント6|自律神経症状を見抜く

体の調子が本調子でないだけと見逃す

レビー小体型認知症では、自律神経症状が現れることがあります。自律神経症状とは、日常生活で私たちも感じやすい症状です。例えば、次のような症状が自律神経症状に含まれます。

  • 倦怠感
  • 便秘
  • 多汗・寝汗
  • 頻尿
  • 立ちくらみ

レビー小体型認知症では、以上のリストのような自律神経症状が現れ、身体が本調子でなく悩まされることがあります。それぞれの症状は、一見関連性が無いようにも思えます。しかし、実は「レビー小体」が交感神経と副交感神経の働きを妨げてるという共通点があります。

倦怠感や便秘など自律神経の乱れは誰にでもあり得ることです。ですが、誰にでもありえることだからと、本当の原因であるレビー小体型認知症が見逃されてしまっているケースもあります。

レビー小体型認知症の早期発見ポイント6

  • 自律神経症状以外に、レビー小体型認知症の特徴である幻視やパーキンソン病が無いか確認する
  • レビー小体型認知症は薬物に過敏に反応してしまうことがあるので、素人判断で市販の治療薬を服用しない

まとめ

レビー小体型認知症を早期発見するための6つのポイントをしっかりと押さえ、病気を早期発見しましょう。早期発見できることで治療の可能性も広がります。

レビー小体型認知症を早期発見するためには、レビー小体型認知症かどうかテストすることも大切です。レビー小体型認知症の疑いがある場合は、『簡単自宅で認知症テスト|長谷川式認知症スケール』でテストをしてみて下さい。

ただし、レビー小体型認知症は認知の変動がみられるので、日にちをまたいで何回かテストしてみて下さい。

【合わせて読みたい関連記事】