見当識障害とは?そんな疑問を分かりやすく解説

見当識障害って何?見当識障害って記憶障害や判断力障害と何が違うの?」認知症の専門書などを読んでも、今一つ分かりにくいのがこの見当識障害ではないでしょうか。

そんな認知症の中核症状である「見当識障害」について、どこよりも分かりやすく解説していきたいと思います。

1.見当識障害って何?

認知症では、見当識障害という症状が現れます。見当識障害は、認知症の中核症状つまり「主な症状」の1つで、程度の差はあれ誰にでも見られる症状です。

見当識とは、時間や場所、他人および自分自身などに対する状況を認識する能力のことです。

時間の見当識
今が何年何月何日や季節、年齢といったことの認識
場所の見当識
今いる場所や家か病院かといったことの認識
人の見当識
自分や周囲の人が誰であるのかといったことの認識

見当識障害とは、この見当識が正常に働かなくなった状態のことで、失見当識ともいいます。

見当識障害の有無は、認知症かどうかの重要な判断材料になります。 たとえ、物忘れがあっても、今がいつか、ここはどこか、自分は誰かといった見当識がハッキリしていれば認知症ではなく、正常の老化による物忘れである可能性が高いです。しかし、見当識に曖昧な部分が出てきたときは、認知症の可能性が考えられます。

また、見当識障害は認知症の進行度合いに応じて、次のような順で見当識の能力が低下していきます。

  1. 時間
  2. 場所

2.時間や季節、年齢が分からなくなる見当識障害

認知症の見当識障害では、まず、時間が分からなくなる見当識障害が発生します。

日付を1~2日勘違いしたり、曜日を忘れたりすることは健康な人でもありえることです。 しかし、見当識障害の場合8月を12月と勘違いするなど、大まかな日付の見当識が認知症の場合つかなくなってきます。

そして、認知症が進むと、日付だけでなく、季節や朝昼晩の違いも区別出来なくなってきます。 例えば、天気が悪く外が曇っている場合、夜だと勘違いしたりします。

さらに、認知症が進むと、自分の年齢がわからなくなり、年齢を尋ねられると、大体は若い年齢を答えてしまうようになります。若い年齢を答えてしまうのは、認知症では、まず、最近のことから覚えたり・思い出せなくなり、段々と過去にさかのぼって思い出せなくなる傾向があるためです。

 3.場所や空間が分からなくなる見当識障害

時間や季節、年齢が分からなくなる見当識障害の次にあらわるのが、場所や空間が分からなくなる見当識障害です。

外出すると、帰り道が分からなくなって徘徊し、警察に保護されることもあります。最初は新しい土地などで、かつ迷いそうにないところで迷う傾向があります。

さらに進むと自分の家などの慣れ親しんだ場所も分からなくなります。こうなると、「現在、自分がどこにいるのか」が分からなくなり、トイレや寝室の場所が分からなくなったりしてきて、日常生活での介護が必要になってきます。

認知症と聞いてまず思いつく周辺症状の「徘徊」行動は、見当識障害や記憶障害といった中核症状から派生して起こります。

4.人の見分けがつかなくなる見当識障害

場所や空間が分からなくなる見当識障害の次にあらわるのが、人の見分け方が付かなくなる見当識障害です。

孫や子供、さらに配偶者さえも誰だか分からなくなることがあります。自分の孫娘を娘の名前で読んだり、旦那さんを実の父親と勘違いするようになります。また、鏡に映る自分自身に挨拶をするといったケースもあります。こうなると生活の全般において介護が必要となってきます。

5.見当識障害とのかかわり方

人間は誰しも知らない土地や知らない場所を訪れると不安やストレスを感じます。それは、認知症の人も同じです。見当識障害により、自分自身を取り囲む時間や場所、人が分からなくなるとものすごい不安を感じます。

また、認知症が進むと見当識障害や記憶障害といった認知機能の低下は酷くなっていきます。しかし、いくら認知症により認知機能が低下したとしても、本人の喜怒哀楽といった感情はダメージを受けずに自我を保っていることがほとんどです。

したがって、本人のプライドや自尊心を傷つけるような言動や態度はくれぐれも厳禁です。もしかすると、本人はそれを契機に引きこもってしまうかもしれません。認知症は他人との交流やコミュニケーションが無い状態だと悪化しやすいという特徴がございます。反対にそれらが上手く取れていると認知症の進行を食い止めることができるのです。 

認知症の人と接するときは、敬意をもって優しく接することが大切です。

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