もの忘れの正しい介護対応

最近、お母さんのもの忘れが酷くて・・・

認知症の症状として高い確率で現れるのがもの忘れです。また、認知症の方だけでなく高齢になってくると誰しもが、もの忘れをしやすくなってしまいます。

しかし、もの忘れをしている方に対してどのように接すれば良いのか迷うところです。

ここでは、そのようなお悩みをお持ちの介護者の方の為に「正しいもの忘れの介護対応」について解説しておりますので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

多くのもの忘れの原因は老化と認知症

人間は誰しも、年を重ねるとともにもの忘れが激しくなります。さらに認知症も加わるともの忘れがさらに酷くなります。

こうしたもの忘れは、一見不思議に思えますが、これは記憶の仕組みを理解すれば簡単なことです。

人間は物事を記憶するプロセスには、「記銘」「保持」「再生」の3つ記憶の能力で成立しています。

  1. 記銘・・・出来事を脳内に刻み込む
  2. 保持・・・記銘した出来事を脳に保持する
  3. 再生・・・必要な時に保持した記憶を呼び出す

しかし、年を重ねるごとにこれら3つの能力が衰えるのです。しかも、認知症の方の場合、「記銘力」が他の2つの能力に比べ著しく低下することが分かっています。

認知症の人は、昔の出来事は思えているのに、つい最近の出来事をもの忘れしてしまうのは、この「記銘力」の衰えが原因です。最初の「記銘」からつまずくことで、当然後の「保持」「再生」も出来なくなるので、つい最近のもの忘れが多くなるわけです。

記憶のメカニズムや老化のもの忘れと認知症のもの忘れの違いについてより詳しく知りたい方は「記憶障害とは?物忘れを見極めろ」をご覧ください。

もの忘れの介護対応のコツ

例えば、あなたの母が写真を見て「この子は、誰だったけ?」と自分の孫を見て思い出せなかったり、間違えたりした場合はどうしますか?

ここで、間違った介護対応をしてしまうことで、本人の気分を害したり、認知症の症状が悪化したりする場合があります。逆に良い介護対応が出来ることで周辺症状の改善することがあります。

それでは、もの忘れに対する悪い介護対応と良い介護対応とはどのようなものなのかチェックしてきましょう。

悪いもの忘れの介護対応

先の写真のケースですが、「お母さん忘れちゃったの?ボケないでしっかり思い出して!!」このような声掛けは×です。

「定かでない記憶」を「教えてやろう、思い出させてやろう」といった態度は本人を責めることになり追い詰めてしまいます。また、記憶障害がある認知症の方の場合は、無理に教え込もうとすることで暴力や抑うつ症状を引き起こすこともあります。

それでは、もの忘れに対してはどのようにお声掛けをしたらよいのでしょうか?

良いもの忘れの介護対応

1.良い介護対応|まずは記憶を見極め

まずは、「しっかりしている記憶」か「定かでない記憶」なのかを見極めそれぞれに応じた介護対応をすることが大切です。

2.良い介護対応|優しくさりげなくフォローする

そして、比較的しっかりと定着している昔の記憶などには、脳の活性化リハビリの1つである「回想法」などに取り組みもの忘れの進行を抑制しましょう。

また、「この子は、誰だったけ?」などの「定かでない記憶」の場合は、「かわいいお孫さんですね」といった具合にさりげない共感的な言葉で記憶の再生をフォローしてあげると、本人は傷つかないで済みます。

まとめ

家族や周囲の人は、押し付けたり指摘したりするのではなく、優しい口調でさりげなく口添えし本人をフォローすることが、もの忘れへの介護対応として一番大切です。この様な介護対応が暴力や抑うつ症状などの軽減に繋がるのです。

認知症の介護対応についてより知りたい方は「認知症の上手な対応~接し方1つで症状が良くも悪くもなる~」をどうぞ!