排尿障害とは?脳卒中や認知症が原因の膀胱炎を阻止せよ
日々、私たちの体内では「尿」いわゆる「おしっこ」が生成されています。
- 1時間あたり約60ml
- 1日あたり約5ℓ
なんと、こんだけの尿を毎日せっせと生成しているのです。ところで、皆さんはこれだけの尿をどうしていますか?おそらくトイレに行き用を足し処理している人が多いのではないでしょうか。この一連の排尿動作ができるのも、皆さんが自由に排尿をコントロールしている賜物なのです。
しかし、脳卒中(脳梗塞、脳出血)や認知症(アルツハイマー病、レビー小体型認知症)、パーキンソン病といった病気により、排尿に関わる神経が障害されると上手く排尿をコントロールできなくなる排尿障害が現れます。排尿障害になると次のような様々な症状が現れます。
- 失禁
- 頻尿
- 尿が出ない
- 尿意を感じられなくなる
何故このような排尿障害が現れるのでしょうか?はたまた、排尿障害を改善することは可能なのでしょうか?
この記事では、排尿障害のメカニズムから対応方法に至るまで詳しく解説しておりますので、是非参考にして下さい。
排尿障害とは?排尿障害のメカニズム
排尿反射
私たちの体では、尿が溜まると膀胱の筋肉が伸び、その刺激によって排尿を促進する命令が出されます。これを排尿反射と呼びます。しかし、この排尿反射だけでは、大変な事態になってしまうことは容易に想像できるのではないでしょうか?
そうです!!膀胱に尿が溜まる度に反射的に排尿してしまうのです。これではパンツの換えが何枚あっても足りません。1日トイレに閉じこもらなければならないことでしょう!!
何とかして排尿のタイミングをコントロールしなければならないはずです。とは言っても、皆さん失禁することは滅多にありませんよね?それは、「脳」が排尿のタイミングをコントロールしている為です。しかし、「脳」が上手く機能せず排尿がコントロールできなくなることがあります。なぜでしょうか?
排尿障害の原因|神経因性膀胱とは?
脳梗塞や脳出血、認知症によって、排尿をコントロールしている大脳や脳幹の神経がダメージを受けると、膀胱に尿が溜まった時に膀胱や尿道を縮めたり緩めたりする筋肉が正常に動かず、上手く排尿コントロールができなくなることがあります。こういった神経系のトラブルで「尿を我慢したいのに我慢できない」「排尿しようと思うのに出せない」といった排尿障害のことを神経因性膀胱と呼びます。
神経因性膀胱により、膀胱の筋肉に麻痺が生じ、膀胱が緩み尿を押し出せなくなることがあります。排尿がスムーズに行えなくなると、尿が体内に溜まってしまい膀胱炎といった病気を引き起こすこともあります。
過活動膀胱(OAB)
そして、脳卒中や認知症により神経因性膀胱になると次のような事態を招きます。
- 尿意切迫感
- 急に我慢できないレベルの尿意に襲われる
- 頻尿
- 尿が出し切れない、尿が頻繁に出る
- 失禁
- 急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れる
いずれの症状も、膀胱が過敏になり過剰に反応して尿を出そうとすることで起こる障害です。この障害を過活動膀胱と言います。過活動膀胱になると、無意識に膀胱が勝手に収縮し、失禁や頻尿を起こすことが多くなります。それでは、一体どのようにして排尿障害に対応すればよいのでしょうか?次をご覧ください。
排尿障害への対応方法
排尿障害が現れているのにもかかわらず、何も対策を打たないと前述のように大変なことになります。そこで排尿障害の対策として取られるのがバルーンカテーテルです。
バルーンカテーテル
バルーンカテーテルとは、「バルーン=風船」と「尿を通す管=カテーテル」がセットにしたものです。
排泄障害の場合、尿道口からバルーンカテーテルの管を通し、膀胱に到達させ、尿を体外へ導きます。この時に先端にあるバルーンを膨らませることで、管が抜けないように調整します。
ただし、バルーンカテーテルでの排尿を長期間続けると排尿機能が低下してきます。したがって、出来る限り早い段階で、一定時間ごとに管を入れて尿が出たら管を抜くという間欠的導尿に切り替え、排尿機能の回復を図りましょう。
失禁には適切なケアと排泄訓練を
膀胱に尿を溜めたり出したりすると、膀胱が伸び縮みし、膀胱の筋肉が収縮する機能の回復が期待できます。やがて、尿意を感じられるようになることもあります。また、リハビリなどにより運動障害も徐々に回復してくることでしょう。
排尿機能と運動機能の回復に合わせて、介護用おむつ→尿器→ポータブルトイレ→トイレでの排尿といった具合に、排泄レベルも上げていきましょう。排泄レベルを上げることは、本人の自信の向上や介護負担の軽減につながります。
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