ドーパミンを増やすことで病気を治療する2つの方法

パーキンソン病の患者さんは、繊細で真面目な人が多く、病気や生活の不安から落ち込むことが多いです。

  • 「惨めな姿を人に見られたくない・・・」
  • 「転んだら危険」

この様な理由から、不自由な動きを恥じたり過剰に心配してしまったりして、家に引きこもりがちです。

しかし、それではいけません。なぜなら、引きこもり生活はドーパミンを減少・不足させる原因となってしまい、パーキンソン病の治療にはマイナスだからです。

ここでは、「パーキンソン病とドーパミンの関係は?」「なぜ、パーキンソン病の治療において引きこもり生活がマイナスになるのか?どうすれば良いのか?」といった疑問を、”ドーパミン”というキーワードから紐解きます。

パーキンソン病とドーパミンの関係性

引用:三鷹台南口鍼灸整骨院

まずは、少々医学的な話になりますが「パーキンソン病とドーパミンの関係性」について簡単に説明していきます。

パーキンソン病は、ドーパミンという脳内の神経伝達物質が減少・不足する病気です。このドーパミンは、脳の働きに欠かすことができない大変重要な物質です。

運動調整 私たちの身体の動きをコントロールする運動調整機能
認知機能 膨大な情報から必要な情報を一時的に記憶・保持(=ワーキングメモリ)の調整に関わる機能

この様に、ドーパミンは人間活動を送る上で大変重要な神経伝達物質なのです。パーキンソン病では、このドーパミンが不足し脳に信号が届きにくくなることで、運動症状や認知機能障害が現れるのです(ドーパミンは、パーキンソン病の仲間であるレビー小体型認知症という病気でも、その減少が確認できます)。

快楽ホルモン

ドーパミンは、その時の気分に応じて、その放出量が大きく変化することで知られています。

楽しい時や快楽・幸福を感じる時はドーパミンの放出量が増え、逆に落ち込んでいる時はドーパミンの放出量が減ります。このことからドーパミンは、別名「快楽ホルモン」とも呼ばれています。

”うつ状態”や”意欲の低下”がパーキンソン病で現れることが多いのも、実はドーパミンの減少が深く関係していたのです。

パーキンソン病の症状

ですので、たとえパーキンソン病に効果がない偽薬を飲んだとしても、本人が「治るんだ」と治療効果を期待している場合、ドーパミンの放出量が増え、病状が良くなることが研究からも分かっています(プラセボ効果)。逆に、家の中に閉じこもっている状況は、気分の落ち込みやうつを招きドーパミンが放出されにくくなります。

「病は気から」とよく言いますが、パーキンソン病は正にその言葉が相応しい病気です。したがって、病気であることを恥ずかしがったり、臆病になったりせず、ドンドン外に出て日常生活を楽しみドーパミンを増加させることが、パーキンソン病の治療には必要不可欠なのです。

ドーパミンを増やす方法

ドーパミンを増やす方法は、大きく分けて2つです。

1.運動やリハビリ

まず、1つ目のドーパミンを増やす方法は、身体を動かす運動やリハビリです。

運動は、ドーパミンやエンドルフィンなどの神経伝達物質を増やしバランス良く放出させる作用があります。ランニングやウォーキングをした後、気分が高揚するのもドーパミンやエンドルフィンが多く放出されている為です。運動には、他にも脳の血流を改善したり、神経を守る栄養因子の放出も活性化させる効果があります。

その結果、脳の神経回路の流れがスムーズになり、歩行や姿勢障害、認知機能障害、気分の落ち込みや意欲低下、日中の眠気などのパーキンソン病の症状が改善されます。また、運動は筋力の維持・向上にも繋がり、運動症状が特徴のパーキンソン病には非常に効果的な治療法と言えるでしょう。

パーキンソン病の方は運動症状が現れるため「危ないから動きたくない」「動きづらい」などと感じがちです。しかし、運動不足はドーパミンを減少させパーキンソン病の進行を早めます。パーキンソン病を発症したからといって、「してはいけない」ことは基本的にはありません。食事やトイレ掃除、入浴など自分でできることは自分で行い、積極的に体を動かす機会を作ることが大切です。

パーキンソン病のリハビリ治療は体操と歩行の2本柱

2.楽観的に人生を楽しむ

ドーパミンを増やす2つ目の方法は、人生を楽しむことです。

先ほど、ドーパミンは楽しい時や快楽を感じた時に増えるという話をしました。楽しく楽観的に生きることは、パーキンソン病の予後に大きな影響を与えます。

パーキンソン病を発症後、年月の経過に従い病気が進行し寝たきりになる人がいる一方で、発症後10年や20年が経過しても元気にしている人がいます。両者の違いは、なぜ生まれるのでしょうか?

それは、精神的なものが大きく影響していると考えられます。つまり、「病気を悲観的に捉えているか、楽観的に捉えているか」の違いです。当然、病気であることを楽観的に捉え人生を楽しみ、治療やリハビリに専念している人の方が、ドーパミンの放出量が増え病気の進行は遅い傾向があります。

したがって、パーキンソン病になった事を悲観せず「薬をしっかりと飲み、運動やリハビリを行っていたら、ふつうの人と同じように社会生活が送れる」という風に、常にポジティブに考え行動することが大切です。デイサービスやデイケアを利用するなど積極的に外出することをオススメします。

デイサービスとはデイケアとは

心と体の両面から治療

楽しくリハビリに取り組むことが一番

「悲しい時は、自然と涙が出ます」このように、人の心と体は繋がっています。これは、今まで確認してきたドーパミンを増やす方法にも同じことが言えます。

  1. 人生を楽しく、病気を楽観的に捉える「精神的な方法」
  2. 運動やリハビリで体を動かす「身体的な方法」

この2つの方法を別々に考えてはいけません。

なぜなら、”どんなに改善効果が高く身体的に良いと思われるリハビリプログラム”でも、「ツライ・・しんどい・・」と感じながら嫌々取り組んでいては精神的に良くないため、その効果が十分に発揮されないからです。

したがって、運動でもリハビリでも「楽しく取り組むこと」が一番です。また、介護者の中には、熱心なあまりリハビリを無理強いする人がいますが、それではせっかくのリハビリの効果が薄まってしまいます。ですので、介護者は本人が楽しみながら継続できるような環境を整えることを一番に考えましょう。

趣味はドーパミンを増やす絶好のリハビリ

今までの趣味はできる限り継続しましょう。特に、野球やサッカーといったスポーツは、自然と運動になるだけでなく、運動はもとより「楽しい」「面白い」といった気分の高揚やストレス発散といった「精神」と「肉体」両面からドーパミンを増やす好循環を生みます。

ですので、いままで無趣味だった方も、パーキンソン病の発病を機に新たな趣味を持ち、自然と心身のリハビリを行いましょう。

カラオケは心身の両方のリハビリ

そこで、無趣味な人でも気軽に取り組めるパーキンソン病の方におススメのリハビリがカラオケです。

カラオケで大声を出して歌うことは、ドーパミンが放出され気分転換になるだけでなく、口周りの筋肉を鍛え嚥下障害の予防治療効果が期待出来ます。カラオケは、身体と精神の両方を鍛えられるパーキンソン病に最適なリハビリです。