慣れないハンドル

運転と癲癇
私は慣れないハンドルを握り、カーナビの目的地を病院にセットし、車のアクセルを踏み込んだ。

免許を取ってからほとんど車の運転はしてこなかったため、その分の付けがいきなり回ってきたらしい。慣れないハンドル操作だけでなく、馴染みのない土地を走るのは一苦労であった。だが一方で、頭の中を駆け巡る様々な考えや思いを、この一瞬だけ忘れ去ることができたのも確かである。

そうこうしている間に(30分の道のりを50分以上かかってはいたが)、あっという間に速水台病院に到着した。

私たち3人は車から降り、院内に入った。

一夜明け、母の容態はどのような状態なのか、全く想像がつかず期待と不安が入り混じっていた。だが、人間は往往にしてこのような場合、楽観視する傾向がある。私の場合もこのような例に漏れず、既に母が目を覚ましているだろうという淡い期待を胸に集中治療室へと歩を進めた。

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