園芸療法で認知症予防・改善!その効果とは?

「園芸療法」という認知症の非薬物療法をご存知でしょうか?

この記事では、「園芸療法って何?」ということから「園芸療法の進め方は?」「園芸療法の効果は?」といったことに至るまで詳しく解説しております。

園芸療法とは

園芸療法とは、「野菜作り」「花を育てる」「ガーデニング」といった自然の中で植物を育てる園芸作業を通じ、仲間と協力し植物の世話をすることで、「認知症の予防・改善」「ADL(日常生活動作能力)・QOL(生活の質)の維持・向上」「精神の安定」を図る認知症に対する非薬物療法の1つです。

園芸療法は、1950年代アメリカで開発されたリハビリテーションで、認知症の治療だけでなく、退役軍人の心のケアや障害者の社会参加、MCI(軽度認知障害)の方の認知症予防の為にも実施されています。

園芸療法の進め方

園芸療法の目的は、ただ植物を育てることだけではありません。

植物の世話をする為に、定期的に外に出て四季の移り変わりを感じたり、草取りや水やり収穫などで身体全体を動かしたり、参加者同士でコミュニケーションを取ることも園芸療法では大切なことです。

したがって、園芸療法は、単に植物を育てて収穫することが目的の家庭菜園とは異なります。

園芸療法と家庭菜園の違い

園芸療法の目的は植物との関わりを通した身体機能の維持や気力低下の防止です。

また、共同作業を通してお年寄り同士のコミュニケーションを促すなど、園芸療法の参加者のリハビリテーションが本来の目的であることが特徴です。

園芸療法の対象

園芸療法では、園芸療法士やスタッフなどの指導のもと、春先から秋の終わりごろまで計画的に種まきや植え付け、収穫を行います。グループで協力しながらトマトやキュウリ、芋のなどの野菜類、パンジーやひまわりなどの花を育てます。

園芸療法では、次のようなことに取り組みます。

  • 野菜作り
  • 花や盆栽の育成
  • ガーデニング
  • 収穫物の販売や料理

自然を感じ五感を刺激する

また、植物を育てるだけでなく、収穫した野菜をみんなで食べたり、販売したり、花は生け花や押し花などのコミュニケーションやレクレーションの道具として使ったりすることで「五感」を刺激します。

視覚 葉の色付き方や植物の成長を見て、四季の変化を目で感じ取る
触覚 土の感触、水の冷たさ
嗅覚 土の匂い、花の香、食物の風味
聴覚 鳥のさえずりや虫の鳴き声、雨の音、参加者同士の会話
味覚 収穫物の味

この様に、土や水に触れ、太陽の光を浴び、気温や四季を感じ、参加者同士でコミュニケーションを取りながら植物を育て、収穫し、利用する(料理や販売)といったことを通じて、「視覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」「聴覚」といった五感をフル活用します。

園芸療法により、五感をフル活用することで脳がより活性化し、認知症の予防・改善効果を最大限に高めることが出来ます。

園芸療法で期待できる効果

認知症の方は、「見当識障害(場所や時間、人物が分からなくなる)」があることから家やデイサービスやデイケアといった施設に籠りがちです。

しかし、暗い部屋の中1人何も刺激がない所で過ごすことは、「ADL(日常生活動作)」の低下を招くだけでなく、「うつ症状」「不安」といった認知症の症状の悪化を促進させることに繋がりかねません。

そこで、園芸療法により、「定期的に外に出て、自然の中で植物を育てる」という行為により、食物の成長や気温といった自然の変化を身体で感じ取ることで「見当識障害」「ADL」「QOL」の維持・改善といった効果が期待できます

園芸療法で期待できる主な効果は次の通りです。

見当識の低下を抑える(見当識障害の進行予防・改善効果)

外に出て作物の成長をみることで、季節、天候、時間、場所などを意識する機会が増えて見当識障害が改善されることがあります。

身体機能の低下予防・改善(ADLの維持・向上)

外に出て園芸活動を行うことで、自然としゃがむ、立つなどの体を動かす動作を繰り返し「運動不足の解消」「筋力の維持・向上」ができ、ADLの維持・向上が期待できます。

やりがいや生きがいを感じ、気分が晴れる(不安やうつ症状の改善・QOLの向上)

自分が世話をした作物の「成長」や「収穫の楽しみ」を感じることで、やりがいや生きがいが出てき「不安」や「うつ症状」が和らぎ、精神状態が落ち着きます。また、園芸が楽しみになりQOL(生活の質)の向上も期待できます。

グループ活動で会話が増える(社会性の維持)

普段あまり会話をしない人達でも、一緒に農作業や料理をしていると自然と声をかけあるようになり、会話が増え「社会性の維持」が期待できます。

まとめ

園芸療法は、認知症の進行を抑制や症状の改善効果が期待できます。

薬を使用しない認知症の非薬物療法は、園芸療法以外にも存在しますので、下のリンクを参考にして見れ下さい。

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