ケアマネージャーとはどんな人?ケアマネ選びのポイント

ケアマネージャーは、介護者にとって欠かすことが出来ないパートナーです。

とはいえ、「ケアマネージャーって一体何者なんなんだ?」という方も多いと思います。
ですので、ここではそういった方の為に「ケアマネージャーの仕事内容」だけでなく「資格習得までの道のり」、「ケアマネの探し方と選び方のポイント」に至るまで、心余すことなく盛り沢山に解説しております。

したがって、介護者だけでなく、今から受験しようという方にとってもとても役立つ内容ですので、是非ご一読下さい。

1.ケアマネージャーとは

まずは、ケアマネージャーとはどのような人なのか確認しましょう。

ケアマネージャーとは、介護保険制度がスタートするにあたって、医療、保健、福祉のサービスを一元的に提供するために設けられた公的資格です。正式名称は「介護支援専門員」と言います。しかし、一般的にはケアマネージャーやケアマネと略して呼ばれることの方が多いです。

つまり、ケアマネージャーは介護保険制度のことを最も熟知している専門家であり、介護を必要とする人やその家族にとって最も身近な介護のエキスパートなのです。

その為、ケアマネージャーになる為には高い能力が要求されます。実務経験が有りかつ試験をパスした人だけがなれるハードルの高い資格です。

ケアマネになるには|受験資格と資格習得までの流れ

出典:キャリアガーデン

ケアマネージャーになるには、都道府県が実施する試験に合格し、定められた実務研修を受講することで資格を習得できます。これだけだと普通の資格と変わりがなさそうですがしかし、ケアマネ―ジャーと他の資格とでは、決定的に異なる点があります。その違いとは、テストを受ける為の受験資格要件の厳しさです。

受験資格

ケアマネージャーの受験資格は、医療や介護、福祉の世界での十分な実務経験が求められ、国家資格の有無により2つに分けられます。

国家資格がある場合 5年以上、900日以上の実務経験があること 介護福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師(准看護師)、医師、保健師、薬剤師、助産師、栄養士(管理栄養士)など
国家資格が無い場合 10年以上、1800日以上の実務経験があること デイサービスやショートステイなどの老人福祉施設や、障害者支援施設、在宅介護サービス事業者(ヘルパー)など

介護職員基礎研修課程をまたは訪問介護員養成研修2級(ホームヘルパー2級)を修了者、社会福祉主事任用資格は、5年以上の実務経験があれば受験資格がある。

上の表を見ても分かる通り、ケアマネージャーは「いくら模擬試験でいい点数が取れても実務経験がない人」は門前払いされる大変厳しい資格なのです。

資格習得から更新までの流れ

今までの説明をまとめると、ケアマナージャーの資格習得から更新までの流れは次の通りです。

  1. 医療・福祉・介護の分野で5年(無資格者は10年)以上の実務経験が有るコト
  2. 受験の申し込みを行い、受験資格審査に合格するコト
  3. 介護支援線も人実務研修受講試験を受けて合格するコト
  4. 介護支援専門員実務研修を受講し、修了するコト
  5. 市区町村が指定・監督する居宅介護支援事務所に登録すること
  6. 5年ごとの更新研修が必要

2.ケアマネージャーの仕事内容

主な仕事はケアプランの作成と調整

しかし、なぜ介護者にとってケアマネージャーは欠かすことの出来ない存在なのでしょうか?その答えはケアマネの仕事内容にあります。ケアマネージャーの仕事内容は多岐に渡りますが、最も中心的な業務はケアプラン(介護サービス計画書)の作成でしょう。

ケアプランの基礎知識

ケアプランは利用者やご家族自身で作ることもできますが、作成には専門的な知識が必要であったり、手続き調整もあったりするので素人には大変です。そこで、介護者の代わりにケアプランの作成を代行してくれるのがケアマネージャーなのです。

ケアマネージャーは、ケアプランを作成するにあたり次のような一連の業務を全て行います。

  • 介護を必要とする利用者の希望を汲み取る
  • 介護サービス事業者を始め、医師や病院とも連絡を取りながら調整を行う
  • サービス内容や介護保険の限度額などを考慮してケアプランを作成
  • 利用者が最適なケアを受けられるようアフタフォロー

それでは、実際にどういった流れでケアプランを作成していくのかチェックしていきましょう。

仕事の流れ|アセスメントとモニタリング

まず、ケアプランを作成するにあたり、利用者やその家族と面談をします。本人や家族の生活状況を把握して問題点を明らかにするアセスメントという課題分析を行います。ケアプランはアセスメントに沿って、利用者が抱える問題点の解決や実現すべき生活の目標が反映されたものでなければなりません。

アセスメントの結果、「どのような介護サービスを受けるのか」決まると、ケアマネージャーは利用者に代わってデイサービスやヘルパーなどの介護サービス事業者や市区町村との連絡調整を行います。

介護保険サービスの開始後は、1ヶ月後ごとに「サービスに不満や問題はないか?」「利用者の健康状態や環境に変化が無いか?」といたっことをモニタリング(=把握)しながらケアプランを更新し、利用者負担額を計算して、給付に関する書類を市区町村へ提出します。

お解りいただけましたか?ケアプランを作成するのがどれほど大変なことであり、ケアマネージャーが介護者にとって欠かせない存在である理由が分かって頂けたと思います。

3.ケアマネージャー選びのポイント

介護者とケアマネージャーが密にコミュニケーションを取り合い、強い信頼関係を築かなければ良いケアプランは作れません。また、ケアマネージャーは、何かトラブルが起きた時や悩み事がある時の相談相手でもあります。

あなたに最適なケアマネージャーを選ぶことは介護をスムーズに進めるうえで、一番重要なことと言っても過言ではないでしょう。ですので、ケアマネージャー選びに失敗しない為にも、ここからは「あなたに最適なケアマネ選びのポイント」について解説していきますので要チェックです。

最適なパートナーの探し方

まずはケアマネージャー探しです!とはいっても、どこでケアマネを探せばよいのでしょうか?その方法は大きく分けて2つです。

  • 市区町村の窓口や地域包括支援センターに紹介してもらう。
  • 既に介護保険を利用している方の口コミを参考にしたり、紹介してもらったりする。

特に、2番の口コミや紹介が一番参考になります。また、信頼を置く「かかりつけ医」などにも相談し紹介してもらうのも1つの手です。

ケアマネージャーを決めるには、実際に合って説明を良く聞き、人柄などを考慮して「この人となら上手くやっていけそう!!」と思う人を選びましょう。一度会ったからといって契約を急ぐ必要はありませんし、「合わないな・・・」と感じたら別のケアマネージャーや事業所を探してもかまいません。

それほどケアマネージャー選びは重要なのです。介護保険は利用者が自ら選ぶのが基本で、選ぶのは悪までも利用者なのです。

チェックポイント
  利用者や家族の話をしっかりと聞いてくれるか
  難しい制度の仕組みやサービス内容について、分かりやすく説明してくれるか
  介護や福祉、医療も含めた専門知識や情報をしっかりと把握しているか
  利用者や家族の要望について、迅速に対応してくれるか

悪いケアマネージャーの共通点

ここでは、ケアマネ選びの1つの目安として「悪いケアマネージャーの共通点」を4つご紹介します。

初回の面談で契約を急ぐ人 初回の面談で契約を急ぐケアマネージャーには要注意です。居宅介護支援事業所としては、契約しないかもしれない人のケアプランを作ることに抵抗があります。しかし、利用者はケアプランが無いまま契約することは得策ではありません。悪までもケアマネージャーの作成したケアプランに同意した上で契約しましょう。
自立支援の立場を守らない人 サービス事業者の利益を優先して、支給限度額ギリギリのケアプランを組むケアマネージャーは要注意です。少し足りないくらいのケアプランで様子を見ながらサービスを増減するのが王道です。本人が出来ることは本人に任せ、できない部分や自立に向けたサービスを組んでくれる人を選びましょう。
トラブルを知らん顔する人 介護をしていると「健康状態が悪い」「サービス事業者に満足できない」などのトラブルは付き物です。そういったトラブルに迅速に対応してくれなかったり、責任逃れをする人には要注意です。
顔を見せない、業務を省く人 ケアマネージャーは、最低月1回利用者のご家庭を訪問しなければいけません。その時に、本人や家族の様子や希望をモニタリングするのも介護支援専門員としての大切な責務です。また、必要に応じて担当者会議を催すことも業務の一環です。しかし、残念ながら月に1回の訪問さえも手抜きし、介護サービス計画書を渡しに顔をみせるだけの人も中にはいるので、注意が必要です。

最終的には自分に合った人を選ぶべき

よく「経験豊富な人を選ぶべき」と聞きますが、これは半分正解で半分間違いです。

確かに、経験豊富な人は「介護保険制度について良く知っている」「地域のサービス事業者に顔が広い」といった方が多いです。しかし、己の力を過信しすぎて先に挙げた「悪いケアマネージャーの4つの共通点」に当てはまる人もいます。逆に、新人で実務経験は乏しい人でも利用者や介護者の立場にたって親身に寄り添い尽力してくれる人の方が良い場合もあります。

また、受験資格を見てもわかる通り、医療・介護・福祉といった様々な分野の人がケアマネージャーになっています。介護が得意な人、リハビリが得意な人、医療や看護が得意な人という風に1人ひとり得意不得意な分野があるので、そういった点も考慮して選ぶことが大切です。

4.契約に必要な物

ようやくケアマネージャーとの契約まで辿りつきました。しかし、ちょっと待ってください!!契約の際もいくつか注意事項があるので、次から説明することを押さえて置いて下さい。

ケアマネとの契約は、正式には「居宅介護支援の契約」と言います。契約の際には、ケアマネージャーの所属する事業所から以下の3つの書類が提示され、捺印が必要です。

  • 重要事項説明書
  • 契約書
  • 個人情報に関する同意書

契約前、途中、後、いずれの時でも、ケアマネージャーや事業者に不服があれば変更できます。また、ケアマネージャーの契約料や費用の自己負担は0円です。

5.不満や不服がある時の対処法

折角、「良い人を探せた!!」と思っていても、いざ介護保険サービスを利用し始めると「プランに不満がある」「ケアマネージャーと性格が合わない」など後々問題が出てくることはよくあることです。

そういった場合、不満や問題を抱えたままサービスを利用していても、利用者や家族にとって何一つ良いことはありません。したがって、ここでは、ケアプランやケアマネージャーに不服がある時の対処法をご紹介しますのでぜひ参考にして下さい。

ケアプランに不満がある場合

介護保険サービスを利用していると、問題点が出てくることもよくあります。

ケアプランは、利用者の体やその人や家族を取り巻く状況に合わせて最適なプランを作成し、その都度修正していくことが基本です。ですので、何か「不便なことを感じた、困っていることが出てきた」といった時は、どんな些細なことでも気にせずに積極的にケアマネージャーに相談しましょう。

ケアマネージャーは、ケアプランが確定した後も毎月一回は利用者を訪問するのが原則となっていますから、その時に相談するのも良いでしょうし、急用ならば電話を使って希望を伝えましょう。また、介護保険サービス利用前のケアプランの決定や、利用者の状態が大きく変化した場合に行う「サービス担当者会議」には利用者や家族も参加できるのでその場で話すことが出来ます。

不満を相談する際は、まず利用者や家族が不満に感じている問題点を紙に書いて整理しておきましょう。「デイサービスの回数を減らすかわりに、逆にショートステイを多くして欲しい」、「もっと積極的にリハビリに取り組みたい」「利用料金が高すぎる」など、具体的に伝えることが大切です。

サービス事業者は利用者が自由に選択することができ、契約後も解約すれば事業者を変更できることを知っておきましょう。

ケアマネージャーに不満がある場合

慎重に選んだケアマネージャーも、どうしても相性が合わなかったり、なかなか要望を聞いてもらえない等、不服に思う場合もあります。また、中には特定の事業者を利用するように勧誘する方もいます。

まずは、ケアマネージャーの定期訪問の際に、じっくりと話し合ってみましょう。それでも信頼関係を気づくのが難しい場合には、いつでもケアマネージャーを変えることが出来ます。この時、利用しているサービスそのものには満足しているなら、ケアマネージャーを別の方に代わってもらっても、引き続きそれまでのサービス事業者との契約を継続することとが可能です。

ケアマネージャーを変更したい場合は、次の3つの方法があります。

  • ケアマネージャー本人に直接伝える
  • ケアマネが所属している居宅支援事業所に交代してもらうよう伝える
  • 居宅介護支援事業者自体を交換する

3番の「居宅介護支援事業者自体を交換する」ことは、別の事業所に鞍替えするのですから利用者や家族は多少作業が必要ですが、悪い関係のまま続けるよりもお互いにとってプラスになることの方が多いです。