なぜアルツハイマー型認知症は記憶障害から始まる?その謎に迫る

みなさん「なぜ、アルツハイマー型認知症は、記憶障害を代表とする物忘れが起こるのか?」不思議に思われたことはございませんか。

はたまた、「なぜ、物忘れから始まるのか?」といった疑問を感じたことはございませんか。

それでは、早速そんなアルツハイマー型認知症と記憶障害に関する謎について迫っていきたいと思います。

記憶障害については「記憶障害とは?物忘れを見極めろ」で詳しく解説しております。

1.記憶の中枢は海馬

アルツハイマー型認知症の多くは、記憶障害から始まります。

その謎を解き明かす為に大切なのが、私たちが「どのようにして記憶を刻み、取り出してくる」のかを知ることです。

私たちが物事を記憶するときには、海馬という脳の部位が重要な働きをしています。 この海馬は、視覚や聴覚などから入った情報を集め、脳の他の部位と連絡を取り合いながら、大脳に記憶を固定させる働きを担っています。

2.記憶を働かせるには3段階のプロセスが必要

人間が物事を記憶し、思い出すには3つのプロセスが必要です。

まず、新しい物事を覚えること「記銘」し、次に、それを脳の中にしっかりと「保持」し、次に必要な時に取り出す「想起」というプロセスを経て、初めて物事を記憶し、思い出すというプロセスが成立します。

この一連のプロセスで重要な働きを担っているのが海馬なのです。

海馬は、視覚や聴覚などを通じて集められた新しい情報から、重要な情報を選別し、脳の中を巡回させ、記憶する場所に移して、初めて記憶が刻み込まれます。 そして、一度しっかりと刻み込まれた記憶は、長時間、忘れることはないという特徴がございます。

3.アルツハイマー型認知症の記憶障害は、海馬の障害が原因

アルツハイマ―型認知症を発症すると、この記憶の中枢的存在の海馬付近に病変が発生します。

先ほども述べた通り、海馬の働きが障害されてしまうと、新しく入ってくる物事を「記銘」「保持」「想起」することが困難になり、物事を記憶することが苦手になります。

特に、海馬がアルツハイマー型認知症により侵されて以降は、新しいことを覚える「記銘」とそれを思い出す「想起」が出来なくなる記憶障害から始まります。このため、新しく体験したことや初対面の人をなかなかおぼ得られなくなったり、思い出せなくなったりします。

「なぜ、アルツハイマー型認知症は物忘れから始まるのでしょうか?」 というのも、先ほどのリストの「記憶が保持される脳の部位」と「アルツハイマー型認知症の始まる場所」が関係しているのです。

アルツハイマ―型認知症の始まりは、海馬近辺です。その、海馬から側頭連合野や頭頂連合野といった別の脳の部位に移された記憶には、初期段階のアルツハイマー型認知症の影響が及んでいないのです。

要するに、アルツハイマー型認知症の人は海馬が障害される以前の記憶はよく覚えているが、それ以降のことは覚えにくくなってしまうのです。

本人が若いころの思い出話をよくする一方で、食べたばかりの食事の内容を忘れたり、食べたこと自体を忘れてしまったりと「今さっきの新しいこと」が覚えられなくなるのも、アルツハイマー型認知症に侵された海馬が上手く働かくなることが原因だったのです。

4.アルツハイマー型認知症の記憶症状の影響でますます病状が悪くなる

しかし、アルツハイマー型認知症が進行し海馬以外の部位が侵食されていくと、記憶障害がさらに進み、新しい記憶だけでなく、古い記憶までも忘れてしまうようになっていきます。

記憶は、過去と現在を繋ぐ重要なものです。記憶を失っていくと自分自身を見失ったり、周りの人との関係にも大きな影響を及ぼします。

そうなってしまうと、記憶障害だけではなく「うつ症状」「徘徊」などの様々な症状を引き起こすきっかけにもなります。こうして、段々とアルツハイマー型認知症が進行してくると、ますます本人や介護者の生活が大変になっていきます。そうならない為にも、アルツハイマー型認知症の進行を抑制・予防することが重要になってきます。

こちらの記事『【最新の認知症予防・改善法】認知症なのに発症しない?』で、アルツハイマー型認知症の予防法について詳しく解説しております。

アルツハイマー型認知症の症状や原因、治療法については『アルツハイマー型認知症とは?原因から症状・治療法まで徹底解説』で詳しく解説しております。

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