動物と触れ合う!アニマルセラピーの方法と効果
アニマルセラピーという認知症の非薬物療法をご存知でしょうか?
アニマルセラピーを日本語に訳すと「動物介在療法」です。読んで字のごとく「動物と触れ合いを通じて、治療を図るリハビリテーション」です。
しかし、「動物」と触れ合うだけでどのような効果が期待出来るでしょうか?早速見ていきましょう!
アニマルセラピーとは
アニマルセラピーの定義
アニマルセラピー(動物介在療法)とは、動物と触れ合うことで、心身の安定を図る認知症の非薬物療法の1つです。
動物療法の対象者
認知症の方だけではありません。脳梗塞や脳出血の後遺症で「感情のコントロール」が上手くできない方や発達障害の方、精神疾患を抱えた方などにも用いられます。
- 脳卒中の方
- 介護を必要とする方
- 発達障害者
- 精神疾患病をお持ちの方
動物介在療法と動物介在活動の違い
アニマルセラピーは、「医療行為の一環」か「動物との触れ合い」を目的としたものかの違いにより2タイプに分けることが出来ます。
動物介在療法(AAT|Animal Assisted Therapy) | 医療行為の一環であり、治療が目的。医師などの医療関係者が関わる |
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動物介在活動(AAA|Animal Assisted Activity) | 動物との触れ合いを通じ、生きがいや意欲といったQOL(生活の質)維持・向上を図る |
厳密には、、アニマルセラピーは前者の「動物介在療法」のことを指します。
しかし、ここではややこしいので「動物介在療法(AAA)」も「動物介在活動(AAT)」もアニマルセラピーとして、統一して解説していきたいと思います。
セラピーの実施場所
アニマルセラピーを実施する場所は、主に2つです。
- 自宅
- デイサービスやデイケア
介護施設(デイサービスやデイケア)や病院などの医療機関で、アニマルセラピーを実施する場合は、アニマルセラピストというアニマルセラピーの専門家の管理下の元、セラピー用に特殊なトレーニングを積んだ動物と共に行います。
アニマルセラピストとは
アニマルセラピストとは、動物に関する知識や世話・健康管理・コントロールの仕方だけでなく、介護福祉活動の精神、最低限の知識を学習やトレーニングにより習得したアニマルセラピストの専門家のことです。
アニマルセラピストの資格認定機関は、内閣府認証のNPO法人「日本アニマルセラピー協会」があります。
アニマルセラピストは、セラピードッグとタッグを組む
多くのアニマルセラピストは、セラピードッグというセラピー用の特殊な訓練を受けた犬とタッグを組みセラピーを行います。
アニマルセラピストの管理の元、お年寄りが動物と一緒に散歩をしたり、抱っこをしたり、頭をなでることが出来る時間を設けるのが一般的です。
自宅の場合、飼い犬や飼い猫などの動物と触れ合うだけでも、同様にアニマルセラピーによる癒し効果が得られます。
注意点やコツ
アニマルセラピーは、動物と触れ合うことで認知症の症状を予防・改善を図るリハビリテーションです。
しかし、人間だけでなく動物も参加するが故に、アニマルセラピーの実施には細心の注意が必要なのも確かです。闇雲にただ進めると、かえって認知症の症状を悪化させることがありますのでご注意下さい。
- 動物が嫌いな方や動物アレルギーのある方には実施しない
- 自宅など、アニマルセラピスト不在の中でセラピーに取り組む場合、動物の選定は慎重に行う
- 犬や猫を飼っていた経験がある人や動物好きな人に効果が高い
- ご家庭でアニマルセラピーに取り組む場合、セラピーの為だけに、わざわざ動物を飼い始めるかどうか費用対効果を考える必要が有り。当然、ペットの世話が必要となりますので慎重に検討
- 長時間のアニマルセラピーは、本人だけでなく動物にも負担が生じるので1時間以内が適当
以上の点から、「アニマルセラピーは難しいな・・・」とお考えの方は、「社会参加や活性化リハビリで認知症や若年性アルツハイマーを治療せよ」を参考に他の認知症のリハビリテーションをご検討ください。
アニマルセラピーの効果
ペットを飼うことは病気になりにくい?
ペットを飼っている人は飼っていない人より、年間20%前後病院に行く回数が減ったと言うデータがあります。ドイツでは7500億円、オーストリアでは3000億円もの医療費が、ペットの影響によって削減されています。
認知症治療でのアニマルセラピーの効果
同じく、アニマルセラピーは認知症の治療においてもその効果が期待できます。重度の認知症の人や意欲が低下している人に効果的だと言われています。
認知症のお年寄りは、介護を必要とすることも多く、一方的にお世話してもらう機会が多くなりがちです。その為、以前の健康だった頃の自分と比較して、落ち込んだり不安を抱えたりすることもしばしばです。
しかし、アニマルセラピーでは、逆に世話をする立場に立ちます。訓練された人懐っこい動物達との触れ合いを通じて「かわいい」と慈しむ感情だけでなく、「優しくしてあげたい」「世話をしなければ」といった使命感や役割意識が自然と生まれます。
このような自発性は、自信を持って生きていく上で非常に大切なことです。また、アニマルセラピーを通じた、豊かな笑顔や楽しそうな反応その物が、アニマルセラピーで得られる何よりの効果です。
表情が豊かになり、発語が増える
無表情な人でも、かわいい動物に触れあうときは自然と顔がほころび、活き活きとした表情になります。
また、静かで言葉数が少ない方が、動物相手なら発語が多くなることがあります。活き活きと生きることやコミュニケーションは認知症の進行を抑制するために非常に大切なことです。
運動機能・ADLの維持・向上が期待できる
歩行が可能な人は、動物と一緒に散歩することができ、足腰の筋力の維持・向上が見込めます。
QOLが維持向上する
一人でじっと過ごしているのではなく、動物と触れ合うことを通じ、その活動自体に喜びを感じることで、QOL(生活の質)の向上が期待できます。
「暴力」「うつ症状」「無気力」といった認知症の周辺症状が改善する
アニマルセラピーにより認知症の症状が改善することがあります。
- 認知症の周辺症状(行動症状)の1つである「暴力」が現れる人に対して、アニマルセラピーを実施した前後は「暴力」が治まることがあります。
- 認知症の周辺症状(心理症状)心理症状である「うつ症状」「無気力」が現れている人が、「動物の世話をしなくては」と使命感を持つことで、意識や意欲が高まり「うつ症状」「無気力」が改善されることがあります。
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