ヤールの重症度分類|パーキンソン病の進行度を学び治療に活かす

パーキンソン病の発病は突然ではなく、また、ゆっくりと進行していきます。そのため、いつから症状が出現したのかを正確に判断することは難しいです。

ですが、パーキンソン病とうまく付き合い治療を進めていく為には、今自分がどのような状態なのか正確に把握することが必要です。つまり、自らの症状に合わせ、臨機応変に最適な薬物療法やリハビリテーションを実施していくことが大切なのです。

また、現状の重症度を知ることは、パーキンソン病の治療だけではなく、医療費の助成や介護保険サービスなどの公的支援を受ける為にも大変重要になってきます。

しかし、一体どのようして自分の症状を客観的に知ることが出来るのでしょうか?その答えは、パーキンソン病の症状を重症度に応じ分類した「ホーン・ヤールの重症度分類」という評価基準を参考に、自らの症状を照らし合わせ判断することです。

パーキンソン病の重症度の判断基準

一般的に、パーキンソン病の症状の重症度は「ホーン・ヤールの重症度分類」という基準で分類されます。では早速、ホーン・ヤールの重症度分類では、どの様にパーキンソン病の症状が分類されているのか確認していきましょう(厚生労働省研究班による分類も合わせて掲載しています)。

ホーン・ヤールの重症度分類

ホーン・ヤールの重症度分類では、パーキンソン病の特徴症状である運動症状の現れ方をもとに、運動機能のレベルをⅠ~Ⅴ度までの5段階に分けています。なお、それとは別に、厚生労働省の「生活機能障害度」も評価基準も合わせて掲載しております。

パーキンソン病の運動症状とは

ホーン・ヤールの重症度分類  生活機能障害度(厚生労働省)
「一側性パーキンソニズム」体の片側にだけ、手足の震え(安静時振戦)や筋肉のこわばり(筋強剛・固縮)、動きが鈍くなる(緩慢)が見られるが、症状は軽症。 日常生活、通院にほとんど介助を必要としない。
「両側性パーキンソニズム」体の左右両方に安静時振戦や筋強剛、動作緩慢などの運動症状が見られる。日常生活や仕事に多少の障害があるが行うことは可能。
「軽~中等度パーキンソニズム」バランスが悪くなる(姿勢反射障害)と小刻み歩行やすくみ足(歩行障害)が見られる。介助なしで生活ができ、職業によっては仕事が続けられる。運動症状は軽~中等度。 日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。
「歩行は介助なしで辛うじて可能」立ち上がりや歩行はどうにか可能である。しかし、日常生活が1人では困難であり、あらゆる面で部分的な介助が必要。運動症状は中度~重度。
「歩行には介助が必要」自力で歩行だけでなく立つことも不可能で、車いすが必要になる。ベッドで過ごす時間が長い。 日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで歩行・起立が不可能。

パーキンソン病の進行は人それぞれ

パーキンソン病は、「ヤールの重症度分類」のようにⅠからⅤへと徐々に症状が進行していく病気です。しかし、その進行スピードには個人差が大きく、何年後に必ずこういう状態になると予想できるものではありません。

また、現在の医療ではパーキンソン病を完治させることはできませんが、薬やリハビリテーションを利用することで、病気の進行を遅らせたり、症状を改善させたりすることは十分可能です。したがって、パーキンソン病が重症化する前の出来るだけ早い段階で、治療を始めることが重要なのです。

医療費の助成や介護保険を活用しよう

パーキンソン病は、死ぬまで付き合っていかなければいけない病気です。その為、治療費等の出費がかかるのも事実です。

この治療費を全額自分で払おうとしては経済的にしんどくなります。上手く公的制度を使うことも検討しましょう。

パーキンソン病の場合、40歳以上であれば介護保険制度による介護サービスの利用が可能です。また、「ホーン・ヤールの重症度分類」がⅢ度以上でかつ「生活機能障害度」がⅡ度以上の方は「指定難病(特定疾患)」の認定を受けることで、医療費助成制度の対象となります。

診断基準及び重症度分類の適応における留意事項

厚生労働省のホームページをもとにパーキンソン病の難病認定の診断基準の留意事項をまとめておきます。

  • 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る)
  • 治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近6ヵ月間で最も悪い状態を医師が判断することとする
  • なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要な者については、医療費助成の対象とする