嚥下をスムーズに!食事の前に必ずやって起きたいこと(マッサージ編)

高齢者やマヒなどで嚥下障害のある方にとって食事は、「戦い」であり、私たちの想像以上に大変で覚悟がいることです。

何度か、食べ物を「のどに詰まらせたり、むせてしまったり」を繰り返すと、段々と「食べる・飲み込む」ということが怖くなり、食事というものが恐怖の対象でしかなくなります。 そうなるとやがて何も食べたり・飲んだりしなくなって最悪の場合、胃ろうを付けなければならないことも少なくありません。

確かに胃ろうを付けることは、安定した栄養補給が出来るというメリットがあります。 しかし、リハビリテーションなどでの嚥下能力の改善が期待できる方にも、胃ろうをつけてしまうことで、胃ろうに頼りきりになり口から一生食べ物を食べなくなってしまうケースも少なくありません

また、胃ろうを付けることは、本人や周りの者にとっても大変精神的なショックが大きいものです。

なので、高齢者や嚥下障害の方に、なるべく口で安全に食事を楽しんでもらう為にも介護者さんは、以下の誤嚥予防のための「口内ケア」と「口腔マッサージ」を行い、本人が万全の状態で食事という名の「戦い」にのぞめる体制を作ってあげてください。

私の母も、胃ろうを付けておりましたが、この誤嚥予防のための「口内ケア」と「口腔マッサージ」を実践することで、胃ろうを外すことが出来ました。

誤嚥予防のための口内ケア

誤嚥を防ぎ上手に食べてもらうには、第一に本人がしっかりと目が覚めているかを確認してください。寝ぼけている状態で食事を取っては、誤嚥を招いてしまい大変危険です。そこで、食事の前に口内の清掃や口腔マッサージを実施し、嚥下をスムーズにするリハビリテーションも兼ねつつ本人に目を覚ましてもらいましょう。

食事を始める前に、手や口の中をきれいにして気分よく食卓に向かいましょう。歩行可能な人は自分で手洗いをして、寝たきりの人は介護者さんがおしぼりなどで、手をふきます。

そして、口の中もよくうがいをして清潔にします。うがいができない場合、食事の前でも、ガーゼやスポンジブラシ、歯ブラシなどで口腔内(口の中)全体を湿らせて食べ残しなどの汚れを取り除き清潔な状態にしておいてください。汚れは細菌と一緒ですので、普通の食べ物を誤嚥するよりも何倍も誤嚥性肺炎になるリスクが高まってしまいます。

参考リンク>>誤嚥性肺炎とは?誤嚥性肺炎の予防・治療法を徹底解説とは

こうして、食事の前に口の中をきれいにすることは、本人の気分をよくするとともに、口の中を潤し食事を食べやすく美味しくします。また、嚥下に障害のある方の場合、口をゆすいだり、汚れを取ったりすることが、口の中を刺激し嚥下をスムーズにするとともにリハビリや安全に食事を楽しんでもらうことにも繋がります。

嚥下障害に有効な「誤嚥を防ぐ2つのマッサージ」

食前に是非、嚥下障害の方に行ってもらいたいのが「誤嚥を防ぐ2つのマッサージ」です。

  • 1.口腔内のアイスマッサージ
  • 2.口腔外の指によるマッサージ

1.口腔内アイスマッサージ

アイスマッサージは口の中を冷やし刺激を与えることで、摂食・嚥下がスムーズに行いやすくするリハビリの一種です。 まずは、アイスマッサージに必要な凍らせた綿棒を作ります。作り方は、

  • 1.割りばしの先端にガーゼや綿をまきつけ、
  • 2.先端を水で濡らしてよくしぼります
  • 3.そして、冷凍庫で凍らせ
  • 4.使うときに少量の水をつけます

介護者さんは、凍らせた綿棒を口の中やのどの手前の上の部分(口蓋弓)、舌の付け根(舌根部)など口腔全体にあてて刺激し、嚥下反射を起きやすくするためのマッサージをします。

やり方は、口蓋全体を軽く10秒ほどこすったり・なでたり、何秒か嚥下反射部位に、冷やした綿棒を当てて「ゴックン」という嚥下(飲み込み)を促してください(ツバを飲み込む動作に近いです)。 やがて何度か繰り返すと、常温のものでも「ゴックン」と嚥下しやすくなります。

ただし、綿棒を強く当てすぎると「迷走神経反射」を起こして、血圧の低下や脈拍が乱れてしまう恐れもありますので、介護者さんはなるべくやさしくマッサージをしてあげて下さい。

なぜ、「常温の綿棒」ではなく「凍らせた綿棒」を使うかというと、常温≒体温と違うものの方が、神経を刺激し嚥下運動をスムーズにさせるためです。なので、嚥下障害がある方の食事は、極端に熱すぎたり冷たすぎたりしてもいけませんが、なるべく常温に近い温度で出さないことが嚥下を安全かつスムーズに行ってもらいやすくします。

意外なアイスマッサージグッズ

水割りをかき混ぜる金属製のマドラーもアイスマッサージに役立ちます。 先端が丸くなっているので、口腔をキズつけることがなく安全です。金属製なので氷水につければ直ぐに冷えます、また、洗えば何回でも使えますので、とても効率的かつ経済的です。

2.口腔外マッサージ

1.舌のマッサージ

舌は、口に入った食べ物を上手にまとめて食べ物を左右の奥歯に運んだり、食べ物をのどの奥へと運んだりする役割があります。この様に、嚥下(食べる・飲み込む)動作の中でも大変重要な役割を担っている舌の動きをスムーズに行うためのマッサージをご紹介します。

  • 1.顎の下に両手の親指をあてる。
  • 2.垂直に上にグッと力を入れて押す。

ポイントは、気持ち強めに舌が持ち上がるくらいの力で上に押すことです。そうすることで、舌が持ち上げられている感覚がわかります。

舌のマッサージは舌を動きやすくすると同時に、舌を刺激することでだ液を出します。 だ液は、口の中の粘膜を潤し滑らかにし、食塊を作りやすくしたり、食べ物をスムーズに胃へと送りこみやすくするなど嚥下をスムーズに行うためには必要不可欠です。

2.お口周りのフェイスマッサージ

口の周りをマッサージすることで、口の周りの筋肉を動かし柔らかくし嚥下がスムーズにできるようにします。口角を上げるようにやさしく筋肉をほぐします。

入れ歯を使用している方は、入れ歯を外してから行います。

  • 1.指のはらを使いくちびるの両端(口角)あたりを、下から上に少し強めに引き上げますマッサージします。
  • 2.両ほほも指のはらで円を描くようにマッサージしてください。
  • 3.こめかみも、同様に円を描くようにマッサージしてください。
  • 4.終了です!!

フェイスマッサージは、口の周周辺やお顔全体の筋肉を動かし、刺激することで嚥下をスムーズに行いやすくします。

まとめ

食事の前に、口内ケアで口の中をきれいにすることは、本人の気分をよくするとともに、口の中を潤し食事を食べやすく美味しくします。また、嚥下に障害のある方の場合、口をゆすいだり、汚れを取ったりすることが口の中を刺激し嚥下をスムーズにするリハビリテーションや安全に食事を楽しんでもらうことにも繋がります。

食べることを一度怖くなってしまい恐怖心を抱いてしまうと、恐怖心がなくなるまでにかなりの時間が掛かってしまいます。

そうならない為にも、是非、食前の口内ケアと口内外マッサージを行ってあげて、食事を安全にスムーズに行いやすい状態を必ず作ってあげてください。

また、嚥下介助は、介助者の方が急かしてしまったりすると、気持ちが焦ってしまって誤嚥を招きかねませんので、急かさずに気長に付き合ってあげてください。食事を楽しんでもらうことは、在宅介護をする上できっとプラスに働きます。