夜間対応型訪問介護のきほん
夜中に起きるの・起こされるのってしんどくないですか?朝までぐっすり寝ておきたくないですか?
でも、そういう訳にはいかないことってありますよね・・・
- 夜間のおむつ交換が大変!週に2、3日でいいので誰か助けて~
- 褥瘡(床ずれ)予防のために、夜中に寝返りを2~3回させる必要があるけど・・何度も起きるのがツライ
このような夜間のケアについて、多くの介護者が日々頭を抱えていることでしょう。確かに、褥瘡や感染症の予防の為にはしっかりと夜間もケアすることは大切ですが、あなた自身が良質な睡眠を取ることも在宅介護をする上で大変重要なことです。
もし、あなたが寝不足で倒れてしまったら元も子もありません。
とはいっても「夜間のケアを継続しつつ、睡眠時間を確保する方法」なんて存在するのでしょうか?
それが存在するのです。その方法とは「夜間対応型訪問介護」というサービスを利用することです。
ここでは、夜間対応型訪問介護はどのようなサービスなのかという基本から、利用料金、注意点に至るまで徹底的に分かりやすくかつ詳しく解説していきますので、夜間のケアにお悩みの方はぜひご一読下さい。
<目次>
- 夜間対応型訪問介護とは
- サービス内容|定期巡回・随時訪問・オペレーションサービス
- 契約時の注意点|サービス対象や内容、提供時間
- 夜間対応型訪問介護の利用料金
- サービス体制で異なる利用料金
- 1ヶ月の夜間対応型訪問介護費を計算してみよう
- 他サービスとの比較|「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「通常の訪問介護・看護」との違い
1.夜間対応型訪問介護とは
夜間対応型訪問介護とは、日中だけではなく夜間にも訪問介護を行なう、24時間365日対応の地域密着型サービスのことです。介護職員が利用者の自宅を定期的に巡回して、おむつ交換や体位変換などのケアや安否確認を行ってくれます。
また、利用者からの呼び出しや相談に対応するオペレーションサービスが整備されていて、相談内容におり訪問介護サービスが必要と判断されれば、随時訪問サービスを実施します。
夜間対応型訪問介護の最大の魅力は、何といっても普通の「訪問介護」だけでは対応しきれない夜間のケアをカバーできることです。これにより利用者や家族の夜間の不安や負担を軽減に役立ちます。
参考リンク>>普通の訪問介護(ホームヘルパー)と訪問看護
サービス内容|定期巡回・随時訪問・オペレーションサービス
出典:広報よこはま
夜間対応型訪問介護のサービス内容は「定期巡回」「随時訪問」「オペレーションセンターサービス」の3つに分かれます。それでは1つ1つ詳しく見ていきましょう。
定期巡回 | 夜間の時間帯に利用者宅を定期巡回して、安否確認や、おむつ交換、体位変換など日常的な介助を行うサービス。訪問の時間帯(主に22時~翌朝6時)や介護内容は、予め契約した内容の範囲内となる。 |
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オペレーションサービス |
ケアの専門家が、利用者からの呼び出しや相談に対応するオペレーションサービス。利用者は、事業所が用意するケアコール端末を使い、オペレーションセンターやホームヘルパーに通報し、相談や随時訪問をお願いすることが出来ます。 そして、サービス提供者は、利用者の心身の状態(認知症やマヒがあるかなどの身体機能、その人の性格)、環境などのデータを事前に把握した上で、相談内容とそれらデータを照合し、アドバイスやホームへルパーの訪問が必要かどうかの判断を行います。 |
随時訪問 | オペレーターや担当者が利用者が助けを必要と判断した時に、指示を受けたホームヘルパーが随時利用者宅を訪問し対応するサービスです。 |
※オペレーションサービスに当たるスタッフは、看護師や介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャーなどの医療介護ケアの専門家が対応してくれます。オペレーションサービスを専用に行うオペレーションセンターが設置されている事業所とされていない事業所があり、その違いにより利用料金が異なります。
この3つのサービスを基本とした夜間対応型訪問介護を利用することで、例えご家族が寝ていても夜間のケアも安心安全に行えるのです。特に、夜間において身体介護が必要な方のケアを補ったり、緊急時の対応が必要だったり、睡眠時間を確保したいご家族にとって利用価値のある在り難いサービスです。
ただ、「鍵を他人に渡すのは嫌だ」「夜間に他人に自宅に入られるのは嫌だ」という人にはお勧めできないサービスです。
注意点|サービス対象や内容、提供時間を考慮して契約
夜間対応型訪問介護事業所と契約する上で、いくつか注意点がありますので確認していきましょう。
対象
「要介護1~5」の認定を受けた人が対象になります。要支援1・2の人は対象外です。
事業所と契約し登録することで、初めて利用者に通報用のケアコール端末が貸し出されます。
「定期巡回の頻度」「訪問までの時間」「随時訪問の条件」をチェック
夜間対応型訪問介護の定期巡回サービの利用については、契約の際にどれ程の頻度で訪問してもらえるかをキチンと確認しましょう。同時に随時訪問では、電話が繋がっても実際にホームヘルパーが到着するまで時間がかかるケースがあります。「どのくらいの時間がかかるのか、どのような場合に随時訪問してくれるのか」など、具体的なサービス内容を事前に確認しましょう。
オペレーションセンターの有無
夜間対応型訪問介護のオペレーションサービスでは、専門のオペレーションセンターが「設置している事業所」と「設置していない事業所」があります。
オペレーションセンターを「設置している事業所」では、利用者の通報を専門に受け付けるスタッフが常駐しているので、確実に連絡が取れ安心です。一方、「設置していない事業所」では、ホームヘルパー自身が通報を受け付けるので、確実に連絡が取れるのか不安な面があります。
時間外のサービス
夜間対応型訪問介護が利用できる時間帯は、おおむね「夜の22時から早朝6時まで」です。それ以外の時間帯にも対応してもらう為には、「24時間通報対応加算」という加算料金が取られます。また、地域によっては、対応できる時間帯を拡大したり、24間対応のサービスを行う事業者もあります。ただ市区町村によっては実施していないところがあるので確認しておきましょう。
2.夜間対応型訪問介護の利用料金
オペレーションセンターがあるかどうかで異なる利用料金
夜間対応型訪問介護の利用料金は、オペレーションセンターを設置しているかどうかによって異なります。
オペレーションセンターが設置されていない場合は、定額料金なので月々の費用が予め分かるので負担が増える心配はありません。一方、オペレーションセンターが設置されている場合は、訪問回数が増えるたびに料金が加算されますので、支給限度額を超えてしまうことがあります。
オペレーションセンターの設置が無い | 月額の定額料金 |
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オペレーションセンターの設置が有り | 基本サービス費+訪問回数に応じた加算 |
ただ、オペレーションセンターが設置されていることで安心感があります。なので、利用者や家族の希望や支給限度額などを総合的に考慮し、どちらのサービスにするかを選択しましょう。
24時間通報対応加算とは?
夜間対応型訪問介護の主な加算に「24時間通報対応加算」があります。これは夜間にオペレーションセンターサービスを受けている訪問介護事業所を夜間だけでなく日中においても利用する場合に加算されるものです。加算されるのは、このサービスを行っている事業者の営業時間外にオペレーションサービスを利用した時がその対象になります。
メモ:オペレーションセンターが設置されている事業所の場合、随時訪問は1回560単位(円)なので、利用しすぎると支給限度額を超えてしまう場合があります。
【平成27年 最新版】夜間対応型訪問介護費用
基本サービス費 | 981単位/月 |
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定期巡回 | 368単位/回 |
随時訪問 | 560単位/回 |
随時訪問(2人以上の訪問介護員が必要な場合) | 754単位/回 |
24時間通報対応加算 | 610単位/月 |
基本サービス費 | 2,667単位/月 |
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1ヶ月の夜間対応型訪問介護費を計算してみよう
それでは実際に、月々に掛かる夜間対応型訪問介護費を、下の条件でシミュレーション計算してみましょう。
- 利用者は要介護3
- オペレーションセンターが設置されている事業所
- 1日1回の定期巡回
- 月2日の随時訪問
以上のサービスを利用した場合、次のように料金計算できます。(1単位=10円、個人負担=1割負担の場合)
【計算式】
- 【1ヶ月分の単位数(介護報酬)】 981単位(基本サービス費)+368単位(定期巡回)×31日+754単位(随時訪問)×2=13,897単位
- 【1ヶ月にかかる夜間対応型訪問介護費(保険適用前)】 13,897単位×10円=138,970円
- 【1ヶ月にかかる夜間対応型訪問介護費(保険適用後|1割負担)】 138,970円×10%=13,897円
したがって、当月の夜間対応型訪問介護費の自己負担額は=13,897円 になります。
3.他サービスとの比較|「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「通常の訪問介護・看護」との違い
夜間対応型訪問介護に似たサービスとして「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。
参考リンク>>定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは
両サービスとも24時間365日、訪問介護が受けられます。それでは両者の違いは何なのでしょうか?それは「サービス内容」と「利用料金」の違いです。
まずは「サービス内容」の違いです。「夜間対応型訪問介護」が訪問介護しか受けられないのに対して、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」では「訪問介護」だけでなく「訪問看護」も受けられます。ですが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」では訪問看護がサービスとして加わる分、少し利用料金が高めです。
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」でも、訪問介護のみの利用も可能ですがそれでも割高です。
夜間対応型訪問介護(オペレーションセンター無し) | 2,667単位/月 |
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定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型:介護のみ) | 1万6,769単位/月 |
ただし、「夜間対応型訪問介護」でもオペレーションセンターが設置されている事業所を利用し、日に何度も定期巡回や随時訪問を利用する場合は、実際に訪問した回数によって利用料金が加算されます。また、「夜間対応型訪問介護」の場合は、夜間以外は加算料金が取られることがあります。
その為、サービスの利用の仕方によっては、夜間対応型訪問介護の方が出費が多くなってしまう場合があります。
また、訪問看護も利用する場合、別に訪問看護の利用料金を払わなければいけません。利用の仕方によっては、通常の訪問介護や訪問看護を早朝・夜間に利用し加算料金を支払った方が割安になる場合もあります。
したがって、どれくらい夜間の定期巡回や随時訪問を必要としているか、利用者や家族の希望などを総合的に判断して、
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 通常の訪問介護・訪問看護を併用し、夜間も必要な時に利用する
の内あなたに最適なサービスを選びましょう。その際は、ケアマネージャーに相談し、各々のサービスに掛かる費用の見積もりをしてもらいましょう。